プレスリリース
2024年4月15日
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井 秀典。以下、国立長寿医療研究センター)、東浦町、東京都健康長寿医療センター、中京大学、株式会社ヤクルト本社、味の素株式会社、UHA味覚糖株式会社、天野エンザイム株式会社、株式会社TL Genomics、株式会社日立製作所、株式会社ACCELStarsは東浦研究を開始しました。
東浦研究は、2023年度より開始された新しい長期縦断疫学研究です。東浦町に在住し、要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方が対象です。東浦研究の主要な目的は、フレイル(加齢に伴う心身の機能低下)の進行・改善に関与する要因を、様々な角度から解明することです(図1)。
東浦研究では、この研究に参画・協力する様々なステークホルダー(企業、学術機関、および東浦町)が、ヘルシーエイジング社会の実現に向けて新たな価値を共創する協議体「ヘルシーエイジング社会に向けた東浦イノベーションコンソーシアム(Higashiura Innovation Consortium for Healthy Ageing Society: HICAS)」を結成し(図2)、研究開発から普及・実装までのプロセスを共有します。本コンソーシアムは、エビデンスとイノベーションの創出を加速させ、我が国の学術・産業の発展や健康福祉政策の推進に寄与することを使命としています。
国立長寿医療研究センターは、6つ目のナショナルセンターとして2004年に開設され、2010年に独立行政法人化、2015年に国立研究開発法人化しました。認知症、フレイルなどの老年症候群に対する先進的な医療を我が国で展開するために、老化に関する様々な基礎研究、臨床研究、疫学研究を行っています。東浦研究では、研究代表機関として各機関の調整役を担います。フレイルに関連する身体・精神心理・社会的要因を明らかにするとともに、フレイル予防に向けた具体的な生活習慣(運動・栄養・睡眠・口腔ケア)を提案します。
東浦町は愛知県の知多半島北東部に位置しており、木材工業や自動車関連産業が主要な産業です。人口は50,176人、高齢化率は25.8%です(令和6年3月1日現在)。「一人ひとりが住み慣れたこの町で、その人らしく笑顔で暮らし続ける」そんな暮らしを支えるための地域の力づくりを行うため、本町では、「ふだんの くらしの しあわせ」を守り支えることを目指し、「地域包括ケア」に取り組んでいます。高齢になっても住み慣れた地域で暮らすために、住民の皆さんの健康を守ることはとても重要なものとなります。
令和4年3月に国立長寿医療研究センターと「連携・協力に関する協定」を締結し、地域包括ケアを推進するとともに、介護予防や認知症予防と共生について連携・協力を図っています。本研究によって、フレイル予防に向けた具体的な施策等につながること、住民の皆さんの健康寿命の延伸につながることを期待しています。
東京都健康長寿医療センターは、1872年に設立された養育院を前身に、高齢者医学・医療あるいは老年学のリーディングホスピタル・インスティチュートとして多くの診療実績・研究実績をあげています。2009年に、東京都老人医療センターと東京都老人総合研究所の両施設が一体化して地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターとなり、2013年には新病院・研究所に移転し、新たな環境と最新の設備の下、活発な診療、研究活動を展開しています。東浦研究では、特に骨格筋等の超音波検査を担当し、フレイル予防に資する筋量や筋肉の質について明らかにします。
詳しくは、リンク(http://www.tmghig.jp/)をご覧ください。
中京大学は、昭和29年に中京短期大学として開学し、その2年後の昭和31年に4年制大学となりました。現在は、10学部9研究科を擁する総合大学として、名古屋市と豊田市にある2つのキャンパスで、合計12,000人を超す学生が学んでいます。校訓「真剣味」、建学の精神「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」を掲げ、中部地区の知の拠点として,教育・研究・社会連帯・国際化を骨子とする活動に取り組んでいます。東浦研究では、医用画像を用いて骨格筋の量と質の調査を行い、それらに関連する要因を明らかにすることで、サルコペニアやフレイルの予防・対策に貢献する基礎データの獲得を目指します。
