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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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“趣味活”でイキイキした毎日を 【認知症予防】

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

高齢になると、自由に過ごせる時間が増えてきます。その時間に好きな趣味を楽しむことが、認知機能(考える、記憶する、判断するなどの知的な能力)を維持するために効果的であることが分かりました。

具体的な研究をご紹介します。NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)では、(1)最初の調査で、60歳以上の参加者の方々に休日や余暇の時間をどのように過ごしているか、をうかがいました。(2)その後、2年の間隔で、参加者の方々の認知機能の状態をくりかえし検査しました。

これらの調査のデータを用いて、最初の時点で認知機能に問題がなかった人を対象として、休日や余暇の時間の過ごし方が、その後の認知機能の変化とどのように影響しているか、を分析しました。

​以下の図をごらんください。ここでは、休日や余暇に多くの時間を使っている過ごし方として、「家でごろ寝」「買い物、外食」「趣味」を選択したかどうか、に着目しています。休日や余暇に「家でごろ寝」や「買い物、外食」をすることは、認知機能の維持や低下とほとんど関係がありませんでした。一方、「趣味」をすることは、その後、認知機能が低下するリスクを下げていました。すなわち、休日や余暇の時間に趣味をして過ごすことが、認知機能を維持するために効果的であることが明らかになりました。

休日の過ごし方として、家でごろ寝、買い物や外食、趣味、の回答と認知機能低下のリスクの関連性を示したグラフ。最初の調査で、認知機能が維持されていた60歳以上の方々を分析の対象としている。

最近、「認知の予備力」という考え方が注目されています。

加齢にともない、私たちの脳は少しずつ老化していきますが、「認知の予備力」を豊かにすることによって、脳の加齢にかかわらず、認知機能を維持し続けることができます。知的な刺激にあふれるライフスタイルには、「認知の予備力」をたくわえる効果があるのです。つまり「認知の予備力」を増やすには、休日や余暇の時間に趣味を楽しむことも有効であると考えられるのです。

仕事や子育てで大忙しだった頃に、時間ができたらやりたいと思っていたことはありませんか?若い頃に、好きだった音楽はありませんか?高齢になってこそ、休日や余暇の時間に楽しく過ごすことのできる趣味を探してみましょう。

 

趣味をもつことは、認知機能の維持に効果的です!

 <コラム担当:西田 裕紀子>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
西田裕紀子:
心理面からの認知症予防(地域公開講座:認知症予防を目指して~栄養・運動・心理からのアプローチ~).
第76回日本体力医学会中国・四国地方会.2015.

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