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老化機構研究部は、順天堂大学、三重大学との共同研究により、肺組織の老化に関する新たな仕組みを発見しました

2016年08月10日

本センター研究所老化機構研究部の杉本昌隆室長らは、順天堂大学と三重大学との共同研究で、老化細胞を排除することにより、加齢により低下した肺組織の機能を回復させることが可能であることを報告しました。

細胞は障害を受けると老化し、増殖を停止することが古くから知られています。このような「老化細胞」は人間やマウスなどで加齢とともに様々な組織に蓄積します。しかしながら、組織の老化に老化細胞がどのように関与するのかについては明らかではありませんでした。研究グループは、新たに生体から老化細胞を特異的に排除可能な遺伝子改変マウスを作製し、このマウスを用いて肺の老化に老化細胞が重要な役割を持つことを明らかにしました。

肺の老化は先進国で死因の上位を占める慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)が生じやすい環境をつくることが知られています。加齢性変化を老化細胞が引き起こすことをはじめて明らかにした報告であり、COPDなどの呼吸器疾患の予防や治療法開発に新たな道を切り開くことが期待されます。

本研究は長寿医療研究開発費、文部科学省科研費、長寿科学振興財団、愛知健康増進財団からの補助を受けて行われ、研究成果は米国医学誌「JCI insight」 8月4日号に掲載され、朝日新聞、日本経済新聞等でも紹介されました。

【原著論文情報】

Elimination of p19ARF-expressing cells enhances pulmonary function in mice. Michihiro Hashimoto, Azusa Asai, Hiroyuki Kawagishi, Ryuta Mikawa, Yuji Iwashita, Kazuki Kanayama, Kazushi Sugimoto, Tadashi Sato, Mitsuo Maruyama and Masataka Sugimoto JCI Insight. 2016;1(12):e87732. doi:10.1172/jci.insight.87732.