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臨床ゲノム解析推進部の尾崎浩一部長が共著の心房細動感受性遺伝子群の同定に関する論文がNature Genetics誌 に掲載されました

2017年04月19日

心房細動に関係する遺伝的要因の同定

心房細動は、不整脈疾患の中でもっとも頻度の多い疾患で、有病率は年齢とともに上昇し、日本人の80歳では3%程度に達します。日本を含む先進国では心房細動の有病率のみならず、死亡率も上昇しているため、その予防のためのリスク予測などが望まれています。心房細動は、心房に負荷がかかっている状態で発症しやすいと知られていますが、そのような負荷が無くても頻繁に発症することや、これまでの疫学的研究から、遺伝的要因の関与が知られており、これまでにも日本人における心房細動の遺伝的因子がいくつか同定されていました(参考文献1, 2)。今回、共同研究グループは日本人集団における大規模なゲノムワイド関連解析を通して新たな6個の遺伝的要因を同定しました。外国人のデータと比較したところ、6個中5個は日本人にしかない遺伝的要因であることがわかりました。また、心房細動の罹患しやすさを予測するために、新規および既存の遺伝的因子群を使った遺伝的リスクスコアの構築を検討したところ、このスコアの高い群は低い群に比べて7倍近く心房細動を発症しやすい可能性を示しました。今後、これらの遺伝的因子を手掛かりに研究を進めることで、心房細動の原因解明が進み、効果的な創薬が期待できるとともに、これらの遺伝的因子を用いた疾患リスクの予測など、バイオマーカーとしての活用も期待できます。

 

参考文献

  1. Sinner MF, Tucker NR, Lunetta KL, Ozaki K., et al. Integrating Genetic, Transcriptional, and Functional Analyses to Identify Five Novel Genes for Atrial Fibrillation. Circulation 130, 1225-1235 (2014).
  2. Ellinor PT, Lunetta KL, Albert CM, Glazer NL., et al. Meta-analysis identifies six new susceptibility loci for atrial fibrillation. Nature Genetics 44, 670-675 (2012).