国立長寿医療研究センターでは、「国立長寿医療研究センター・バイオバンク」への研究参加同意をいただいた方を対象とした生命科学・医学系研究を実施しております。
バイオバンクでは、対象者の皆様の様々なデータを老化・老年病予防を目的とした研究に利用しております。
尚、対象者の皆様からは、様々な調査・検査結果を老化・老年病予防を目的とした将来の研究に使用することについて、同意を得ております。
この度、国立長寿医療研究センターにおいて「造血器疾患のゲノム解析」を実施することとなりましたので、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づき、研究実施の情報公開をいたします。
本研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「本研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願いいたします。
2025年5月2日
記
1.研究課題名
「造血器疾患のゲノム解析」(倫理・利益相反委員会受付番号No.**)
「造血器疾患のゲノム解析」(倫理・利益相反委員会受付番号No.**)本研究課題は、国立長寿医療研究センター倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、国立長寿医療研究センター理事長の実施許可を受けております。
2.研究機関の名称および研究責任者の氏名
勝見章(国立長寿医療研究センター 血液内科部 部長)
3.研究分担者名
- 尾崎浩一(国立長寿医療研究センター 研究所 メディカルゲノムセンター センター長)
- 茂木健太(国立長寿医療研究センター 血液内科部 医師)
- 伊藤美由紀(国立長寿医療研究センター 血液内科部 技術補佐員)
4.本研究の意義、目的
背景と目的
代表的な造血器疾患である急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、ろ胞性リンパ腫(FL)等では完全寛解(CR)を高い確率で得る事ができます。
しかしながら長期的な生存率はそれほど高くなく、5年生存率はDLBCLで50%〜60%、AML、ALLで30%〜40%、FLは進行が緩やかなため10年生存率でみると40~50%といずれも良好とは言えません。
これらの造血器疾患の罹患率は加齢により増加することが報告されており、高齢化にあるわが国において介護予防、健康寿命延伸実現には造血器疾患への対応が大きな課題と考えられています。
ゲノム解析技術はこの10年ほどで、解析プラットフォームの進展、とりわけ次世代シークエンサーによる塩基配列解析技術は世界的にめざましい発展をとげるとともに、ゲノム医療の大きな技術基盤となっています。
本研究の目的は、造血器疾患における遺伝子変異を最新のゲノム解析技術を用いて明らかにすることで、本症の新しい診断・診療技術の開発基盤とすることです。
意義・研究の科学的合理性の根拠
本研究は当センターの中長期目標のうち「バイオバンクと連携した老化・老年学に関するコホート研究」に合致するものです。
本研究を遂行することにより造血器疾患の原因となる遺伝子の配列の違いが見つかれば、将来、この病気のさらなる治療法、治療薬の開発に役立つと考えています。
私共はこの研究によって、診断技術を向上させ、原因となる遺伝子を探し出すなどの努力を続けていきます。
5.本研究の研究計画
この研究では、国立長寿医療研究センター病院血液内科に造血器疾患で入院(通院)されている患者さんの中で、通常診療の際に採血を必要とする方、約30名を対象とさせていただく予定です。
この研究への参加に同意いただきますと、通常診療での採血に追加して、研究用試料として血液を20mL余分に採血させていただきます。
研究に先立ち、個人情報の漏洩を防ぐため、あなたの個人情報を抜き取り別に管理します(コード化といいます。)
提供していただいた血液からDNAという物質を取り出し、外部の遺伝子配列解析受託会社もしくは当センター内で遺伝子を調べます。
これにより、造血器疾患の原因となる遺伝子である可能性がある遺伝子を見つけます。
この遺伝子の型が他の人とどのように違うかを調べ、さらにあなたの症状との関係を調べます。
6.本研究で使用する試料・情報
本研究はバイオバンク既存試料・情報を用いた観察研究であり、介入、新たな負担を伴いません。
臨床情報として採血データを使用します。
情報の利用開始予定日は倫理・利益相反委員会承認後です。
7.研究期間
倫理・利益相反委員会承認後~2028年3月31日
8.対象となる方・研究対象者として選定された理由
この研究では、国立長寿医療研究センター病院血液内科に造血器疾患で入院または通院されている患者さんの中で、通常診療の際に採血を必要とする方、約30名を対象とさせていただく予定です。
9.研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスクおよび利益
バイオバンク事業に同意を頂いた方の検体・情報を研究に利用するのみであり、プライバシーの保護についても十分に配慮されるため、対象者の方に新たに発生する負担はありません。
予測されるリスクは個人情報の流出ですが、個人から得られたデータは、個人が特定できないIDにより管理し、解析の際はコード化データを用いるため、個人情報流出の可能性は極めて低いです。
また研究成果は、集団として解析した結果のみを示すため、研究成果から個人が特定されることはありません。
対象者個人に対する直接の利益も想定されませんが、本研究から健康に有益な情報が発信された場合、その情報を個人の健康増進に役立てることにより、間接的に利益が得られる場合があります。
10.研究実施について同意しないことおよび同意を撤回することの自由について
対象者の方ご自身の検査結果が、本研究課題に利用されることに同意いただけない場合には、研究に使用する検査結果からあなたにかかる情報を削除いたしますので、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
