独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人国立長寿医療研究センターが達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を次のように定める。
平成22年4月1日 厚生労働大臣 長妻昭
我が国においては、急速な少子高齢化の進展や、疾病構造の変化、医療技術等の高度化等により医療を取り巻く環境が大きく変化するとともに、国民の医療に対するニーズも変化しており、このような変化に対応した国民本位の総合的かつ戦略的な医療政策の展開が求められている。
こうした中、国が医療政策を効果的、効率的に推進するため、国立高度専門医療研究センターには、疫学研究等による日本人のエビデンスの収集や高度先駆的医療の開発及びその普及等、我が国の研究、医療水準を向上させ、もって公衆衛生の向上に寄与することにより、医療政策を牽引していく拠点となることが求められている。
このため、国立高度専門医療研究センターは、国内外の関係機関と連携し、資源の選択と集中を図り、国の医療政策と一体となって、研究・開発及び人材育成に関し、国際水準の成果を継続して生み出し、世界をリードしていくことが期待される。
独立行政法人国立長寿医療研究センター(以下「センター」という。)は、平成16年に老化メカニズム及び老年病発症機序の解明を目指す基礎及び臨床研究並びに高齢者に特有な疾病に関する包括的な医療、看護、リハビリテーション等の体制確立及び推進等を目的として設置された国立長寿医療センターを前身とする。
急速に進展する高齢社会を豊かで活力に満ちたものとするためには、高齢者に対する医療の充実とともに老年医学及び老年学に関する研究基盤及びネットワークの整備拡充が必要不可欠である。
また、「新成長戦略(基本方針)」(平成21年12月30日閣議決定。以下「新成長戦略」という。)においては、超高齢社会に対応した社会システムを構築し、すべての高齢者が家族と社会のつながりの中で生涯に渡り生活を楽しむことのできる社会の構築を目指すこととされている。
センターは、老人保健及び福祉とも連携し、積極的な情報収集及び成果等の世界への情報発信、長寿医療の普及に向けた人材育成のための教育及び研修並びに得られた成果に基づく積極的な政策提言を行っていくことで健康長寿社会の実現にその役割を果たすことが求められている。
センターの中期目標の期間は、平成22年4月から平成27年3月までの5年間とする。
高度先駆的医療の開発及び標準医療の確立のため、臨床を指向した研究を推進し、優れた研究・開発成果を継続的に生み出していくことが必要である。このため、センターにおいて以下の研究基盤強化に努めること。
研究所と病院等、センター内の連携強化
「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(平成19年4月26日内閣府・文部科学省・厚生労働省・経済産業省)に基づく、産官学が密接に連携して臨床研究・実用化研究を進める「医療クラスター」の形成等、国内外の産業界、研究機関及び治験実施医療機関等との連携
研究・開発に係る企画及び評価体制の整備
効果的な知的財産の管理、活用の推進
治験等の臨床研究を病院内で高い倫理性、透明性をもって円滑に実施するための基盤の整備に努めること。
これら研究基盤の強化により、詳細を別紙に示した研究・開発を着実に推進すること。
我が国における長寿医療の中核的な医療機関として、「高齢社会対策大綱」(平成13年12月28日閣議決定)に定める「国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会」の構築を目指し、国内外の知見を集約し、高度先駆的医療の提供を行うこと。
また、長寿医療の標準化を推進するため、最新の科学的根拠に基づいた医療の提供を行うこと。
患者・家族に必要な説明を行い、情報の共有化に努めることにより、患者との信頼関係を構築し、また、患者・家族が治療の選択、決定を医療者とともに主体的に行うことができるよう支援することに加え、チーム医療の推進、入院時から地域ケアを見通した医療の提供、医療安全管理体制の充実、客観的指標等を用いた医療の質の評価等により、患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供を行
うこと。
認知症患者、家族を支援するための医療体制を構築するとともに、医療と介護の連携を推進すること。
高齢者の在宅療養生活を支援し、切れ目のない医療の提供を行うため、モデル的な在宅医療支援を提供すること。
患者に対するインフォームドコンセント等におけるモデル的な終末期医療の提供を行うこと。
