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檜垣小百合研究員(データ管理部)らの「アルツハイマーモデルにおけるmiR-200b/cの機能解析」に関する論文が、米国科学雑誌PLoS Oneオンライン版に掲載されました

2018年06月05日

アミロイドβの毒性に対して防御的な機能をもつmiRNAの同定

miRNAは、生体内でタンパク質の発現を微調節する小さな核酸分子です。物理的に安定で、内在性であることから毒性の低い創薬ターゲットとして注目されています。これまで癌細胞の増殖抑制作用をもつmiRNAは見つかっていますが、神経疾患を対象とした成果はほとんどありませんでした。
本研究では、アルツハイマー病モデルマウスの脳内miRNAの網羅的発現解析(miRNome)を行い、アミロイドβが蓄積し始める時期に高発現していたmiR-200ファミリーに着目しました。中でもmiR-200bとmiR-200cは、神経細胞自身が産生するAβを減らす効果があり、また脳室内に投与されたアミロイドβによって空間学習ができなくなったマウスでも、miR-200b/cを非ウィルス性遺伝子導入剤により高発現させると正常なレベルの学習能力を保つことができました。
miR-200b/cがどのような遺伝子を制御しているのかを探索したところ、インスリン抵抗性にかかわる分子RPS6KB1(S6K1)が標的の一つとして見つかりました。近年、アルツハイマー病は"3型糖尿病"と言われ、脳内がインスリン抵抗性状態にあり、アミロイドβの代謝阻害やシナプス形成不全を導いているのではないかと言われています。miR-200b/cは、S6K1の発現を抑制することでインスリン抵抗性を緩和し、アミロイドβの毒性に対して防御的な作用を示すのではないかと考えられました。