研究期間の途中であっても構いません。情報の削除依頼をしたことにより、不利益な取扱いを受けることはございません。
ただし、ご連絡をいただいた時点で、研究結果が学会報告や論文等ですでに公開されている場合などには解析結果を削除できないことがあります。
11.本研究に関する情報公開の方法
この掲示により本研究に関する情報公開とします。
本研究で得られた研究結果は国立長寿医療研究センターが実施する研究として、学会報告・論文投稿にて発表します。
また研究成果の内容によってはホームページ掲載や広報紙にて、対象者および一般住民の方に向けた内容で公表します。
12.研究計画書等の閲覧について
他の対象者の個人情報保護および本研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。
閲覧を希望される場合には、下部に記載されているお問い合わせ先にご連絡いただけますようお願いいたします。
13.個人情報等の取扱い
生体試料と医療情報を研究に活用させていただく場合、個人を特定できなくするためのコード化等の操作を行い、プライバシーの保護に細心の注意を払います。
具体的には、いただいた生体試料および医療情報から個人が特定できる情報(氏名や生年月日等)を消去し、新たな符合または番号を付してコード化します。
この符合や番号が誰の生体試料や医療情報と対応しているのかを示す「対応表」は、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの保有する個人情報の保護に関する規程に基づき、国立長寿医療研究センターで研究に携わらない第三者として個人情報管理者や個人情報管理補助者によって厳重に管理されます。
万一、個人情報の漏えいなどにより損害をこうむられた場合は、関連する法律、および遵守すべき指針に即して適切に対処いたします。
また研究成果は集団として集計した結果を学会報告や論文として発表しますので、解析結果から個人が特定されることはありません。
14.本研究以外での試料・情報の利用について
将来の研究のための貴重な資源として、提供を受けた試料、情報を、研究終了後もコード化したまま、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター・バイオバンクにて保管する。
将来、試料・情報を研究に用いる場合は、改めてその研究計画を該当する倫理・利益相反委員会に諮り、承認をうけた上で倫理指針を遵守した上で利用する。
また、保管期間中に、他機関から提供の申し出があった場合についても、同様にその研究計画を倫理審査委員会に諮り、承認を得た上で、当該研究機関に提供します。
提供する試料・情報はコード化されており、対象者の個人情報は当該機関には送付しないので個人情報が漏洩する心配はない。
研究対象者から取得された試料・情報について、研究対象者等から同意を受ける時点では特定されない将来の研究のために用いられる可能性、又は他の研究機関に提供する可能性がある場合の、同意を受ける時点において想定される内容、並びに実施される研究及び提供先となる研究機関に関する情報を、研究対象者の方が確認する方法についてはセンターホームページに記載します。
15.遺伝情報の開示と遺伝カウンセリングについて
本研究では未知の遺伝子変異・多型を探索する目的から、他の遺伝疾患を同定できないこと、ならびに健康状態等を評価するための情報として精度や確実性に欠けており、開示により提供者または第三者の生命、身体、財産その他権利利益を害するおそれがあることから、遺伝情報の開示は行いません。
研究対象者及びその家族又は血縁者からカウンセリングの求めがあったときには、そのための適切な施設を紹介させて頂きます。
また治療薬がある既知の遺伝子変異についても、対象となる方の利益につながる可能性がある場合は研究責任者により適切に説明を行う機会を設けさせて頂きます。
本研究において明らかにしようとした主な結果や所見のみならず、研究実施に伴って二次的に得られた結果や所見(いわゆる偶発的所見)が生命に重大な影響を及ぼすおそれのある情報である場合は研究責任者により説明の機会を設けさせて頂きます。
16.試料・情報の保管および廃棄の方法
長寿医療研究センターバイオバンクより分譲された試料・情報については、学会や論文等での発表から10年の間、国立長寿医療研究センター血液内科部にて施錠保管します。
保管期間満了後は速やかに試料・情報を廃棄します。
バイオバンクが最終的にその使命を果たし、閉鎖される場合は、保管されていた試料および診療情報などは倫理・利益相反委員会の判断を受けて、適切な機関に移譲あるいは廃棄されます。
17.研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反および個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
バイオバンクの全ての情報・試料は、国立長寿医療研究センターの運営費や公的研究費(競争的研究資金等)を主財源として収集しており、国立長寿医療研究センターが管理・運用を行っています。
本研究は、国立長寿医療研究センター所属の研究者による共同研究であり、国立長寿医療研究センターの長寿医療研究開発費を資金源とします。
本研究に参加する研究者間に一切の利害関係は無く、研究費について開示すべきCOI(利益相反)はありません。
18.研究対象者等およびその関係者からの相談等への対応
本研究に関するご不明点などございましたら、下部に記載のお問い合わせ先までご連絡ください。
- 本研究に関するお問い合わせ先
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国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
血液内科部
部長 勝見章- 住所:〒474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地
- 電話:0562-46-2311(代表)(平日9時から17時)
注:研究代表者の所属等はご申請いただいた当時のまま掲載させていただいております。