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職員の新型コロナウイルス抗体保有率の調査結果がJournal of Infection誌に掲載されました

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は、原因となるウイルス(SARS-CoV-2)に感染しても症状を示さないこともあり、感染状況を正確に把握することは困難とされています。しかしながら、無症状であっても感染によってSARS-CoV-2に対する抗体(新型コロナウイルス抗体)が作られます。すなわち、新型コロナウイルス抗体を過去の感染の痕跡としてとらえることができます。

調査チームは、職員の同意を得て、職員の定期健診で採取した血液に含まれる新型コロナウイルスのN(ヌクレオカプシド)抗原に対する抗体を測定することで、無症状者を含む職員の新型コロナウイルス感染状況を調査しました。N抗原はワクチンに含まれておらず、ワクチンを接種してもN抗原に対する抗体は作られません。したがって、ウイルス感染により作られたN抗原に対する抗体を調べることにより、集団における感染の広がりを明らかにすることができます(図1)。

図1 新型コロナウイルスの構造と、抗体検査により得られる結果の違い

調査チームは、2020年と2021年のそれぞれ6月に採取した血液に含まれるN抗原に対する抗体を3つの異なる検査試薬で測定し、2種類以上の試薬で陽性と判定された場合に、過去に新型コロナウイルスに感染した可能性があると判断しました。その結果、2020年は0.36%、2021年は0.54%が抗体陽性と判定されました(表1)。また、2020年の検査で陽性と判定された項目は、1名を除いて2021年にも同じ検査試薬で陽性と判定され、感染により作られた抗体が1年以上維持される可能性があることが示されました。

一方、ワクチン接種に応答して作られるS(スパイク)抗原に対する抗体は、2020年(ワクチン接種前)の調査における陽性率が0.18%だったのに対し、90%以上の職員がワクチン接種を終えた2021年の調査では93.7%に上昇し、ワクチンを接種した職員のほとんどで抗体が作られたことが分かりました(表1)。

表1 職員における新型コロナウイルス抗体保有率(受検者数556人)

2021年の当センター職員の抗体保有率は、2020年12月に厚生労働省により行われた同様の調査における愛知県での抗体保有率(0.54%)と同等であり、職場等の定期健診で採取した血液を用いてN抗原に対する抗体を測定することで、地域の感染状況を推測できることが示されました。また、当センターにおいて抗体保有者が特定の職種に集中することはなく、施設内での感染拡大は起きていないと考えられます。

当センターでは、今後とも職員における新型コロナウイルス抗体を定期的に検査して感染状況を監視するとともに、感染対策の徹底や検査体制の強化により、センター内での感染拡大を防止するよう努めて参ります。

本研究成果は、2021年10月30日に、英国感染症学会の学術誌「Journal of Infection」のオンライン速報版で公開されました。本研究は、国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)による「ナショナルセンター職員における新型コロナウイルス感染症の実態と要因に関する多施設共同観察研究」の一環として行われました。

論文情報

表題

Prevalence of SARS-CoN-2 antibodies after one-year follow up among workers in a research institute.

研究チーム 

掲載誌

Journal of Infection

論文URL

https://doi.org/10.1016/j.jinf.2021.10.021このリンクは別ウィンドウで開きます

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