プレスリリース
~マイエブリサイズの前後で運動頻度や時間が増加することを確認~
2025年10月31日
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典。以下国立長寿医療研究センター)分子基盤研究部の里直行部長、篠原充副部長のグループは至学館大学多田敬典教授、米国Barrow Neurological Institute、ドイツKarlsruhe Institute of Technology、東京都健康長寿医療センター、東京大学、順天堂大学、筑波大学との共同で、マイエブリサイズ(日常生活動作をCUE(合図・きっかけ)にして運動を行う方法)を開発し、そのマイエブリサイズの前後で、「軽い運動の頻度」あるいは「頻度×時間」が増加することを確認しました。
運動を継続することによってフレイルや認知症をはじめとする老年疾患が予防できるのではないかと考えられていますが(参考文献1)、これまで運動を継続する簡便かつ有効な方法はありませんでした。
そこで、日常生活動作をCUE(合図・きっかけ)にして、その前後に運動を行う方法を発案し、マイエブリサイズⓇ(マイ・エブリデイ・エクササイズの略)と名付け、国立長寿医療研究センターから商標登録しました(2020年9月3日登録)。
具体的には、「歯磨き」の前後にスクワットを行う、「掃除」の前後に腹筋運動を行う、「洗濯」の前後に屈伸運動を行うなど、日常の生活動作に簡単な運動を組み合わせる方法です(図1)。

図1.日常生活動作をCUE(合図・きっかけ)にして運動を行うマイエブリサイズⓇの開発
CUE(合図・きっかけ)として用いる生活動作は、「歯磨き」以外にも、「着替え」、「整容」、「家事」、「食事」、「トイレ」、「コーヒーを入れる」といった日常のあらゆる生活動作が対象になります。
自分自身の生活において「起点となりうる日常生活動作」を見つけ、その前後に運動を組み入れることで、無理なく継続的な運動の習慣化が可能になると考えられます。
今回20名の被験者にこのマイエブリサイズⓇを実施してもらい、われわれが本年春に発表した日本語版ライフスタイル質問票(参考文献2、添付書類(308KB)
)を用いて前後1か月の運動の強度、頻度、時間を確認したところ、期待通りに「軽い運動の頻度」と「頻度×時間」が増加していることが判明致しました(図2)。

図2.マイエブリサイズⓇ実施前後の軽い運動の頻度および頻度×時間の変化
現在、マイエブリサイズⓇのランダム化比較試験(注)の研究を計画中です。
このマイエブリサイズⓇは、今後、運動を毎日、継続させる方法として、日本のみならず世界中で大いに役立つことが期待されます。
更には、ライフスタイル質問票とマイエブリサイズをセットにして若年期の段階から用いることによって行動変容を起こし、ひいては生活習慣病や老年疾患の予防につながるのではないかと考えられます。
研究の対象者をランダム(無作為)に2つ以上のグループに分けて、介入の効果等を検証するというもの。
本研究成果は「Journal of Alzheimer’s disease」に掲載されました。
Tada H, Shinohara M, Teramoto A, Satake S, Krell-Roesch J, Matsumoto S, Yamada M, Satoh T, Kawano R, Suzuki K, Kondo I, Akishita M, Arai H, Geda YE, Watada H, Sato N. MyEveryCise: a method for everyday exercise using “an activity of daily living. Journal of Alzheimer’s disease. 2025; 108(3), doi: 10.1177/13872877251385170
First published online October 17.
国立長寿医療研究センター研究所 認知症先進医療開発センター
分子基盤研究部 部長 里直行、副部長 篠原充
電話:0562-46-2311(代表)E-mail:nsato(at-mark)ncgg.go.jp
※(at-markを「@」に置き換えてください)
国立長寿医療研究センター総務部総務課 総務係長(広報担当)
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話:0562(46)2311(代表)E-mail:webadmin@ncgg.go.jp
![]()