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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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食事と認知機能(1) 【認知症予防】

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

魚油に多く含まれるDHA

認知症はいろいろな要因により脳内の細胞の働きが悪くなり、認知機能が低下し、日常生活を営む上で支障が生じる状態をさします。その予防や治療に関する研究は国内外で精力的に行われていますが、NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)でも認知機能低下を予防する生活習慣等について研究を行なっています。

今回は食生活の中でも私たちがよく食べる魚の油に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)に注目し、認知機能との関連について紹介します。

DHAは、必須脂肪酸という人の身体の中でほとんど作ることができない脂肪酸の種類で、イワシやサンマなどの青魚に多く含まれています。動脈硬化を抑制する作用があるDHAは、私たちの脳内の細胞膜に多く含まれており、脳の働きとも密接に関係すると考えられています。

NILS-LSAでは地域在住の60歳以上の方々のデータを用いて、血液中のDHA濃度の高い人と低い人では、10年後の認知機能低下リスクが異なるかを検討しました。その結果、図にしめすように、血液中のDHA濃度が最も低い人たちに比べ、中程度あるいは高い人たちでは、10年後の認知機能低下リスクが0.11倍あるいは0.17倍となり、認知機能が低下しにくいという結果が得られました。

 

血液中のDHA濃度と認知機能低下のリスクの関連を示した図。血液中のDHA濃度59から138を基準とし、濃度138から175では0.11倍、濃度175から354では0.17倍、それぞれ認知機能低下しにくい。

図:血液中のDHA濃度と10年後の認知機能低下との関連

前述のとおり、私たちの身体の中ではDHAをほとんど作ることができないので、通常、食事から摂取しています。またDHAは、主に海で生息する植物プランクトンを摂取した動物プランクトンの体内で生成され、それを食べた魚に多く含まれるので、私たち人間は主に海水魚からこれらの栄養素をとっています。

 

旬の魚は脂がのっていておいしいですね!実はこのように脂ののった魚(特に青魚)にはDHAが多く含まれています。脂ののった魚を焼くと香ばしくて格別な味を楽しめますが、調理の手間が少ないお刺身は脂を丸ごと食べられるという利点があります。新鮮な旬の魚を食卓にとりいれて季節の味覚を楽しむことで、認知機能の低下も予防できたら素晴らしいのではないでしょうか。

新鮮な旬の魚からDHAを取り入れて、認知機能の低下を予防しましょう

<コラム担当:大塚 礼>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
Otsuka R, Tange C, Nishita Y, Kato Y, Imai T, Ando F, Shimokata H.
Serum docosahexaenoic and eicosapentaenoic acid and risk of cognitive decline over 10 years among elderly Japanese.
Eur J Clin Nutr. 2014;68(4):503-509.

『食と認知機能シリーズ』をぜひご覧ください。

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