すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~
ホーム > 研究所 > すこやかな高齢期をめざして > 痩せすぎは緑内障に注意?
我が国で、失明の原因となる一番の疾患は、緑内障です。緑内障は視神経の障害のひとつで、視野が狭くなっていく病気です。
図:緑内障により視野が狭くなっていく様子
残念なことに、一旦狭くなった視野はほとんど回復しません。 疫学調査によれば、40歳以上の日本人の1000人中50人は緑内障にかかっているとされており、そのうち、眼科を受診し、診断されている人はたった5人との報告もあります。これは、緑内障は末期になるまで自覚症状が出にくいためと考えられます。眼科検診を受けていたり、親類に緑内障がいるなどの理由から積極的に注意されていたりする方々だけが早期に診断されているのです。
これまで、緑内障は、眼圧(眼の硬さ)が高い人がなりやすいと言われていました。しかしながら、最近では、日本を含むアジア地域では、正常な眼圧の緑内障が過半数を占めていることが分かりました。
それでは、日本人ではどのような人が緑内障になりやすいのでしょうか。NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)では、緑内障の指標となる眼の神経のへこみの程度(視神経乳頭陥凹)と様々な要因の関連を検討しました。
図:緑内障の指標となる「視神経のへこみ」と眼圧・角膜の厚さ・体格との関連
男性において痩せ(黄色左側①)、女性において角膜が薄い(青左側②)、高い眼圧(緑右側③)で視神経のへこみが大きくなっている。
その結果、男性では高齢であること、さらに、体格が痩せていることが、緑内障のリスクと関連することが分かりました。一方、女性では、これまで指摘されてきたとおり、眼圧が高いこと、角膜の厚みが薄いことなどが、緑内障のリスクを高くすることが分かりました。
痩せていることが直接的に緑内障の原因になるとは考えにくいですが、痩せていることが、何らかのメカニズムを通じて、緑内障と関係している可能性があると考えられます。特に男性で痩せている人は、定期的に検診を受けるなど、緑内障にならないように注意をされた方が良いと思います(メカニズムについては、鋭意解析中です)。
緑内障の早期発見で、健康な眼を保ちましょう。
<コラム担当:福岡 秀記>
*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています* |
このトピックスの関連記事も合わせてご覧ください。
このトピックスに関連する外来診療科のご案内です。