株式会社ヤクルト本社は、「私たちは、生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。」という企業理念のもと、事業を展開しています。また、創業当初から腸内細菌や有用微生物などの基盤研究にも取り組み、健康課題や社会課題を解決する新たな価値の提供を目指して研究開発活動を推進しています。東浦研究では、乳酸菌摂取が脳やからだの健康に果たす役割を明らかにし、健康長寿社会の実現に貢献します。
味の素グループは、生活者の健康とWell-beingの実現に向け、社会価値の高い領域として4つの成長領域(「ヘルスケア」「フード&ウェルネス」「ICT」「グリーン」)を設定して飛躍的な成長を目指しています。この中で、食を通じた適切な健康ソリューションを提供する「フード&ウェルネス領域」において、新たな事業モデルの構築を加速しています。東浦研究では、高齢者個々人の代謝的・身体的特徴から老化および加齢性疾患のメカニズムを理解し、健康寿命延伸・Well-being向上に繋がる食を中心としたソリューションや代謝状態を可視化する技術を開発することを目的に参画いたします。
UHA味覚糖株式会社は、近年、シリーズサプリメントの「UHAグミサプリ」、「瞬間サプリ」をはじめ、お口と舌の健康商品「シタクリア」などのブランドで生活者の皆様の健康維持増進に貢献するための商品開発に注力しています。東浦研究では、口腔内環境とフレイルの進展に関する調査を実施いたします。口腔環境とフレイル進展の関連を明確にすることにより、フレイル予防におけるオーラルケア(口腔ケア)の必要性を明らかにし、人生100年時代のWell-Beingに役立つオーラルケア商品を積極的に開発して参ります。
天野エンザイムは、創業120年を超える国内トップの酵素メーカーです。1948年に医薬用酵素(麦芽ジアスターゼ)を製造開始して以来、70年以上にわたって消化酵素の製造販売を手掛け、世界有数の酵素メーカーとして成長を続けております。加齢により消化酵素が減少し、胃もたれや食欲不振といった消化不良症状を感じる方が増えると言われています。一方で消化機能と、高齢者のフレイルに特化した科学的な研究は十分ではありません。今回、消化酵素に注目した消化機能と高齢者のフレイルとの関連性について研究を行います。
TL Genomicsは、染色体解析技術に強みをもつ研究開発型スタートアップです。ヒトの体内では性染色体(男性ならY染色体、女性なら2本あるX染色体のうち1本)が失われることが知られておりますが、弊社の独自技術で簡便に測定できるようになった結果、性染色体の喪失が生物学的年齢の指標となることが明らかになりました。東浦研究では、生物学的年齢を測定しフレイルとの関連を探索的に検証したいと考えています。
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎ、ソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。
株式会社ACCELStars(本社:福岡県久留米市、代表取締役社長:宮原禎)は東京大学医学部発のメディカルスリープテック企業です。精度の良い睡眠検出技術「アルゴリズム名:ACCEL」を用い、睡眠データの収集を通じて得られるデジタルバイオマーカーを起点に医療革新につながる事業創造を推進しています。ウェアラブルデバイスを開発し医療機器化を行う医療機器開発事業、睡眠測定及び睡眠習慣獲得のためのアプリを開発する睡眠予防事業を行っています。また、アカデミアと睡眠領域における共同研究を行い睡眠の研究も推進しています。
<この研究に関すること>
老年学・社会科学研究センター フレイル研究部
副部長 大須賀 洋祐
電話 0562-46-2311(代表) 内線5261
E-mail:osuka(at-mark)ncgg.go.jp
※(at-mark)を「@」に置き換えてください
<報道に関すること>
国立長寿医療研究センター総務部総務課広報担当
〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
電話 0562(46)2311(代表) E-mail: webadmin(at-mark)ncgg.go.jp
※(at-mark)を「@」に置き換えてください