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外来診療・時間外診療・救急外来 電話:0562-46-2311

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精神科 臨床研修カリキュラム

指導責任者:精神科部長 安野史彦

研修目的

臨床場面で、すべての医師に求められる、総合的、全人的医療を提供する態度を身につけ、患者の精神・心理、社会的側面にも対応できるように、患者の精神・心理的状態を理解し、良好な治療関係を形成し、精神療法的対応ができるようにする。

行動目標

一般目標

#1. プライマリー・ケアに求められる、精神症状の診断と治療技術を身につける。

  1. 精神症状の評価と鑑別診断技術を身につける。
  2. 精神症状への治療技術(薬物療法心理的介入方法など)を身につける。

#2. 身体疾患を有する患者の精神症状の評価と治療技術を身につける。

  1. 対応困難患者の心理行動理解のための知識と技術を身につける。
  2. 精神症状の評価と治療技術(薬物療法・心理的介入方法など)を身につける。
  3. コンサルテーション・リエゾン精神医学の技術を身につける。
  4. 緩和ケアの技術を身につける。

#3. 医療コミュニケーション技術を身につける。

  1. 初回面接のための技術を身につける。
  2. インフォームド・コンセントに必要なコミュニケーションの技術を身につける。
  3. 患者家族の心理理解のための技術を身につける。
  4. メンタルヘルスケアの技術を身につける。

#4. チーム医療に必要な技術を身につける。

  1. チーム医療モデルを理解する。
  2. 他職種との連携のための技術を身につける。
  3. 病診(病院と診療所)連携病病(病院と病院)連携を理解する。

#5. 精神科リハビリテーションや地域支援体制を経験する。

  1. 精神科デイケア(ナイトケア・デイナイトケアを含む)を経験する。
  2. 訪問看護・訪問診療を経験する。
  3. 社会復帰施設・居宅生活支援事業を経験し、社会資源の活用技術を身につける。
  4. 保健所の精神保健活動を経験する。

行動目標

#1. 精神および心理状態の把握の仕方および対人関係の持ち方について学ぶ

  1. 医療人として必要な態度・姿勢を身につける。
    患者医師関係をはじめとして人間間係を良好に保つための態度身につける。
  2. 基本的な面接法を学ぶ。
  1. 患者に対する接し方、態度、質問の仕方を身につけ、患者の解釈モデル、受診動機、受診行動を理解する。
  2. 患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活・職業歴、系統的インタビュー)聴取を行い、記録することができる。
  3. 患者・家族への適切な指示・指導ができる。
  4. 心理的問題の処理の仕方を学ぶ。
  1. 精神症状の捉え方の基本を身につける。
  1. 陳述と表情・態度・行動から情報を得る。
  2. 患者の訴えを聞きながら、疾患・症状を想定しそれに関する質問を行い、症状の有無を確認する。合わなければ、別の疾患症状を想定し直して質問し確認する。患者の陳述を可能な限りそのまま記載すると同時に専門用語での記載の仕方を学ぶ。
  1. 患者、家族に対し、適切なインフォームド・コンセントを得られるようにする。
    診断、治療計画などについてわかりやすく説明し、了解を得て治療を行う。
  2. チーム医療について学ぶ
    医療チームの一員としての役割を理解し、幅広い職種の医療従事者と協調・協力し、的確に情報を交換して問題に対処できる。
  1. 指導医に適切なタイミングでコンサルテーションできる。
  2. 上級および同僚医師、他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれる。
  3. 患者の転入、転科にあたり情報を交換できる。
  4. 関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれる。