人材育成は、センターが医療政策を牽引する上で特に重要なものであることから、センターが国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、長寿医療及びその研究を推進するにあたりリーダーとして活躍できる人材の育成を行うとともに、モデル的な研修及び講習の実施及び普及に努めること。
センター及び都道府県における中核的な医療機関間のネットワークを構築し、高度先駆的医療の普及及び医療の標準化に努めること。
情報発信にあたっては、医療従事者や患者・家族が長寿医療に関して信頼のおける情報を分かりやすく入手できるよう、国内外の長寿医療に関する知見を収集、整理及び評価し、科学的根拠に基づく診断及び治療法等について、国民向け及び医療機関向けの情報提供を行うこと。
医療政策をより強固な科学的根拠に基づき、かつ、医療現場の実態に即したものにするため、科学的見地から専門的提言を行うこと。
公衆衛生上重大な危害が発生し又は発生しようとしている場合には、国の要請に応じ、迅速かつ適切な対応を行うこと。
我が国における長寿医療の中核的機関として、その特性に応じた国際貢献を行うこと。
業務の質の向上を目指し、かつ、効率的な業務運営体制とするため、定期的に事務及び事業の評価を行い、役割分担の明確化及び職員の適正配置等を通じ、弾力的な組織の再編及び構築を行うこと。
総人件費については、センターの果たすべき役割の重要性を踏まえつつ、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)や「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)に基づいて人件費改革に取り組むとともに、給与水準に関して国民の理解が十分得られるよう必要な説明や評価を受けるものとすること。
その際、併せて、医療法(昭和23年法律第205号)及び診療報酬上の人員基準に沿った対応を行うことはもとより、国の制度の創設や改正に伴う人材確保も含め高度先駆的医療の推進のための対応や医療安全を確保するための適切な取組を行うこと。
また、独立行政法人に関する制度の見直しの状況を踏まえ適切な取組を行うこと。
センターの効率的な運営を図るため、以下の取組を進めること。
給与水準について、センターが担う役割に留意しつつ、適切な給与体系となるよう見直し
共同購入等による医薬品医療材料等購入費用の適正化
一般管理費(退職手当を除く。)について、平成21年度に比し、中期目標期間の最終年度において15%以上の削減
医業未収金の発生防止及び徴収の改善並びに診療報酬請求業務の改善等収入の確保
業務の効率化及び質の向上を目的とした電子化を費用対効果を勘案しつつ推進し、情報を経営分析等に活用すること。推進にあたっては職員の利便性に配慮しつつ、情報セキュリティの向上に努めること。
法令遵守(コンプライアンス)等内部統制を適切に構築すること。
特に契約については、原則として一般競争入札等によるものとし、競争性及び透明性が十分確保される方法により実施するとともに、随意契約の適正化を図ること。
「第3 業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中期計画の予算を作成し、当該予算による運営を実施することにより、中期目標の期間における期首に対する期末の財務内容の改善を図ること。
長寿医療に関する医療政策を牽引していく拠点としての役割を果たすため、運営費交付金以外の外部資金の積極的な導入に努めること。
センターの機能の維持、向上を図りつつ、投資を計画的に行い、固定負債(長期借入金の残高)を償還確実性が確保できる範囲とし、運営上、中・長期的に適正なものとなるよう努めること。
施設・設備整備については、センターの機能の維持、向上の他、費用対効果及び財務状況を総合的に勘案して計画的な整備に努めること。
センターの専門的機能の向上を図るため、職員の意欲向上及び能力開発に努めるとともに、人事評価を適切に行うシステムを構築すること。
また、年功序列を排し、能力・実績本位の人材登用などの確立に努め、さらに、優秀な人材を持続的に確保するため、女性の働きやすい環境の整備及び非公務員型独立行政法人の特性を活かした人材交流の促進等を推進すること。
中期目標に基づきセンターのミッションを理解し、ミッションを実現するために必要なアクションプランとして中期計画を立て、具体的な行動に移すことができるように努めること。また、アクションプランやセンターの成果について、一般の国民が理解しやすい方法、内容で情報開示を行うように努めること。
