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老年学・社会科学研究センター

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No.47 「余暇」は生きるための活力源です

1日の24時間の中で、人は食事や睡眠などの「生命維持に必要な活動」や、仕事や家事などの「生活の維持に必要な活動」を行っています。そしてこれら以外が自由に使える時間であり、その時に行う活動を「余暇活動」と呼んでいます。近年では余暇活動が高齢者の身体的な機能や認知機能の維持に関係する可能性が示されていますが、もっと前の若い時期から、余暇活動が心身の健康維持に関わっていることも考えられます。そこで、まず中年期から高齢期の余暇活動の実態について把握することを目的とした研究を行いましたので、ご紹介します。

NILS-LSAの第7次調査に参加された2,326名の方に、過去2年間に下表に挙げる余暇活動をそれぞれどのくらいの頻度で行ったかについて、「していない」、「年に1回~数回」、「月に1回~3回」、「週に1回程度」、「週に2回~3回」、「毎日」の選択肢の中から回答していただきました。そして、これらの余暇活動全体での活動頻度について、年代(中年期:40-64歳、高齢期:65歳以上)および男女別に集計しました(※)。
(※) 得点化に際しては、各余暇活動の活動頻度に1~6点を与え、得点を合計しました。

 




図1にお示しするように、余暇活動全体で平均すると、高齢男性が頻繁に余暇活動を行っていることが分かりました。とはいえ、余暇活動には「新聞を読む」のように毎日行うことが多いものから、「旅行」のように年に数回(場合によっては数年に1回)程度のことが多いものまでいろいろな種類がありますので、全体としてまとめてしまうと実態がよくわからないですよね。そこで、因子分析(※※)という統計的な手法を使って、活動頻度の傾向が関連する余暇活動同士を5つのグループに分類しました。
(※※)探索的因子分析(Promax 回転、最尤法)を用いて、5因子を抽出しました。その際、因子負荷行列において一つの因子だけに|.30|以上の負荷を持つことを選定基準とし、因子毎に合計点を算出しました。

 




まず、図2をご覧ください。パソコンを使う活動や、芸術鑑賞、将棋やカードゲームなどの、いわゆる「頭を使う」余暇活動である知的刺激系活動や、スポーツのチーム競技、ジョギングなどの、比較的しっかり体力を使う余暇活動であるスポーツ系活動は、高齢期よりも中年期、女性よりも男性が頻繁に行っていて、特に中年男性がこれらの余暇活動を行う機会が多いことが示されました。

 




次に、図3をご覧ください。小説やエッセイなどの執筆活動や書道、あるいは絵画、手芸、写真などいろいろな作品を創る余暇活動である創造的活動や、体操や水泳・水中ウォーキングなど、やや緩く体を動かす余暇活動であるエクササイズ系活動は、中年期よりも高齢期、男性よりも女性が頻繁に行っていることが示されました。

 







今度は、図4をご覧ください。庭仕事、ウォーキング、新聞を読むといった、毎日、あるいは比較的高い頻度で行っている日課的活動は、中年期よりも高齢期で頻繁に行われており、特に高齢男性がこれらの余暇活動を行う機会が多いことが示されました。

このように、余暇活動にはいろいろなものがありますが、年代や性別により、異なる活動を選択的に行っている可能性が示されました。特に年代については、その時点での身体機能や認知機能に合わせて余暇活動の内容を変えている可能性も考えられますが、最初に述べましたように、これらの機能を維持するために有効な活動が存在する可能性もあります。そのため、今後はそういった検討を行う必要があるでしょう。

1日が24時間ということは決まっていますので、余暇活動に費やすことができる時間は他の活動に費やす時間と連動します。そのため、上手に時間をやりくりして、「生きるための活力として必要な活動」を行っていきたいですね。

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余暇活動から「生きるための活力」を得て、心身の機能を維持しましょう!

 

 


<コラム担当:CT>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
 

Daily Physical Activity Predicts Frailty Development Among Community-Dwelling Older Japanese Adults
Atsumu Yuki, Rei Otsuka, Chikako Tange, Yukiko Nishita, Makiko Tomida, Fujiko Ando, Hiroshi Shimokata, Hidenori Arai
Journal of the American Medical Directors Association (in press)

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