バイオバンクとは「体系化したシステムにおいて保管された、ある集団(または集団内の部分集団)の生体試料とそれに付随する情報のコレクション」と定義されています※1。本来は、様々な種の組織や細胞、植物の種子、微生物等の保管施設を意味しますが、最近では医学研究を目的としたヒト由来の試料・情報の収集保管施設を示すことが多くなりました(ヒト以外の試料のときはバイオリソースセンターとすることが多いようです)。
バイオバンク事業の目的は、収集した試料と付随する情報を医学系研究者に配布(分譲)し、ヒトの疾患の原因究明や、新薬開発に資する研究基盤とすることです。海外では、国レベルでバイオバンクの設置・運営が行われているところもあります。英国の UK-Biobank※2は世界的にもっとも大規模なバイオバンクとして知られ、「バイオバンク」という言葉が世界に広まるきっかけになりました。こうした国々では、バイオバンクがもたらす公共の利益について、国民の理解が進み、研究成果への期待も高いものがあります。
国立長寿医療研究センター(NCGG)バイオバンクは、バイオバンク事業を所掌・運営し、国内6つのナショナルセンター(国立高度専門医療研究センターの通称)でつくるバイオバンクネットワーク※3の一員としても活動しています。NCGGバイオバンクは、高齢期に発症する認知症や骨関節疾患などを中心に、生体試料と情報を個人を特定できないようにした形で収集・保管し、厳正な倫理審査を経て国内外の医学研究に提供しています。
バイオバンク棟外観
試料保管
保管作業
解析装置
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