ミッションの確認、現状の把握、問題点の洗い出し、改善策の立案、翌年度の年度計画の作成等に資するため、定期的に職員の意見を聞くよう、努めること。
加齢に伴って生ずる心身の変化及びそれに起因する疾患であって高齢者が自立した日常生活を営むために特に治療を必要とするもの(以下「加齢に伴う疾患」という。)を克服するため、センターは、病院、研究所の連携を基盤としながら、国内外の医療機関、研究機関、学会との共同研究の一層の推進を図りつつ、認知症や運動器疾患等加齢に伴う疾患の発症機序の解明につながる基礎的研究の推進や疫学研究等による日本人のエビデンスの収集から、予防医学技術の開発、基礎医学の成果を活用した橋渡し研究、臨床に直結した研究・開発までを総合的に進めていくこと。
その実施にあたっては、中期計画において、主な研究成果に係る数値目標を設定するなど、センターが達成すべき研究成果の内容とその水準を明確化及び具体化すること。
加齢に伴う疾患の本態解明
科学技術のイノベーションを常に取り入れ、分子・細胞から個体に至るものまでを研究対象にすることにより、アルツハイマー病や骨粗鬆症等加齢に伴う疾患のメカニズムを解明し、予防・診断・治療への応用の糸口となる研究を推進する。
加齢に伴う疾患の実態把握
我が国の加齢に伴う疾患の罹患、転帰その他の状況等の実態及びその推移の把握、疫学研究による加齢に伴う疾患のリスク・予防要因の究明等、加齢に伴う疾患の実態把握に資する研究を推進する。
高度先駆的及び標準的予防、診断、治療法の開発の推進
加齢に伴う疾患に対する高度先駆的な予防、診断、治療法の開発に資する研究を推進する。
また、既存の予防、診断、治療法に対する多施設共同研究等による有効性の比較等、標準的予防、診断、治療法の確立に資する研究を推進する。
また、高度先駆的な予防・診断・治療法の開発の基盤となる、バイオリソースや臨床情報の収集及びその解析を推進する。
医薬品及び医療機器の開発の推進
新成長戦略においては、ライフ・イノベーションによる健康大国戦略として、革新的な医薬品、医療・介護技術の研究開発・実用化の促進が求められている。
この趣旨を踏まえ、加齢に伴う疾患に関する研究成果等を安全かつ速やかに臨床現場へ応用するために、医薬品及び医療機器の治験(適応拡大を含む。)、特に高度に専門的な知識や経験が要求される等実施に困難を伴う治験・臨床研究の実現を目指した研究を推進する。
また、海外では有効性と安全性が検証されているが、国内では未承認の医薬品、医療機器について、治験等臨床研究を推進する。
これらにより平成21年度に比し、中期目標の期間中に、臨床研究実施件数(倫理委員会にて承認された研究をいう。)及び治験(製造販売後臨床試験も含む。)の実施件数の合計数の10%以上の増加を図ること。
医療の均てん化手法の開発の推進
関係学会等との連携を図り、臨床評価指標の開発並びに診断・治療ガイドライン等の作成及び普及に寄与する研究を推進する。
長寿医療を担う高度かつ専門的な技術を持つ人材育成を図るため、系統だった教育・研修方法の開発を推進する。
情報発信手法の開発
長寿医療に対する正しい理解を促進し、患者・家族に対する支援の質を向上させるため、医療従事者及び患者・国民への啓発手法の研究を推進する。
独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第35条の4第1項の規定に基づき、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが達成すべき業務運営に関する目標(以下「中長期目標」という。)を次のように定める。
平成27年4月1日
平成27年11月9日改正
令和2年3月18日改正
厚生労働大臣 塩崎恭久
研究開発法人は、健康・医療戦略推進法(平成26年法律第48号)に定める基本理念にのっとり、先端的、学際的又は総合的な研究、すなわち医療分野の研究開発及びその成果の普及並びに人材の育成に積極的に努めなければならないこととされている。国立高度専門医療研究センター(以下「NC」という。)は、国立研究開発法人として、前述の理念に基づき、研究開発等を推進していく。
