すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~
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突然ですが、あなたに質問です。
・・・とお願いされたら、何を書きますか?あなたが続きに書く内容は、概ねあなたが望む幸せの形を反映していると考えられます。「健康で長生きできること」、「ゆとりのある生活を送れること」、「家族みんなで仲良く暮らすこと」など、人によりいろいろな内容が書かれることと思います。では、実際にこれらの事柄は、人々が幸せと感じる度合い(主観的幸福感)と関連するのでしょうか。
NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)での調査の結果、60歳から89歳の方々では、男女で共通して、健康状態や経済状態が主観的幸福感に関連していることがわかりました。具体的には、男性でも女性でも「身体のここの調子が悪い」とか「この病気を抱えている」という人よりも、「自分は健康だ」と思っている人の方が幸福を強く感じている、そして「経済的に苦しい」とか「もっとお金が欲しい」という人よりも、「収入としては今くらいで一応大丈夫」とか「経済的には恵まれている」と思っている人の方が幸福を強く感じている、という結果が示されました。
このような結果は、一般の人にだいたい共通した「幸福のもと」があることを示しておりますが、実は今回の分析で、一つだけ男女間で違った結果が示されました。それは「現時点での配偶者の有無」、つまり「夫あるいは妻がいる」か、それとも“配偶者に先立たれた”、“離婚した”、“結婚したことがない”などの理由で「夫あるいは妻がいない」か、ということについてでした。
図:男女別での主観的幸福感得点
解析に際しては、出生年・測定時期を調整し、日常生活活動能力、主観的健康感、経済状態満足度、婚姻状況の効果を検討した。
上図に示しましたように、女性では配偶者がいる人といない人を比べた場合、主観的幸福感の程度はどちらの人でもほぼ同じです。しかし、男性では配偶者がいない人はいる人と比べて主観的幸福感が低い、という結果が示されました。女性は旦那さんがいなくても、友達や子どもたちとわいわい楽しくやって幸せに生きている、けれども男性は幸せな老後を過ごせるかどうかは奥さんがいるかいないかが影響している…ということでしょうか。現在、奥さんのいらっしゃらない男性の方々は、素敵なパートナーを探す、または趣味や生きがいなどの、自分なりの「幸福のもと」を持つことで、より幸せな人生を送れるかもしれません。そして現在、奥さんのいらっしゃる男性の方々は、自分の幸せのためにも、奥さんを大切になさってください!
自分なりの幸福のもとをみつけて、大事にしましょう
<コラム担当:丹下 智香子>
*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています* 丹下智香子,西田裕紀子,富田真紀子,坪井さとみ,福川康之,安藤富士子,下方浩史:
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