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ホーム > 研究所 > ニュース&トピックス > 老年社会科学研究部の鄭丞媛客員研究員(新見公立大学 地域福祉学科 教授)と鈴木隆雄理事長特任補佐のチーズの摂取と認知症発症に関する論文がNutrients誌に掲載されました
これまで我が国の高齢者を対象とした乳・乳製品摂取と認知機能との疫学的先行研究から、チーズ(特に白カビタイプ)の摂取が認知機能低下に抑制的に関連することが明らかにされています(Kim H, Suzuki T et al. 2023, Suzuki T, Osuka Y, et al. 2024)。本研究は、大規模な地域在宅高齢者コホートの縦断的研究を通じて、チーズ摂取と認知症発症との関連性を検証し、習慣的なチーズ摂取の潜在的な認知症予防効果に関する疫学的エビデンスを提供することを目的としました。
日本老年学的評価研究(JAGES)2019-2022コホートのデータを分析し、調査回答と介護保険サービス受給データを関連付けた分析を行いました。チーズ摂取量はベースライン時に評価し、週1回以上摂取する群(摂取群)とそれ以下の群(非摂取群)に分類しました。傾向スコアマッチング(PSM)による群間設定を行い、Cox比例ハザードモデルを用いて、両群における3年間の認知症発症のハザード比(HR)を算出し比較したものです。
PSM後、7,914名の参加者(摂取者3,957名、非摂取者3,957名)が解析されました。両群におけるベースラインの共変量に有意差はないことが確認されています。3年間で、摂取者から134名(3.4%)と非摂取者から176名(4.5%)の認知症発症が確認されました。絶対リスク差は1.06パーセントポイントでした。チーズの摂取は認知症発症のハザード低下と有意な関連を示していました(HR=0.76、95%信頼区間0.60から0.95、p=0.015)。
週1回以上の習慣的なチーズ摂取は、日本人高齢者における3年間の認知症発症率の低下と中等度の関連を示していました。絶対リスク低下は小さかったものの、これらの知見は、乳製品摂取と認知機能の健康とを関連付ける過去の観察研究の結果とよく一致していました。用量反応関係、チーズのサブタイプ、および基礎となるメカニズムを明らかにするために、さらなる研究が必要であると思われます。
Cheese Consumption and Incidence of Dementia in Community-Dwelling Older Japanese Adults: The JAGES 2019–2022 Cohort Study.
Seungwon Jeong1,2,Takao Suzuki2,Yusuke Inoue1,Eunji Ban3,Kentaro Nakamura4,Mayuki Sasaki4 and Katsunori Kondo5,6
Nutrients 2025
本論文が公表されてからすぐに欧米ではメディアで報道されました(以下は英国での例)
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