国立長寿医療研究センターでは、すべての動物実験は動物実験倫理委員会により監督・管理され、動物生命の尊厳や動物実験の3Rs原則*1に十分に配慮して行われています。また、動物実験の実施状況については、毎年自己点検・評価を行い、適切な実施を確認しております。なお令和元年7月には、厚生労働省の基本指針に基づき動物実験が適正になされていると評価され、公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団の動物実験実施施設認証センターより認証を取得しました(認証番号:19-110)。
実験動物管理室では長寿医療研究にかかわる実験動物施設の管理・運営に努め、研究者が科学的かつ動物愛護・福祉に配慮した動物実験を安定して実施できるよう、動物実験従事者を対象とした定期的な講習会の実施の他、発生工学をはじめとした様々な研究技術支援もあわせて行っています。
また、管理室ではセンター内において老化・老年病研究に利用される自然老化動物(エージングファーム)を飼育して研究者に提供するだけでなく、蓄積した基礎データを公開し、研究目的に合わせたアドバイスを行っています。
具体的には、実験動物福祉に配慮した長期飼育に適切な飼育環境の検討(巣作り材、エンリッチメントの活用)や整備はもとより、エージングファームの寿命や体重変化などの基礎データを蓄積し、個体レベルでの老化の指標となるバイオマーカーの探索を行っております。
*1 3Rs原則:動物を使用しない実験の可能性の追求 (Replacement)、使用する動物数の削減 (Reduction)、実験時等における動物の苦痛軽減 (Refinement)
山口大学との共同研究による老年病治療につながる研究の成果がBiologyに掲載されました。(令和3年10月)
小木曽室長が「第55回日本実験動物技術者協会総会(岐阜)」において「第27回実験動物技術功労賞」を受賞しました。(令和3年10月)
小木曽室長が「第55回日本実験動物技術者協会総会(岐阜)」に参加(Web開催)し、シンポジウム講演および一般講演の発表を行いました。(令和3年10月)
アルムニア研究員が「第55回日本実験動物技術者協会総会(岐阜)」に参加(Web開催)し、発表を行いました。(令和3年10月)
小木曽室長が「BPNP2021サテライトシンポジウム -B6J Age研究会 第3回講演会-(京都・ハイブリッド開催)」(日本チャールス・リバー主催)に参加し講演を行いました。(令和3年7月)
小木曽室長がケアテーカー研修会((株)ケー・エー・シー主催)で講演を行いました。(令和3年6月)
小木曽室長が「第68回日本実験動物学会(東京)」に参加(Web開催)し、発表を行いました。(令和3年5月)
アルムニア研究員が「第68回日本実験動物学会(東京)」に参加(Web開催)し、発表を行いました。(令和3年5月)
小木曽室長が、令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金・厚生労働科学特別研究事業(課題番号20CA2002)による「厚生労働省所管の機関における動物実験関連基本指針の遵守徹底および適正な動物実験等の方法の確立に向けた研究(研究代表者:山海直)」に研究分担者として協力し、報告書が作成されました。(令和3年3月)
小木曽室長の「長寿医療研究を支える実験動物技術(I)-老化・老年病研究おける自然老化動物の有用性」投稿記事が、(公社)日本実験動物協会のLABIO21に掲載されました。(令和3年1月)
小木曽室長が至学館大学で「動物実験にかかわる教育訓練」の講義を行いました。(令和3年1月)
実験動物管理室長
由利俊祐 Yuri Shunsuke
研究員
小木曽昇 Noboru Ogiso
棟居佳子 Munesue Yoshiko
アルムニア フリオ Julio Almunia
研究補助者
秋山彩子 Ayako Akiyama
河﨑晴香 Haruka Kawasaki
森川信子 Nobuko Morikawa
各員研究員
山田雅之 Yamada Masayuki
実験動物管理室では、センター内において老化・老年病研究に利用される多数の自然老化動物(ラットおよびマウス)の管理・育成を行っています。
実験動物を特に長期的に飼育する場合、個体導入時のロット間のバラツキだけではなく,それらの動物が日々影響を受ける様々な環境要因 (飼料、給水、ハンドリング、エンリッチメント、ケージサイズ等) についても考慮に入れる必要があります (図 1)。
私たちはこれまで使用する床敷の検討や環境エンリッチメント*2の導入を積極的に行っており、動物の長期飼育に最適な環境設定に努めています。また老化・老年病研究でこのような自然老化動物を使用する場合、個体レベルで生じる加齢変化について考慮に入れる必要がありますが、それらに関する知見は乏しいのが現状です。そこで実験動物管理室では国立長寿研において育成されている自然老化動物の多面的な解析を横断および縦断的に実施しており、寿命や体重をはじめとした基礎データを蓄積し、個体レベルでの老化の指標となる優良なバイオマーカーの探索を行っています (図 2)。
*2 環境エンリッチメント:飼育動物の正常な行動の多様性を引き出し、異常行動を減らして、動物の福祉と健康を改善するために、飼育環境に対して行われる工夫。例) マウスの隠れ家となる紙製のトンネルなど
実験動物管理室ではセンター内職員を対象に生殖工学をはじめとした以下の研究技術支援を行っています。
