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外来診療・時間外診療・救急外来 電話:0562-46-2311

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眼科

 

眼科診療の特徴

​ 先進医療

角膜移植治療

角膜は5つの層からなり透明で眼球の形を保ち、光を取り込む役目を果たしています。角膜移植の手術方法はいくつかあります。 大きく分けて角膜の中心部分(全層)を丸く切り抜いて入れ替える全層角膜移植と、角膜の一部分だけを移植する角膜パーツ移植とがあります。角膜パーツ移植は、レーザーで角膜の一部を正確に切開することが可能となり実現できるようになったもので、角膜の一部のみの移植のため拒絶反応が起こりにくいメリットがあります。角膜パーツ移植には、角膜の外側の層のみ入れ替える表層角膜移植や深層層状角膜移植、角膜の内側のみ入れ替える角膜内皮移植、角膜周辺部のみを移植する輪部移植などがあります。移植する角膜は、これまではドナー角膜が主流でしたが、ドナー不足や拒絶反応などの問題がありました。そこで近年では移植後の傷の経過や拒絶反応を考えて母体の中で赤ちゃんを包んでいた組織(羊膜)を使用した羊膜移植や、ドナーの角膜組織を培養し移植するヒト角膜内皮細胞移植、また患者様ご自身の口腔粘膜上皮細胞を培養し作られた自家培養口腔粘膜上皮細胞シート(商品名:オキュラル、サクラシー)を用いた移植など多くの選択肢が広がってきています。当施設では角膜の状態を最新機器で検査把握し、患者様が低リスクで術後良好な経過を維持できるように、これら先進的移植手術に取り組んでいます。令和4年度角膜移植術実績:41件

角膜移植術の種類

 

特徴

適応疾患

全層角膜移植術(PKP)

角膜の全層(上皮層、実質層、内皮層)を取り替える手術です。患部を切除し、提供角膜を縫合します。メリットとして長い歴史があり手技が定着している反面、デメリットとして拒絶反応のリスクを伴ったり、乱視が残る可能性があります。

水疱性角膜症、角膜瘢痕、円錐角膜、角膜混濁、角膜ジストロフィー、角膜ヘルペス、化学外傷、再移植など

 

表層角膜移植術(LKP)

角膜の上皮層、実質層のみを取り替える手術のことです。角膜の濁りが表面だけの場合などに選択されます。角膜内皮層は残せるため、メリットとして拒絶反応の可能性を低減することができます。

角膜混濁、角膜潰瘍、眼類天疱瘡、デルモイドなど

 

深層層状角膜移植術(DALK)

表層角膜移植の一種で、患部が実質層全体に広がり、また内皮細胞密度が十分にある場合に選択されます。メリットは、表層移植と同じで、患者様ご自身の内皮細胞が残せるために拒絶反応を起こしにくくなる点です。ただし、内皮層ぎりぎりを剥離する必要があり、難しい手術と言えます。
場合により、手術中に全層移植に切り替えられる場合もあります。

角膜混濁、円錐角膜、ジストロフィーなど

 

角膜輪部移植(LT)

角膜上皮層は、病原体から角膜を守るという意味でとても大切なものです。角膜の上皮細胞は、角膜輪部から供給されるため、輪部機能不全に陥った場合、提供角膜の輪部を移植する必要があります。

輪部機能不全、化学外傷、スティーブンス・ジョンソン症候群など

 

角膜内皮移植(DSAEK/DMEK)

水疱性角膜症等の内皮層のみを取り替える手術です。角膜周辺部にあけた数ミリの切開創から内皮層を取り除き、ドナー角膜の内皮層を移植する方法です。深層実質の一部と内皮層を移植する方法をDSAEK、内皮層のみを移植する方法をDMEKといいます。
メリットとして縫合しないため乱視が起こりにくいです。

水疱性角膜症、内皮機能不全など

 

 

