プレスリリース
ホーム > 研究所 > 研究実績 > 市町村などで導入可能な認知症予防を目的とした「地域版J-MINT Brain Healthプログラム」を新たに開発 ~2026年4月より、全国19自治体で 当該プログラムの効果を検証する研究が開始~
2025年11月4日
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典。以下 国立長寿医療研究センター)は、認知症予防を目的としたプログラムの効果を検証したJ-MINT研究(解説1)の成果に基づき、市町村など地域で導入可能な、認知症予防を目的としたプログラム「地域版J-MINT Brain Healthプログラム」を新たに開発しました。
全国19自治体と研究の推進に関わる連携協定を締結し、2026年(令和8年)4月より「地域版J-MINT Brain Healthプログラム」が認知機能に与える効果を検証するクラスターランダム化比較試験(解説2)を開始します。
日本では急速な高齢化に伴い、認知症や軽度認知障害(MCI)の有病率が今後ますます増加すると推計されています(令和5年度 老人保健事業推進費等補助金)。
こうした背景を踏まえ、2024年(令和6年)12月に厚生労働省は「認知症施策推進基本計画」を策定し、その柱の一つとして、科学的根拠(エビデンス)に基づいた認知症予防活動の推進を掲げています。現在、全国の自治体において様々な介護予防プログラムが展開されていますが、その多くは認知症予防に関する十分なエビデンスを備えていないのが現状です。
この課題に対応するため、軽度認知障害(MCI)を有する方を対象として認知症予防を目的とした多因子介入プログラムの効果を検証したJ-MINT研究(解説1)の成果に基づき、自治体の一般介護予防事業として活用可能な新たなプログラム「地域版J-MINT Brain Healthプログラム」を開発しました。
本プログラムは、1回90分、週1回のペースで全24回にわたり実施する教室型のプログラム(図1)です。各回はおよそ20名の参加者を対象に、インストラクターが指導を行います。参加者は、運動や食事、社会活動など、認知症予防に役立つ知識や生活習慣を体系的に学び、自身の生活の中で実践に結び付けることができます。

図1. プログラムの内容
本研究の目的は、地域版J-MINT Brain Healthプログラムが認知機能に与える効果を、クラスターランダム化比較試験(解説2)により検証することです(図2)。

図2. 研究の概要
全国の自治体で、60から80歳の高齢者を対象に、高血圧または高血糖の基準に該当し、主観的および軽度認知機能低下を有する方を各20から40名募集し、1年間にわたりプログラムを提供します。研究デザイン上、参加自治体はランダムに前半群と後半群に割付られ、前半の自治体では2026年(令和8年)4月から2027年(令和9年)年3月まで、後半の自治体では2027年(令和9年)4月から2028年(令和10年)3月まで、順次プログラムを提供します。さらに、1年間のプログラム終了後に、参加者自身が教室運営に関わる「継続教室」を取り入れ、地域に根付いた持続的な取り組みへと発展させていくことも予定しています。また、本研究では、7月15日のプレスリリース
にある事業認定制度やインストラクター育成制度を活用し、J-MINT認定推進機構株式会社(J-MAP:解説3)と連携しながら研究を進めていきます。
本研究では、全国19の自治体(図3)と共同で研究を推進していきます。なお、秋田県潟上市では、秋田大学と連携して研究を進めていく予定です。

図3. 参加確定自治体
本研究は、自治体で導入可能な認知症予防を目的としたプログラムの有効性を科学的に検証し、そのエビデンスを国内で初めて創出する試みです。本プログラムの実施により、高齢者の認知機能の維持・向上に加えて、生活の質(QOL)の改善、健康寿命の延伸、さらには医療費・介護費の抑制にもつながることが期待されます。
さらに、今後は「地域版J-MINT Brain Healthプログラム」を、誰もが・いつでも・どこでも受けられるサービスへと発展させることを目指します。その社会実装に向けて、J-MAPがプログラム全体の管理を担い、プログラムの提供事業者を「J-MINTパートナー」として認定する制度や、プログラムを実施する「J-MINTインストラクター」の育成・認証制度を運営します。これらの仕組みによって、科学的根拠に基づいた認知症予防活動を全国へと広く普及させていきます。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の助成を受けて行われます。
国立長寿医療研究センター 予防科学研究部
電話 0562(46)2311(内線5068)
E-mail sbir-office(at-mark)ncgg.go.jp
※(at-mark)を「@」に置き換えてください。
国立長寿医療研究センター総務部総務課 総務係長(広報担当)
〠474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話 0562(46)2311(代表)
E-mail webadmin(at-mark)ncgg.go.jp
※(at-mark)を「@」に置き換えてください。
![]()