小木曽昇, 厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)課題番号 20CA2002 「厚生労働省所管の機関における動物実験関連基本指針の遵守徹底および適正な動物実験等の方法の確立に向けた研究(研究代表者 山海直」 総括・分担研究報告書 (分担研究者) (2021)
小木曽昇., 実験動物技術者の教育と育成のこれから-技術者と施設管理者を経験した立場から-., 第55回日本実験動物技術者協会総会・シンポジウム1(第54回旭川総会組織委員会企画)(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
小木曽昇, 冨田耕平, 高野一路, 坂本千夏, 河崎晴香, 森川信子, アルムニアフリオ., 自然老化マウスにおける人道的エンドポイントの設定 -適正な自然老化モデル研究を目指して-., 第55回日本実験動物技術者協会総会,(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
アルムニアフリオ, 冨田耕平, 高野一路, 坂本千夏, 河崎晴香, 森川信子, 小木曽昇., 加齢育成マウスにおける環境エンリッチメントの有用性., 第55回日本実験動物技術者協会総会,(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
坂本千夏, 野間聡子, 高野一路, 冨田耕平, アルムニアフリオ, 小木曽昇., 自然老化ラット作製に向けた基礎データの蓄積と加齢変化について., 第55回日本実験動物技術者協会総会(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
高野一路, 冨田耕平, 小木曽昇, 三屋耕司, 鈴木康士., 気相式核酸分解技術によるガス消毒器の紹介と評価について., 第55回日本実験動物技術者協会総会(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
野間聡子, 坂本千夏, 高野一路, 冨田耕平, アルムニアフリオ, 小木曽昇., 自然老化ラットを用いた加齢による血液パラメータ変化について., 第55回日本実験動物技術者協会総会(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
澤田浩秀, 小木曽昇., 腸内環境の変化がパーキンソン病における神経変性に及ぼす影響について-Rotenoneモデルにおける検討-., 第55回日本実験動物技術者協会総会(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
澤田浩秀, 小木曽昇, 六車香織, 高野聡美., 腸内環境の変化がパーキンソン病における神経変性に及ぼす影響について-MPTPモデルにおける検討-., 第55回日本実験動物技術者協会総会(Web開催), 2021年10月, 岐阜市
小木曽昇, 老齢マウスの育成から加齢変化 -亜系統の比較からエンドポイント設定-., BPNP2021サテライトシンポジウム -B6J Age研究会 第3回講演会-(ハイブリッド開催)」(日本チャールス・リバー主催), 2021年7月, 京都
小木曽昇, 理想のガス滅菌(消毒)器は何ですか?, ウェビナー(マーシャル・バイオリソーシス・ジャパン主催), 2021年 7月
小木曽昇, ケアテーカー研修会 「実験動物技術者の心構え ―アマからプロへの道のり―」( (株)ケー・エー・シー主催) , 2021年6月, 大府市
小木曽昇,冨田耕平,森川信子,河﨑晴香,高野一路,坂本千夏,アルムニア・フリオ., 自然老化マウスの亜系統における血液・病理形態学的な加齢変化の特徴., 第68回日本実験動物学会総会(Web開催) 2021年5月, 東京
アルムニア・フリオ,冨田耕平,高野一路,坂本千夏,河﨑晴香,森川信子,小木曽昇., 自然老化マウスにおける終末期の臨床症状と人道的エンドポイントの設定., 第68回日本実験動物学会総会(Web開催) 2021年5月, 東京
高野一路, 野間聡子, 坂本千夏, 冨田耕平, アルムニア・フリオ, 小木曽昇. , 健康的な自然老化ラット作製に向けた基礎データの蓄積と加齢変化について, 第68回日本実験動物学会総会(Web開催) 2021年5月, 東京
小木曽昇, 自然老化マウスの育成の難しさと新しい発見, NCGG・CRL共催セミナー(日本チャールス・リバー主催), 2020年12月
小木曽昇, なぜこんな施設建てたの?, ウェビナー(マーシャル・バイオリソーシス・ジャパン主催), 2020年 11月
小木曽昇, 動物実験に影響する因子はどこまで考えますか?, Web座談会(マーシャル・バイオリソーシス・ジャパン主催), 2020年11月
Noboru Ogiso, Kohei Tomita, Kazumichi Takano, Shinya Tamura, Haruka Kawasaki , Nobuko Morikawa , Julio Almunia, Identification of Humane Endpoint Markers in Naturally B6 Aged Mice ,71th AALAS National Meeting (Virtual) ,October, 2020 , USA