救命救急カリキュラム(名古屋医療センター)
指導責任者:名古屋医療センター 救急集中治療科医長 近藤貴士郎
研修目的
一般目標
診療科単位での診察ではなく、救急初期対応および重症全身管理を必要とする患者さんに対 応できるようになるために、救急外来における初期対応および集中治療室において求められ るチーム医療の一員としての臨床能力を身につける。
行動目標
ICU、ERにおける緊急治療の実際(手技、手法を経験する)
- 救急蘇生法(ACLSに準じたもの)
- 呼吸管理(気管挿管、気管切開、人工呼吸)
- 心電図、脳波、体温、血圧などのモニタリング
- 血液ガス、水電解質の補正
- 緊急薬剤の投与(心血管作動薬、鎮静剤、鎮痛剤、抗けいれん薬など)
- 不整脈の緊急治療(除細動、抗不整脈薬、経皮ペーシング等)
- 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈路確保、中心静脈路確保)
- 採血法(静脈血、動脈血)
- 穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔)
- 胃管の挿入、管理、導尿法
- 圧迫止血法、包帯法、局所麻酔法、皮膚縫合法
- 緊急輸血法
- 血液浄化法
- 感染の予防
重症患者の診断と治療のすすめ方
- vital sign のチェック
- 問診、聴打診、触診
- 意識障害の評価とその意義づけ(APACHE IIおよび AIS-90 の評価法)
- 血液、尿、髄液、X 線写真その他の諸検査成績とその解釈
- 各種重症患者の診断治療のすすめ方
- 急性冠症候群、急性心不全(心電図の判読とモニタリングおよび治療法)
- 脳血管障害(神経学的徴候の把握、CTスキャン、MRI、脳血管撮影および内 科的療法と手術的療法)
- 頭部外傷、脊髄損傷(頭蓋 X 線写真、CTスキャン、脳血管撮影および創傷処 置と手術的療法)
- 急性中毒(その原因と治療)
- 代謝性脳症(その原因と治療)
- 急性感染症
- 急性呼吸不全(その原因と治療)
- 多発外傷(胸腹部外傷、脊椎骨折、骨盤骨折、多発骨折など)
- その他
- 溺水
- 熱傷、環境異常(熱中症、低体温症)
- 急性腹症
- 急性腎不全
- 消化管出血
- その他(産婦人科、精神科領域の救急)
医療倫理
守秘義務など医師の守るべき法律を理解する。患者や家族の心情に共感し、思いやりの ある態度で接する。
医療面接
清潔な服装で患者に接し、きちんと挨拶ができる。患者の訴えに辛抱強く耳を傾け、鑑 別診断に重要な情報を得る。
基本的診察
バイタルサインをチェックし、頭頚部、胸部、腹部、四肢の基本的診察を正しくおこな う。
検査
胸部レントゲン写真、心電図を正しく読影する。 血液、尿検査データを正しく解釈する。
応急処置
アメリカの標準的救急治療であるACLS(Advanced Cardiac Life Support)を理解 し、上級医に指示された救命処置を迅速におこなう。
カルテ記載
SOAP 方式を用いて他の医療従事者にもわかりやすく診療経過や方針を記載し、必ず署 名をする。
方略
- 上級医および指導医とともに、救急外来受診患者および救命救急センター入院患者 の診療にあたり、目標の達成に努める
- 当科の週間スケジュールに従い、検査およびカンファレンス等に参加することを原 則とする
- 原則、最低それぞれ 1 ヶ月間の研修期間とする。
評価
- 研修医は、研修終了時に上級医および指導医と面接を行う。
- 研修医は、卒後教育研修センターの定める研修医評価表を用いて、研修終了時に、 上級医および指導医、また、担当指導者より評価を受ける。
- 救命救急センター・総合診療科の評価表も1.と同時に記載し、研修医評価とする。
- 研修医より、当診療科に対する評価は、卒後教育研修センターの定める様式を持 って行う。
- 各種評価表は、定められた手順で、卒後教育研修センターに提出される。