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認知症の早期発見・早期介入実証プロジェクト研究
J-DEPP研究

認知症とMCI

認知症とは

記憶力や判断力などが以前の機能レベルから低下し、認知機能の低下により日常生活に支障が出ており、精神疾患ではない場合、認知症との診断となる

かかりつけ医 認知症対応力向上研修 研修テキストより作図

認知症とは、正常であった認知機能が、何らかの脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態をいいます。

参考:認知症ハンドブック第2版
 

認知症の原因となる疾患には多くの種類がありますが、その中でももっとも多いのは、アルツハイマー病による認知症で、半数以上を占めるとされています。次いで血管性認知症、レビー小体型認知症の順とされています。

認知症の初期症状は種類によって異なり、「もの忘れ」以外の症状がみられることも少なくありません。

主な認知症の種類と初期症状

種類 初期症状
アルツハイマー型認知症 最近あったことを思い出しにくくなったり、財布や鍵など大事な物をどこに置いたか分からなくなったりします。同じことを何度もたずねることもあります。また、やる気が出にくくなる、怒りっぽくなるなど、気持ちや性格の変化がみられることがあります。ときには、「悪口を言われている」「物を盗られた」などと思い込んでしまう被害妄想がみられることもあります。
血管性認知症 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起こる認知症です。症状は脳のどこの場所に障害が起きたかによって異なります。ろれつが回りにくいといった構音障害や、感情のコントロールが難しい、考える速さが遅くなる、歩きにくくなる、などの症状がみられることがあります。
レビー小体型認知症 実際には存在しないものが見える幻視のほか、手足のふるえ、歩幅が小さいすり足歩行、気分の落ち込み、大きな寝言や悪夢、においがわかりにくくなるなどの症状がみられることがあります。
前頭側頭型認知症 気持ちや行動をうまく抑えにくくなり、思ったことをすぐ行動にうつしてしまうことがあります。そのため、場に合わない言動や、礼儀に欠けるように見える行動がみられることがあります。また、身近な物の名前を聞いても意味が分かりにくくなったり、聞いた言葉をそのまま繰り返したりすることもあります。

参考:認知症ハンドブック第2版

認知症によって現れるさまざまな症状

認知症では、物事を覚えられなくなったり、思い出せなくなる「記憶障害」、気が散りやすく集中できなくなる「注意機能障害」、計画や段取りを立てて行動することが難しくなる「遂行機能障害」、時間・場所・人との関係がわからなくなる「見当識障害」など、さまざまな認知機能の障害が現れます。

また、身体の不調やストレス、不安などが影響し、行動・心理症状(Behavioral and psychological symptoms of dementia, BPSD) がみられることもあります。たとえば、精神面では抑うつや妄想、幻覚、不安・焦燥など、行動面では、徘徊、暴言・暴力、不潔行為、睡眠障害などがみられます。

認知症の症状を、中央に認知機能(記憶・注意・遂行・見当識)の障害として示し、左に抑うつ・妄想・幻覚・不安など精神症状、右に徘徊・暴力・不潔行為・睡眠障害など行動症状として整理した図

かかりつけ医 認知症対応力向上研修 研修テキストより作図

初期に見られやすい精神面・行動面の症状

  精神面の初期症状
抑うつ・不安・焦燥 これまで温厚だった人が怒りっぽくなる、不安が強くなる、そわそわして落ち着かなくなる、元気がなくなる、気分が落ち込みやすくなる。
意欲低下 これまで楽しんでいた趣味やテレビ番組などへの興味がなくなる、身だしなみに気をつかわなくなる、外出を避けるようになる。
妄想 「悪口を言われている」、「財布や通帳を盗まれた」などと思い込む被害妄想などがみられる。
幻覚 実際には存在しないものや人が見えるといった幻視がみられる。
睡眠障害 大きな寝言、悪夢、睡眠リズムの乱れなどがみられる。

