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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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活動的に過ごしてフレイル予防

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

フレイルとは、健常な状態と要介護状態の間の段階で、心身のさまざまな機能が低下した状態を指します。これまで、フレイルに関する話題をいくつかご紹介してきました(トピックスNo.27「フレイルに気をつけて」このリンクは別ウィンドウで開きますNo.28「フレイルと心の健康」このリンクは別ウィンドウで開きますをご参照ください)。フレイルに陥ると、生活能力が低下したり、死亡率が高まったりすることがあります。

高齢になるにつれて、予備能力の高さによりフレイル状態と健康な状態、身体機能障害とフレイルの状態を行き来することを表したイラスト。

フレイルの概念図

NILS-LSAでは、フレイルをいかに予防するかについてさまざまな検討を行っています。今回、日々の身体活動がフレイルの予防に寄与することが明らかになったので、ご報告します。

第2次調査でフレイルに該当せず、かつ身体活動量(活動量計により計測)のデータを得ることができた65歳以上、401名の方を対象として、約10年後の第7次調査まで追跡し、身体活動量の多さがフレイルの発症を予防するかについて解析を行いました。

その結果、フレイルに陥るリスクは、1日あたり5,000歩以上歩いている場合、5,000歩未満の場合の約半分まで下がることがわかりました(図A

また、歩行よりも負荷の高い中高強度の身体活動(3メッツ以上:速歩、社交ダンス、ウェイトトレーニング、水泳など)を1日あたり8分間以上行っている場合も同様に、フレイルの発症リスクが下がることがわかりました(図B)。

一方、歩行よりも負荷の低い身体活動は、フレイルの発症リスクと関係しませんでした。

歩行量が1日あたり5000歩未満と以上および中高強度の身体活動を1日あたり8分未満と以上で、フレイルの発症リスクを比較したグラフ。歩行量が多いグループ、中高強度の運動時間が多いグループがそれぞれ発症リスクが下がっていることを示している。

 

図:歩行量、身体活動量とフレイルの発症の関係

以上の結果は、歩行であれば1日5,000歩以上、ある程度負荷のかかる活動であれば1日8分以上行うことを目安として、座りがちな生活にならないようにすることでフレイルを予防できる可能性があることを意味します。

最近では、携帯電話にも歩数を計測する機能が搭載されています。また、腕時計のように着用できる活動量計もあります。日々の身体活動量を可視化して、意識することがフレイル対策の第一歩といえるかもしれません。

1日5,000歩以上の歩行や、ある程度負荷のかかる8分以上の運動でフレイルを予防しましょう

 <コラム担当:幸 篤武>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

Daily Physical Activity Predicts Frailty Development Among Community-Dwelling Older Japanese Adults
Atsumu Yuki, Rei Otsuka, Chikako Tange, Yukiko Nishita, Makiko Tomida, Fujiko Ando, Hiroshi Shimokata, Hidenori Arai
Journal of the American Medical Directors Association (in press)

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