すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~
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黒目(正式には角膜といいます)は、物を見る際に光を通すための、非常に透明な組織です。ガラスのようにも見えますが、その細胞は、透明性を保つよう絶えず努力しています。
透明性を保つための主役は、黒目を裏打ちしている細胞(角膜内皮細胞といいます)です。この細胞は、黒目に絶えず入って来る水を、ポンプでくみ出して透明性を保っています。細胞の数が少なくなると、黒目に水がしみこみ、スポンジのように分厚くなります。こうして黒目に透明性がなくなり白く濁ってしまうと、視力が低下します。
このように黒目の細胞は、私たちにとってとても大事な細胞ですが、再生能力が乏しいという特徴があります。そのため、眼科ではよく検査します。しかしながら、一般の方々の黒目の細胞について調べた研究はほとんどありません。そこで今回は、NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)の第2次調査に参加した1,919名の方々を対象に、黒目の細胞の状態について調べました。眼の手術をしたことがある方は、今回の研究からは除外しています。
図:黒目の細胞の数の変化
解析の結果、黒目の細胞の数は男性の方が女性よりも多く、男女ともに加齢にともなって減少することが明らかになりました(図)。しかし今回のデータでは、黒目の細胞が病的な状態にまで減少した人はおらず、黒目の細胞はかなり丈夫であることが分かりました。
ただ、過去に眼の病気をしたり、眼の手術を受けたりしたことがある人は注意が必要です。また、別の研究では、ハードコンタクトレンズを長期間使用していると黒目の細胞が少なくなる場合があることが分かっています。このようなことに思い当たる場合には、医療機関で検査を受けるなどの適切な対処が必要です。
目の病気をしたり、眼の手術をしたことがある方は黒目の細胞に注意し、定期的に眼科を受診しましょう。
<コラム担当:福岡 秀記>
*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています* |
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