参考:認知症ハンドブック第2版

加齢による「もの忘れ」と認知症による「もの忘れ」の違い

「もの忘れ」には、加齢による生理的な「もの忘れ」と認知症による「もの忘れ」があり、両者には違いがあります。

加齢による「もの忘れ」と認知症による「もの忘れ」

  加齢によるもの忘れ 認知症によるもの忘れ
もの忘れ

体験した出来事の一部(日時などの出来事の細かな部分)を忘れる。手がかりがあれば思い出せる。

芸能人の名前など、一般的な知識を忘れる。

体験した出来事そのもの(体験全体)を忘れる。手がかりがあっても思い出せない。

身近な人や大事な人の名前も忘れることがある。

日時の見当識 細かな間違いはあるが、おおよそ合っている。 実際とは大きく異なる日付や時間を言う。
もの忘れの自覚 「最近、忘れっぽくなった」と自覚していることが多い。 忘れやすさの自覚は乏しいことが多い。
新しいことの学習 新しいことも覚えることができる。 新しいことは覚えにくくなる。
注意 以前と大きく変わらない、またはわずかな低下。 話しかけてもぼんやりして反応が悪い。ミスが増える。
計算 以前と大きく変わらない、またはわずかな低下。 筆算や暗算が難しくなる。
言語 以前と大きく変わらない、またはわずかな低下。 言葉や文字が思い出せない。書き間違いが増える。発話が減る。聞いた内容を理解しにくくなる。

参考:認知症疾患診療ガイドライン2017

生活のしづらさについて

認知症では、認知機能の低下に加えて、日常生活がうまく送れなくなる「生活機能障害」が進行に伴って生じやすくなります。特に、「買い物」「食事の支度」「服薬管理」などは、比較的早い段階から低下しやすい生活機能といわれています。

日常での変化

生活機能 変化
買い物 必要なものをよく買い忘れる、同じ物を何度も買ってしまう、賞味期限切れの食品がたまる。
食事の支度 段取りが悪くなる、味付けが変わる、献立の種類が減り、同じような食事が増える。
電話 病院の予約などの電話が難しくなる、携帯電話の操作が難しくなる。
外出 よく知っている場所でも道に迷う、バスや電車などの公共交通機関を利用した一人での外出が難しくなる。
家事 段取りが悪くなる、ミスが増える、複数の作業を同時に行いにくくなる。
清潔 掃除をしなくなる、身だしなみに気をつかわなくなる。
服薬管理 処方どおりに薬を飲めず、飲み忘れが増える。
金銭管理 ATMの操作方法がわからなくなる、公共料金の支払いができなくなる、お金や通帳の管理が難しくなる。

参考:認知症ハンドブック第2版

MCI(軽度認知障害)とは

MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)とは、認知機能が正常な状態と認知症の中間の状態です。もの忘れなどの認知機能の低下がみられますが、日常生活には大きな支障がない場合が多いとされています。放っておくと認知症に進行することがありますが、適切な対応を行うことで認知機能が正常な状態に戻る可能性もあります。

参考:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」

認知症になる一歩手前の段階

MCIが認知機能正常と認知症の中間の状態であることを示す図

MCIとは、認知機能低下があるものの、日常生活は問題なく送ることができている状態のことです。MCIは認知機能正常と認知症の中間の状態であるといえます。

MCIでは、記憶力に軽度の低下がみられる場合が多く認められます。ただ、日常生活(家事や移動、買い物、金銭管理など)には支障がでていない場合が多く、必ず認知機能が低下するというわけではありません。

早めの対応で認知症予防へ

MCIでは、1年で約5から15%の人が認知症に移行する一方で、1年で約16から41%の人は認知機能が正常な状態に戻ることがわかっています。そのため、早い段階から認知症予防に取り組むことが重要です。適切な対応により、認知機能が正常な状態へ回復することや、認知症への移行を遅らせることが期待できます(下図)。

MCIにおける早めの対策が認知症予防のカギであることをグラフにして示した図

参考:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」

「もの忘れ」が気になったら

「最近もの忘れが増えたかもしれない」と感じたときは、年齢のせいと決めつけず、早めにかかりつけ医やもの忘れ外来のある医療機関に相談しましょう。

特に、次のような変化がある場合は注意が必要です。

  • 同じことを何度も聞いたり話したりする
  • 体験した出来事そのものを忘れ、手がかりがあっても思い出せない
  • 財布や通帳、鍵などの大切なものをなくすことが増えた
  • もの忘れの自覚が乏しい
  • ATM操作や買い物、服薬管理など、これまでできていたことがうまくできなくなった
  • よく知っている道で迷ったり、日付や曜日がわからないことが増えた
  • 気分の落ち込みや意欲や興味の低下、怒りっぽさ、不安感など、性格や気分の変化が目立つ

早めに相談することで、認知症以外の原因が見つかることもあります。
また、より早い段階で適切な対応を始めることで、認知症への進行を遅らせられる場合もあります。

※相談先の探し方については、「利用できる支援やサービス」のページをご参照ください。

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