#2. 精神疾患とそれへの対処の特性について学ぶ

  1. 精神疾患に関する基本的知識を身につける。主な精神科疾患の診断と治療計画をたてることができる。
    気分障害(うつ病、躁うつ病)、統合失調症、依存症、認知症、症状精神病(せん妄)、身体表現性障害、ストレス関連障害などの診断、治療計画をたてることができる。
  2. 担当症例について、生物学的・心理学的・社会的側面をよく把握し、治療できる。
    脳の形態、機能とくに生理学的・薬理学的な側面すなわち生物学的側面、心理学的側面、家庭・職場などの社会的側面から患者の状態を統合的に理解し、薬物療法、精神療法、心理・社会的働きかけなど、状態や時期に応じて適切に治療することができる。
  3. 精神症状に対する初期的な対応と治療(プライマリーケア)の実際を学ぶ。
    初診や緊急の場面において患者が示す精神症状に対して初期的な対応の仕方と治療の仕方を学ぶ。
  4. リエゾン精神医学および緩和ケアの基本を学ぶ。
    一般科の外来、入院中の患者で精神症状が出現し、診療を依頼されたり、相談をされたりした場合、症例をとおして実際の対応の仕方について学ぶ。また緩和ケアの実際について学ぶ。
  5. 精神科薬物療法の適応を決定し、適切な向精神薬を合理的に選択できるように、臨床精神薬理学的な基礎知識を学び、臨床場面で自ら実践して学ぶ。
  6. 簡易精神療法の技法を学ぶ。
    支持的精神療法および認知療法などの精神療法を実践し精神療法の基本を学ぶ。
  7. 精神科救急に関する基本的な評価と対応を理解する。
    興奮、昏迷、意識障害、自殺企図などを評価し適切な対応ができる。
  8. 精神保健福祉法およびその他関連法規の知識を持ち、適切な行動制限の指示を理解できる。
    任意入院、医療保護入院、措置入院および患者の人権尊重と行動制限などについて理解する。
  9. デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。
    訪問看護、外来デイケアなどに参加し、社会参加のための生活支援体制を理解する。

経験目標

A.経験すべき診察法・検査・手技

  1. 基本的な精神科診察法面接を通じて、精神面の診察ができ、記載できる。
  2. 基本的な臨床検査X線CT検査、MRI検査、核医学検査(SPECT)、神経生理学的検査(脳波など)、心理検査(WAIS-R、ロールシャッハテストなど)

B 経験すべき症候および疾病・病態

必修項目

経験すべき症候:外来または病棟において、下記の症候を呈する患者について、病歴、身体所見、簡単な検査、所見に基づく臨床推論と、病態を考慮した初期対応を行う。

  1. 興奮・せん妄
  2. 抑うつ

経験すべき疾病・病態:外来または病棟において、下記の疾病・病態を有する患者の診療にあたる。

  1. うつ病
  2. 統合失調症
  3. 依存症(ニコチン・アルコール・薬物・病的賭博)
  4. 認知症
    経験すべき症候および経験すべき疾病・病態の研修を行ったことの確認は、日常診療において作成する。
    病歴要約に基づくこととし、病歴、身体所見、検査所見、アセスメント、プラン (診断、治療、教育)、考察等を含むこととする。

C 特定の医療現場の経験

  1. 精神保健・医療
    精神保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、精神科専門外来および精神科リエゾンチームでの研修を行う。また、外部の病院との連携を通じて、急性期入院患者の診療も行う。その過程で
  1. 精神症状の捉え方の基本を身につける。
  2. 精神疾患に対する初期的対応と治療の実際を学ぶ。
  3. デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。必修項目精神保健センター、精神病院等の精神保健・医療の現場を経験すること。
  1. 緩和・終末期医療
    緩和・終末期医療を必要とする患者と家族に対して、全人的に対応するために、
  1. 心理社会的側面への配慮ができる。
  2. 緩和ケア(WHO方式がん痔痛治療法を含む)に参加できる。
  3. 告知をめぐる諸問題への配慮ができる。
  4. 死生観・宗教観などへの配慮ができる。

方略

  1. 上級医および指導医とともに、入院患者の診療にあたり、目標の達成に努める。
  2. 当科の週間スケジュールに従い、外来初診、医長回診およびカンファレンス等に参加することを原則とする。
  3. 原則、最低4週間の研修期間とする。
  4. 具体的な研修方略は基本的な精神科研修プログラムに準ずる。