また、厚生労働省が掲げる政策体系における基本目標(安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること)及び施策目標(国が医療政策として担うべき医療(政策医療)を推進すること)を踏まえ、NCにおいても、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療や高度かつ専門的な医療、すなわち政策医療を向上・均てん化させることとされている。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(以下「センター」という。)は、高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律(平成20年法律第93号)第3条第6項に基づき、加齢に伴って生ずる心身の変化及びそれに起因する疾患であって高齢者が自立した日常生活を営むために特に治療を必要とするもの(以下「加齢に伴う疾患」という。)に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、加齢に伴う疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することとされている。
また、通則法第2条第3項に基づき、国立研究開発法人として、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することとされている。このうち、研究開発及び医療の提供については、
に重点的に取り組むものとする。
「健康・医療戦略」(平成26年7月22日閣議決定)に即して策定された「医療分野研究開発推進計画」(平成26年7月22日健康・医療戦略推進本部決定)を踏まえ、臨床研究及び治験の更なる推進、ゲノム医療の実現化など新たな治療法に関する研究開発に重点的に取り組むとともに、各研究開発の質の向上に努めるものとする。
また、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」、「社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月6日)」を踏まえ、認知症施策などの推進に努めるものとする。
近年の科学技術の進歩により、世界的にみても革新的な医療技術が相次いで開発されるなど、医療分野の研究開発を取り巻く環境は大きく進展している。
また、我が国の医薬品企業の国際競争力は高い水準を維持しているものの、例えば、2012年において、世界の大型医薬品売上高上位10品目のうち7製品を占めている抗体医薬品などのバイオ医薬品については、日本企業の開発が遅れているなど、国内企業の国際競争力の更なる強化が課題となっている(出典:「健康・医療戦略」(平成26年7月22日閣議決定))。
さらに、世界に先駆けて超高齢社会を迎える我が国にあって、課題解決先進国として、健康長寿社会の形成に向け、世界最先端の医療技術・サービスを実現し、健康寿命をさらに伸ばすことが重要とされている(出典:同閣議決定)。
センターの中長期目標の期間は、平成27年4月から令和3年3月までの6年間とする。
【重要度:高】担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進は、国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会を形成するために極めて重要であり、研究と臨床を一体的に推進できるNCの特長を活かすことにより、研究成果の実用化に大きく貢献することが求められているため。
【難易度:高】認知症を含めた加齢に伴う疾患に対する研究開発は、高齢者特有の脆弱性により他の疾患や機能障害を併発しやすいことや、治療法の有効性を評価するための、臨床的・疫学的ランダム化研究あるいはモデル動物による評価系の構築が困難であることなど、その先制医療や予防を実現するための研究開発において多様な課題を抱えているため。
長寿医療に関する研究開発拠点としての開発力の強化、高齢者のためのロボットの開発普及のための拠点の整備、メディカルゲノムセンター(MGC)の機能整備とバイオバンクの充実、高齢者特有の疾患に対する効果的な治療・介護手法等、支える医療の確立、治験・臨床研究推進体制の整備、適正な研究活動の遵守のための措置、知的財産の管理強化及び活用推進、医療機器の開発の推進、診療ガイドラインの作成・普及により、研究・開発を推進する。
また、医療分野研究開発推進計画に基づき、臨床研究及び治験を進めるため、症例の集約化を図るとともに、今後も、これらの資源を有効に活用しつつ、臨床研究の質の向上、研究者・専門家の育成・人材確保、臨床研究及び治験のための共通的な基盤の共用、研究不正・研究費不正使用等防止への対応、患者との連携及び国民への啓発活動等への取組など更なる機能の向上を図り、基礎研究成果を実用化につなぐ体制を構築する。