羊膜移植

羊膜とは、胎盤組織の一部で、赤ちゃんを包んでいる薄い膜です。この羊膜を眼の表面の疾患の治療に用いることが、ここ10年ほど注目されています。羊膜には、瘢痕形成を抑え、組織修復の促進、炎症を抑える、などの働きがあることが分かっています。羊膜移植は、スティーブンス・ジョンソン症候群、化学傷など、眼の表面がかさぶたのような瘢痕組織(はんこんそしき)で覆われてしまう「瘢痕性角結膜症」や結膜の組織が角膜内に侵入する「翼状片」、および角膜や結膜の傷が治らない「上皮欠損」や「潰瘍」に対して行われます。羊膜移植は、上記の疾患に対し単独、あるいは輪部移植や角膜移植と組み合わせて行われます。羊膜は、帝王切開の際に妊婦の同意を得て頂き、洗浄・保存したものを用います。提供していただく妊婦の方は、肝炎などのウイルスに罹患していない方に限っています。また、羊膜は移植された後に拒絶反応を起こすことがほとんどない組織として知られており、実際的にもこれまで移植後に拒絶反応を起こした例はありません。

再生医療

培養角膜上皮移植と培養口腔粘膜上皮移植

培養角膜上皮移植は、患者様ご自身の角膜輪部組織から分離した細胞を培養して製造する角膜上皮細胞シートを移植するもので、採取する傷も小さく、またご自身の細胞であることから免疫抑制を必要としないため低リスクの手術です。当施設ではニデック社のネピックを使用しています。

培養口腔粘膜上皮移植は、患者様ご自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作成した口腔粘膜上皮細胞シートを移植するもので、両眼の角膜が広範囲に障害を受けられている患者様に対する新たな治療法とされています。当施設では、ニデック社のオキュラル、ひろさきLI社のサクラシーを使用しています。

水疱性角膜症に対する培養角膜内皮細胞注入療法

水疱性角膜症は角膜内皮細胞の機能不全により、角膜が浮腫状に混濁する病気です。角膜内皮細胞は、角膜の一番内側にある細胞で、角膜内の水分量を調節している細胞です。この機能により、角膜の水分量は一定に保たれ、角膜の厚みや透明性が維持されています。この機能が障害されると、角膜内の水分が排出できなくなり、角膜は浮腫(むくみ)で厚くなり透明性も低下します。また、浮腫のために角膜の表面を覆っている角膜上皮が剥がれやすくなります。視力の低下が軽度であればそのまま経過をみますが、角膜上皮が剥がれ痛みが生じている場合は、ソフトコンタクトレンズの装用や高張食塩水の点眼、軟膏で経過をみます。高張食塩水の点眼や軟膏により浸透圧の作用で角膜内に溜まった水分を一時的に排出する効果があります。視力の低下が高度であり、ソフトコンタクトレンズや高張食塩水で痛みが軽減しない場合などは、角膜内皮細胞を移植する角膜内皮移植を行います。

水疱性角膜症に対する新規治療法として、提供頂いた角膜から角膜内皮細胞を培養し、患者様の角膜内皮面の細胞を取り除いた後、培養・選別した角膜内皮細胞の入った液体を角膜内皮に面したスペース(前房)に注入するという、培養角膜内皮細胞注入療法が開発されてきています。(木下茂ら、京都府立医科大学未来医療学)この治療方法は、従来の角膜移植の代替となり得ること、ご提供頂いたドナー1眼から200人以上への移植が可能になること、何より治療手技が簡単で目の負担も極めて少ない点も大きな利点です。将来的に難治性の水疱性角膜症に対しても良好な治療効果が期待されています。

当施設では臨床治験に参加し、承認後に本治療法の実施に向けた準備を行っています。

難治性緑内障治療

緑内障は視細胞と網膜神経線維がすり減って視野狭窄が生じる病気です。

緑内障による視神経の障害は、目の硬さである眼圧が、その人の耐えられる眼圧より上昇することによって引き起こされます。眼圧が上昇する原因により種類が分かれます。

原発開放隅角緑内障:房水の出口である線維柱帯が徐々に目詰まりし、眼圧が上昇します。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。

正常眼圧緑内障:眼圧が正常範囲(10~21mmHg)にも関わらず緑内障になる人がいます。これを正常眼圧緑内障と呼び、開放隅角緑内障に分類されます。日本人の緑内障の約7割が正常眼圧緑内障です。

