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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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体重や握力の平均的な加齢変化

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

 加齢に伴い、骨格筋量(腕や脚など体を動かすための筋肉の量)は減少し、体脂肪量は増加しやすいことが知られています。特に日本人は、欧米人と比べて肥満度が低く、多くの人は正常な体重の範囲(身長と体重から計算される体格指数のBMI(kg/m2)が18.5以上25.0未満)で高齢期を迎えますが、加齢とともに骨格筋量が減少し、摂食量も減る傾向があることから、高齢期以降に体重減少が生じやすいという特徴があります。また、体重減少は筋力の減少と同時に生じることが多く、これらはフレイル1)の進行やサルコペニア2)の発症とも関連します。

1)フレイル:心身のさまざまな機能が加齢や病気などによって低下した状態を指しますが、適切な対処により改善すると考えられています。
2)サルコペニア:加齢により骨格筋量や筋力が低下した状態を指します。

痩せた男性の高齢者と握力低下に困る女性の高齢者

 医学的によく用いられる評価基準では、身体的フレイルの評価項目に「体重減少」や「握力の低下」が含まれており、サルコペニアの評価項目でも筋力低下の指標として「握力の低下」が用いられています。つまり、体重減少や握力低下は、高齢期の自立した生活を妨げる危険因子と考えられています。
 しかし、体重や握力は緩やかに減少することが多く、その低下の様相が加齢に伴う平均的な低下なのか、注意すべき低下なのかを、一般の方が普段の生活の中で判断することは難しいと考えられます。そこで、本研究では、日本人における加齢に伴う平均的な身長・体重と握力の変化を明らかにし、自分の変化を同年代の集団の中で位置づける参考値となる平均曲線を作成することとしました。

 NILS-LSA第1次調査から第9次調査(1997年から2022年)に1回以上参加された地域住民の方々の測定値を用い、1920年代から1970年代までの10年区切りで、生まれた年代(出生コホート)別に、身長・体重・握力の経年変化と加齢に伴う平均曲線を作成しました。出生コホート別としたのは、現代の日本人は、戦後の急激な栄養状態の改善や医療の向上にともない、出生コホートにより身長や体重などの平均値が異なるためです。

図.身長・体重・握力の加齢変化(出生コホート別の平均曲線)。上段に男性の変化、下段に女性の変化を示しており、いずれのグラフも加齢により値が低くなることを示している。

 定期的に体重や血圧等を測定して、健康手帳(厚生労働省kenkotecho_width_2023_Aこのリンクは別ウィンドウで開きます)等に記録されている方も多いと思いますが、本研究で開発した平均曲線を参照することで、個人における筋力低下や体重減少が、平均的な身長・体重・握力の低下に近いかどうか(急激に低下していないか等)を、ある程度把握することができます。
 一方、本研究で示す平均曲線は、疫学調査研究に参加可能な比較的元気な方の実測値をもとに示したものであり、必ずしも全ての中高年者の実測値から算出していない点に注意が必要です。また、出生コホートにより身長や体重の平均値やばらつきは変化するため、継続的な疫学調査により、本平均曲線は改訂する必要があるでしょう。

半年から年に一回程度は握力や体重を測定し、健康管理に役立てましょう

<コラム担当:大塚礼、張姝> 

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

Age-related changes in anthropometric measurements, body composition, and physical function among middle-aged and older Japanese community-dwellers: A longitudinal study - Arch Gerontol Geriatr. 2025 Jul 2:137:105943. doi: 10.1016/j.archger.2025.105943.

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