具体的には、センター内や産官学の連携の強化、治験・臨床研究の推進やゲノム医療の実現化に向けた基盤整備を行い、特に、ナショナルセンター・バイオバンクネットワークを最大限活用し、センターが担う疾患に関する難治性・希少性疾患の原因解明や創薬に資する治験・臨床研究を推進するために、詳細な臨床情報が付帯された良質な生体試料を収集・保存するとともに、外部機関へ提供できる仕組みを構築するなどバイオバンク体制のより一層の充実を図る。更に外部の医療機関からも生体試料の収集を行うことを検討する。
また、運営費交付金を財源とした研究開発と同様に競争的研究資金を財源とする研究開発においてもセンターの取り組むべき研究課題として適切なものを実施する仕組みを構築する。
以上の実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備により、中長期目標期間中に、First in human(ヒトに初めて投与する)試験実施件数、医師主導治験実施件数、センターの研究開発に基づくものを含む先進医療承認件数について、合計5件以上実施するとともに臨床研究実施件数(倫理委員会にて承認された研究をいう。)及び治験(製造販売後臨床試験も含む。)の実施件数、学会等が作成する診療ガイドラインへの採用数について中長期計画に具体的な目標を定めること。
【重要度:高】実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備は、国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会を形成するために極めて重要であり、研究と臨床を一体的に推進できるNC の特長を活かすことにより、研究成果の実用化に大きく貢献することが求められているため。
上記(1)及び(2)に関し、6NC連携による全世代型の研究やデータ基盤の構築、研究支援等が進み、新たなイノベーションの創出が図られるよう、当面は6NC共通の研究推進組織を構築し、それぞれの専門性を活かしつつ、6NC間の連携推進に取り組んでいくこと。
また、研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図るため、必要に応じ、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)に基づく出資並びに人的及び技術的援助の手段を活用すること。
病院の役割については、引き続き認知症疾患医療センター、在宅療養後方支援病院としての機能を果たした上で、今後策定が予定されている地域医療構想策定ガイドライン等を踏まえた高度急性期機能等の医療機能を担うものとする。
【重要度:高】長寿医療に対する中核的な医療機関であり、研究開発成果の活用を前提として、医療の高度化・複雑化に対応した医療を実施することは、我が国の医療レベルの向上に繋がるため。
我が国における長寿医療の中核的な医療機関として、「高齢社会対策大綱」(平成24年9月7日閣議決定)に定める「活躍している人や活躍したいと思っている人たちの誇りや尊厳を高め、意欲と能力のある高齢者には社会の支え手となってもらうと同時に、支えが必要となった時には、周囲の支えにより自立し、人間らしく生活できる尊厳のある超高齢社会を実現させ、国民一人ひとりの意欲と能力が最大限に発揮できるような全世代で支え合える社会」の構築を目指し、国内外の研究施設及び医療機関等の知見を集約しつつ研究部門と密接な連携を図り、その研究成果を活用し、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供を引き続き推進する。
また、病院の医療の質や機能の向上を図る観点から、センターとして提供することを求められている医療のレベルに見合った臨床評価指標を策定し、医療の質の評価を実施し、その結果を情報発信する。
医療の高度化・複雑化が進む中で、質が高く安全な医療を提供するため、各医療従事者が高い専門性を発揮しつつ、業務を分担しながら互いに連携することにより、患者の状態に応じた適切な医療を提供するなど、医師及びその他医療従事者等、それぞれの特性を生かした、多職種連携かつ診療科横断によるチーム医療を推進し、特定の職種への過度な負担を軽減するとともに、継続して質の高い医療の提供を行うこと。
特に医療安全については、NC 間における医療安全相互チェックを行うこと、全職員を対象とした医療安全や感染対策のための研修会を年間2回以上開催し受講状況を確認すること、医療安全委員会を月1回以上開催すること、インシデント及びアクシデントの情報共有等を行うことなど、医療事故防止、感染管理及び医療機器等の安全管理に努め、医療安全管理体制を強化する。
認知症患者、家族を支援するための医療体制を構築するとともに、医療と介護の連携を推進すること。
高齢者の在宅療養生活を支援し、切れ目のない医療の提供を行うため、モデル的な在宅医療支援を提供すること。