原発閉塞隅角緑内障:隅角が狭くなり、ふさがって房水の流れが妨げられ(線維柱帯がふさがれて)、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。

発達緑内障:生まれつき眼内の水の流れ路が未発達であることから起こる緑内障です。

続発緑内障:外傷、角膜の病気、網膜剥離、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障です。

治療方法:房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって、病気の進行を抑えることができます。点眼薬を使っても、視野の欠損が進行する場合には、外科的治療を行います。レーザーを房水が排出される部分(線維柱帯)に照射し、房水の流出を促進する「レーザー療法」や、手術で線維柱帯の一部を取り除いて房水の逃げ道をつくる「線維柱帯切除術」などがあります。緑内障により一度失った視野は元には戻らないため根気よく治療を続けていくことが大切です。また自覚症状の出る前に発見することが重要です。

当施設では光干渉断層計(OCT)にて網膜神経線維を測定することにより、視野狭窄が生じる前の緑内障初期の段階で緑内障の進行度合いを判定することができ早い段階で点眼等の治療に入ることができます。

加齢黄斑変性症

網膜の中心部の視細胞が集まる「黄斑」に異常が生じ、ものが歪んで見えたり、はっきり見えなくなったりし、失明に至ることもあります。加齢により委縮する委縮型加齢黄斑変性と、黄斑部に異常な新しい血管が生え、その血管から血液や滲出液が漏れる滲出型加齢黄斑変性との2つの種類があります。日本人の加齢黄斑変性の患者さんのほとんどは滲出型加齢黄斑変性です。滲出型加齢黄斑変性の治療として、異常な新しい血管を生み出してしまう血管内皮増殖因子(VEGF)というタンパク質の発生を抑える薬を直接目に注射する抗血管新生療法(抗VEGF療法)があります。入院の必要はなく、外来通院で受けられます。

白内障

白内障はカメラのレンズと同じ役割をしている水晶体が白っぽく濁ってしまう病気です。白く濁ることで正しい映像が目の網膜に伝わらず視力が低下してしまいます。手術内容は濁った水晶体を一度取り除き代わりに人工の水晶体を挿入していきます。最終的にはレンズを入れ替えることで視力が復調し、モノが見える状態になります。

多焦点眼内レンズと選定療養

通常の白内障手術(単焦点眼内レンズ)は、ピントが合うのは1点ですので、遠くもしくは近くを選択します。多焦点眼内レンズは、目の状態やライフスタイルによって「遠くと近く」「遠くと中間」「遠くと中間と近く」に焦点を合わせるレンズがあり、眼鏡のわずらわしさから解放されることが可能です。

選定療養とは追加費用をご負担されることで、保険適用外の治療を保険適用の治療と合わせて受けることができる制度です。手術自体は通常の単焦点眼内レンズと変わらず保険適応となり、多焦点眼内レンズを選択することで増えるレンズの差額分のみを自費にてお支払い頂くことで、従来全額自己負担であった多焦点眼内レンズ手術の費用負担を軽減した形で手術を受けられるようになりました。当センターでも多焦点眼内レンズを取り扱っておりますのでお気軽にお声かけください。

翼状片

翼状片は結膜(白目の部分)の下の細胞が異常に増殖して、角膜(黒目の部分)へ入り込んでくる病気です。黒目の左右にある白い部分が黒目の中心に向かって三角形状に伸びてきます。翼状片は、通常鼻側から角膜中央部に向かって侵入します。翼状片が中央へ進むにつれ角膜が引っ張られるため乱視が出現します。乱視がひどくなった場合や、翼状片が大きくなり黒目の中央にまで進行した場合は視力が非常に低下します。このような場合は翼状片を切除し再発防止のため自分の正常な部分の結膜を移植する手術を行います。また再発を更に予防する方法として、手術中にマイトマイシンCという増殖抑制薬剤を使用したり、再発翼状片では羊膜移植を併用します。

外来担当医表

 

眼科

鍵谷

岡田

鍵谷

松野

稲冨(第3週休診)

鍵谷

神野(第2・第4)

 

稲冨

岡田

岡田

網膜外来

ロービジョン  

角膜外来

緑内障

(1M森)

 

 

担当医