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外来診療・時間外診療・救急外来 電話:0562-46-2311

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耳が聞こえにくいと認知症になりやすい?

はじめに

当院を受診される高齢の患者さんが心配される症状の一つに「もの忘れ」があります。「もの忘れ」が「認知症」の診断に直結する訳ではありませんので、過度な心配は不要ですが、「もの忘れ」をきっかけに認知症と診断される患者さんもいらっしゃいます。そのため、「もの忘れ」が気になっている人は、日常生活を健やかに過ごすためにも、きちんと検査を受けていただくことが重要です。今回は、「もの忘れ」や「認知症」について、最近の医療業界で話題になっている情報をお知らせいたします。

軽度認知障害(MCI)

「もの忘れ」には、以下の段階があります。

  1. 自覚的もの忘れ(もの忘れの自覚はあるが、認知機能や記憶力は健常な状態)
  2. 軽度認知障害(もの忘れの自覚があり、記憶力が軽度低下した状態)
  3. 認知症(認知機能が低下した状態。もの忘れの自覚がない場合もあります)

特に、2.軽度認知障害はMCI(mild cognitive impairment)1)ともいい、認知症の前段階という注意が必要な状態です。認知症を予防したいと考えた場合、MCIをなるべく早期に発見して対策を講じる、が重要になります。MCIは以下の基準で判断されます。

軽度認知障害の定義

  1. 記憶障害の訴えが本人,または家族から認められている
  2. 日常生活動作は正常
  3. 全般的な認知機能は正常
  4. 記憶障害は年齢や教育年数では説明できない
  5. 認知症ではない

(出典:Petersen RC, et al. Arch Neurol. 2001)

MCIを悪化させないために

MCIを認知症に悪化させないよう、以下の点に注意が必要と考えられています。

認知症と関係する「難聴」

難聴があると、他者とコミュニケーションがとりにくいと感じることがあるかもしれません。会話がうまくつながらないことから、患者さんが閉じこもりがちになることもあります。最近の海外での研究成果からは、中年期に難聴があると高齢期に認知症のリスクがおよそ2倍上昇するというデータが発表されています(下図2))。また、補聴器を適切に用いることで、認知症の発症リスクが軽減するという海外からの報告もあります。

私達は、難聴と認知症についての研究グループを立ち上げ、いくつか調査しました。これまでの研究成果をまとめると、難聴がある患者さんでは、もの忘れの自覚や不安感、焦燥などの精神的な症状を感じる割合が多く、抑うつ気分がある患者さんもいらっしゃいました。また、難聴は高齢の患者さんの日常生活動作や生活の質(QOL)にも関係していました。

そこで、私達は、「聞こえにくさ」と「もの忘れ」がある患者さんを対象に、聴力や認知機能をきちんと検査した上で、基準に合う方に補聴器をお試しでお使いいただくサービスを臨床研究として運営しています。もの忘れ外来では2020年5月末まで患者さんのご予約を受け付け、たくさんの患者さんからお問合せをいただき、研究にご参加いただきました。詳しい情報をご希望される方は、お気軽にもの忘れ外来、または研究事務局までお問い合わせください。

認知症の危険因子

図1(出典:Livingston G, et al. Lancet. 2017)

「聞こえにくさ」と「もの忘れ」

図2

 

 

ご参加いただける⽅の条件

佐治先生画像

  1. 年齢が55歳以上85歳未満で、
  2. もの忘れと聞こえにくさがあり、
  3. 認知機能や聴⼒検査を希望され、
  4. スタディパートナーがいる、

1〜4を満たす⽅を募集します。

スタディパートナーとは、ご本⼈の⽣活状況などに関する情報をお知らせいだたく⽅です。(ご兄弟やご親族なども可能です)

 

関連リンク


お問い合わせ先

エスカルゴ研究画像

国⽴⻑寿医療研究センター もの忘れセンター
Escargot(エスカルゴ研究)研究事務局
もの忘れセンター 佐治直樹

  • Tel: 0562-46-2311(内線3123)
  • Mail:escargot@ncgg.go.jp