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脳内の「右IFG(下前頭回)-TPJ(側頭頭頂接合部)」を中心としたネットワーク機能が、加齢による認知機能低下を抑える可能性が示唆されました

2026年4月16日

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典。以下「国立長寿医療研究センター」)老年学・社会科学研究センターの片山脩副部長、島田裕之センター長らの研究グループは、右IFG-TPJ(注1)ネットワークを中心とした脳内ネットワークが機能することにより、加齢によって脳が萎縮(大脳白質体積の減少)しても認知機能を保つことに関与する可能性のある脳の活動パターンを明らかにしました。

注1)右脳のIFG(下前頭回:かぜんとうかい)とTPJ(側頭頭頂接合部:そくとうとうちょうせつごうぶ)<図参照>

研究背景

加齢による脳萎縮と認知機能の低下は避けては通れません。しかし、脳が萎縮しても認知機能を高く保たれている方もいれば、そうでない方もいます。その違いはなんなのか。こうした脳の特性は、認知予備能と呼ばれています。
これまで、認知予備能は幼少期のIQや教育年数といった指標で測定されていましたが、近年では脳内ネットワークの活動パターンが注目され始めています。しかし、認知予備能を反映する脳の活動パターンは十分に明らかにされていませんでした。

研究内容

今回の研究では、地域在住高齢者832名(全員が右利き)を対象に、MRI検査、認知機能検査、脳波検査を実施しました。具体的には、MRI検査で大脳白質(情報を伝達する神経の束)の体積、認知機能検査で各種認知機能(記憶、注意、遂行機能、処理速度、ワーキングメモリ)、脳波検査で脳内ネットワークの活動パターンを調べました。認知機能は、大脳白質の体積にも依存するとされています。つまり、大脳白質の体積減少は認知機能の低下に繋がるという関係が多くの研究で明らかにされています。
本研究の結果は、右脳のIFG(下前頭回:かぜんとうかい)と呼ばれる部位のアルファ波の活動増加と右脳のTPJ(側頭頭頂接合部:そくとうとうちょうせつごうぶ)と呼ばれる部位のベータ波の活動減少という脳の活動パターンが、大脳白質の体積と認知機能との関係を調整していることが明らかとなりました。
驚くべきことに、一見、逆説的に見えますが、この特定のパターン(右IFG-TPJ)の活動が、低く保たれているほど、脳が萎縮(大脳白質体積が減少)していても、認知機能を保つことができる可能性が明らかとなりました。この結果は、余計な力を使わずに高いパフォーマンスを発揮できるという“神経効率性”を表している可能性があり、この神経効率性が高いことこそが脳が萎縮しても認知機能を保つ、つまり認知予備能が高いことを反映しているのではないかと考えられます。

認知予備能を反映した脳の活動パターン

研究の意義と今後の展望

この研究の成果は脳が萎縮しても認知機能を保ちうるといった観点から、認知機能維持に向けての新たな介入につながる可能性を示唆しており、次のようなメリット・展望が期待されます:

今後は、認知機能にも様々な機能(記憶、遂行機能、処理速度など)がありますので、それぞれの認知機能を保つことに関与する認知予備能を反映した脳の活動パターンを明らかにして、その活動パターンをトレーニングすることで認知症が予防できるのかを明らかにすることを目指します。

本研究は、厚生労働科学研究 認知症政策研究事業、科研費(日本学術振興会科学研究費助成事業)、国立長寿医療研究センター長寿医療研究開発費からの研究助成を受けて行われました。

論文情報

リンク

お問い合わせ先

研究に関すること

国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部
副部長 片山脩

TEL : 0562(44)5651 (内線 5256) PHS 7881
E-mail : katayama.o(at-mark)ncgg.go.jp

※(at-mark)を「@」に置き換えてください)

報道に関すること

国立長寿医療研究センター 総務部総務課

TEL : 0562-46-2311(代表)
E-mail : webadmin(at-mark)ncgg.go.jp

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