「糖鎖関連遺伝子とアルツハイマー病との関係性の解明」についてのお知らせ

　創価大学・糖鎖生命システム融合研究所では、糖鎖とアルツハイマー病との関係性の解明を行うために、下記の生命科学・医学系研究を実施しております。本研究の概要は以下の通りです。

1.研究の目的と方法

　本研究は、糖鎖生合成に関連する遺伝子とアルツハイマー病との相互関連性を解明し、新たな治療法開発への道筋を探求することを目指しています。
　アルツハイマー病は、神経細胞の死によって引き起こされる神経変性疾患で、認知機能の進行的な損失が特徴的です。
　その具体的な発症機序はまだ完全には解明されておらず、β-アミロイドプラークの蓄積や神経原線維変化、炎症反応などが重要なプロセスと考えられています。
　このような複雑な病態の中で、糖鎖がアルツハイマー病の発症にどのような影響を与えるのか、それを明らかにすることが本研究の目的です。
　本研究は、まず糖鎖関連遺伝子がどのように糖鎖生合成の異常を引き起こし、どのような細胞機能の異常を生じさせるかを解析し、アルツハイマー病の発症や進行に糖鎖が関与しているかを明らかにします。

2.研究代表者および研究機関

研究代表者

西原祥子（創価大学糖鎖生命システム融合研究所　所長・特別教授）

代表研究機関

創価大学糖鎖生命システム融合研究所

研究分担者および共同研究機関

安形清彦（創価大学糖鎖生命システム融合研究所　教授）
栂谷内晶（創価大学糖鎖生命システム融合研究所　教授）
重水大智（国立長寿医療研究センターメディカルゲノムセンター　バイオインフォマティクス研究部長）
尾崎浩一（国立長寿医療研究センターメディカルゲノムセンター　センター長）
山口芳樹（東北医科薬科大学分子生体膜研究所　教授）
真鍋法義（北医科薬科大学分子生体膜研究所　講師）
佐々木詩步（東北医科薬科大学分子生体膜研究所　助手）

3.研究対象者

　本研究では、国立長寿医療研究センターの倫理審査委員会で承認を受けている研究で取得されたゲノム解析データを使用します。
　研究対象者は、国立長寿医療研究センター倫理審査委員会・承認研究「日本人高齢者に多い疾患のゲノム解析および臨床ゲノム情報ストレージの整備、承認番号:990-15」で研究対象とされた方で、提供可能な匿名化情報を取り扱います。

4.研究期間

2025年10月16日から2027年3月31日まで。

5.研究の方法

　共同研究機関（情報提供機関）である国立長寿医療研究センターにて匿名化された、アルツハイマー病患者および認知機能正常者のゲノム解析データ（個人情報の紐付かない情報）の提供を受け、糖鎖関連遺伝子の変化と糖鎖生合成の関係性、どのような細胞機能の異常を生じさせるかを情報科学・生化学的な手法を用いて解析します。

6.研究に用いる試料・情報の種類、個人情報保護の方法

　共同研究機関（情報提供機関）である国立長寿医療研究センターなどに来院したアルツハイマー病患者あるいは認知機能正常者を対象とし、該当する対象者・代諾者より文書によるインフォームド・コンセントに基づき、同意を受けた方に限ります。国立長寿医療研究センターバイオバンクで管理・保管されている情報のうち、匿名化された情報のみを対象としています。
　情報、研究結果は取扱いを慎重に行う必要があります。試料・情報・記録は、分析する前（採取直後）に住所、氏名、生年月日などの個人情報は全く付加せずに、代わりに試料番号の符号のみをつけ、誰の検体かが一切分からないようにした上で厳重に保管します。この匿名化作業は国立長寿医療研究センター内で行われ、担当者が責任を持って個人情報の削除および情報の保護を行います。試料が情報と切り離されたのちは、提供者への情報をたどることは出来ません。また、本学への情報提供に関しては、全て匿名化された後のものであり、個人を特定（連結）することの出来る情報は付随しません。

7.情報の第三者への提供について

情報の流れは下図の通りです。創価大学および東北医科薬科大学からの第3者への提供はありません。

国立長寿医療研究センター（メディカルゲノムセンター）では研究対象者の末梢血などの組織や臨床情報のデータを保管しています。創価大学糖鎖生命システム融合研究所及び東北医科薬科大学薬学部糖鎖構造生物学教室から国立長寿医療研究センターへはゲノム解析情報を、国立長寿医療研究センターからは解析結果をという情報の流れとなります。