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すこやかな高齢期をめざして ~ワンポイントアドバイス~

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「フレイル」とこころの健康

老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging

高齢者の健康に関する新しいキーワードとして「フレイル」が注目されています(トピックスNo.27「フレイルに気をつけて」参照このリンクは別ウィンドウで開きます)。

フレイル」とは「自立した生活ができる健康な状態」と「介護を受けなければならない状態」の中間の状態を指します。「フレイル」は健康な状況に戻ることが可能な状態であることが特徴です。高齢者の多くが「フレイル」の段階を経て、要支援・要介護状態になっていくことから、健康な状況に回復できる「フレイル」の段階で、早期発見し対処することが重要です。

NILS-LSA(ニルス・エルエスエー)の第7次調査に参加した65歳以上の866人(男性443人、女性423人)のデータを解析しました。フレイル・チェック(トピックスNo.27「フレイルに気をつけて」参照)の基準を用いて、ノンフレイル群(健康な人)、フレイル予備群、フレイル群の3群に分けました。主観的幸福感に関しては「生活満足度(現在の生活に満足している程度)」と「自尊感情(自分を価値あるもの、大切に思える気持ち)」(トピックスNo.5「「自分を好き」と思う気持ちを大切に」参照このリンクは別ウィンドウで開きます)を取り上げ、フレイルタイプの3群間で比較しました。

その結果、「生活満足度」はノンフレイル群、フレイル予備群、フレイル群の順に低下することが示されました(図1)。また、「自尊感情」はノンフレイル群がフレイル予備群、フレイル群よりも高いことが示されました(図2) 。

図1:フレイルタイプ別の生活満足度スコア
(調整項目:性・年齢・教育歴)

ノンフレイル群、フレイル予備軍、フレイル群ごとの生活満足度の高さを比較した図。

図2:フレイルタイプ別の自尊感情スコア
(調整項目:性・年齢・教育歴)

ノンフレイル群、フレイル予備軍、フレイル群ごとに自尊感情の高さを比較した図。

フレイルの進行により幸せと感じる気持ちが低下していることが分かります。高齢期を幸せに、気持ちを豊かに過ごすためにもフレイル予防は重要であるといえるでしょう。

年齢を重ねても楽しく幸せを感じられる生活を送るためフレイル予防に努めましょう!

<コラム担当:富田 真紀子>

*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*

Tomida M, Tange C, Nishita Y, Otsuka R, Ando F, Shimokata H, Arai H:
Relationships between frailty types and psychological traits in older Japanese, 2nd Asian Conferences for Frailty and Sarcopenia, 86, 2016

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