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老化機構研究部は、加齢により顎下腺機能が低下する仕組みの一端を解明し、その研究成果がAging Cellに掲載されることになりました

2015年04月06日

本センター研究所 老化機構研究部の山越室長らは、口腔内に唾液を分泌する唾液腺の一つである顎下腺の組織機能が加齢により低下する仕組みの一端を解明しました。

加齢に伴う口腔乾燥症状(ドライマウス)は、唾液分泌機能を有する唾液腺の老化によって唾液分泌量が減少することが一つの原因と考えられています。加齢による唾液腺の機能低下を抑えることは高齢者の生活の質を向上させる可能性があることから、唾液腺老化の仕組みについての研究の進展が望まれています。研究グループは、これまでに動物生体内可視化技術を用いて、老化マーカーp16注1)の発現動態をリアルタイムに観察できるシステムの開発を行ってきました。

今回、研究グループは、このシステムとp16の負の制御因子であり幹細胞性の維持に重要なポリコーム蛋白質Bmi-1を欠損したマウスとを組み合わせることで、顎下腺の恒常性維持にBmi-1/p16制御経路が重要であることを見出しました(図A)。加齢過程ではこの制御経路が破綻し、その結果、顎下腺細胞の数が減少することも発見しました(図B)。

今回の研究成果は、加齢による口腔乾燥症状の新たな治療法の開発に貢献する可能性があります。

この成果は英国科学誌「Aging Cell」に平成27年3月31日付で公開されました。

(平成27年4月6日)

<用語解説>

注1)老化マーカーp16

p16は癌抑制蛋白の一つで、細胞増殖を抑制する機能を担っている。加齢に伴い、多くの組織でp16の発現が上昇していることから、p16は老化の指標の一つとなる。