患者に対する患者同意取得(インフォームドコンセント)等において、人生の最終段階におけるモデル的な医療の提供を行うこと。
「研究開発成果の最大化」と「適正、効果的かつ効率的な業務運営」との両立の実現に資するよう、手術件数・病床利用率・平均在院日数・入院実患者数等について、中長期計画等に適切な数値目標を設定すること。
上記数値目標の実績について、病院の担当疾患に係る割合を分析すること等により、国立研究開発法人の病院として適切かつ健全に運営を行うための病床規模等を検討すること。
上記(1)及び(2)により得られた知見等を基に、各地に設置される認知症初期集中支援チームに対する指導・研修・助言を通じ、認知症の人の早期受療に関する適切な介入を行うことにより受療行動の増加に努めること。
人材育成は、センターが医療政策を牽引する上で特に重要なものであることから、センターが国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、長寿医療及びその研究を推進するにあたりリーダーとして活躍できる人材の育成を行うとともに、モデル的な研修及び講習の実施及び普及に努めること。
具体的には、高度な医療技術を有する外国の医師が、その技術を日本の医師に対して教授するために来日するケースや、海外のトップクラスの研究者が、日本の研究者と共同して国際水準の臨床研究を実施するために来日するケースも想定されることから、国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、センターが担う疾患に対する医療及び研究を推進するにあたり、リーダーとして活躍できる人材の育成を継続して実施する。
高度かつ専門的な医療技術に関する研修を実施するなど、モデル的な研修及び講習を実施し、普及に努める。その一環として、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に基づき、認知症サポート医養成研修の修了者数について平成29年度末までに累計5,000人を目指すこと。
専門修練医用の研修プログラムの作成など専門修練医制度を整備する。
なお、研修等について、中長期計画等に適切な数値目標を設定すること。
研究、医療の均てん化等に取り組む中で明らかになった課題や我が国の医療政策の展開等のうち、特に研究開発に係る分野について、患者を含めた国民の視点に立ち、科学的見地を踏まえ、センターとして提言書をとりまとめた上で国への専門的提言を行うこと。
医療の評価と質の向上、さらに効率的な医療の提供を実現するために、関係学会とも連携しつつ、ゲノム情報、診療データ、患者レジストリ(登録システム)等を活用し、研究分野において指導力を発揮するとともに、センターが担う疾患にかかる中核的な医療機関間のネットワーク化を推進し、高度かつ専門的な医療の普及を図り、医療の標準化に努める。
情報発信にあたっては、関係学会とも連携しつつ、診療ガイドラインの作成に更に関与するものとし、ホームページを活用すること等により、診療ガイドラインの普及に努めるなど、国内外のセンターが担う疾患に関する知見を収集、整理及び評価し、科学的根拠に基づく予防、診断及び治療法等について、国民向け及び医療機関向けの情報提供の充実を図る。
公衆衛生上重大な危害が発生し又は発生しようとしている場合には、国の要請に応じ、迅速かつ適切な対応を行うこと。
業務の質の向上及びガバナンスの強化を目指し、かつ、効率的な業務運営体制とするため、定期的に事務及び事業の評価を行い、役割分担の明確化及び職員の適正配置等を通じ、弾力的な組織の再編及び構築を行うこと。
また、独立行政法人に関する制度の見直しの状況を踏まえ適切な取組を行うこと。
センターの効率的な運営を図るため、以下の取組を進めること。
これらの取組により、中長期目標期間中の累計した損益計算において、経常収支が100%以上となるよう経営改善に取り組む。
業務の効率化及び質の向上を目的とした電子化を費用対効果を勘案しつつ推進し、情報を経営分析等に活用すること。
また、センターの業務計画(年度計画等)の一つとして、情報セキュリティ対策を位置づけるなど、情報セキュリティ対策を推進する。
「第4 業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中長期計画の予算を作成し、当該予算による運営を実施することにより、中長期目標の期間における期首に対する期末の財務内容の改善を図ること。
長寿医療に関する医療政策を牽引していく拠点としての役割を果たすため、運営費交付金以外の外部資金の積極的な導入に努めること。
具体的には、企業等との治験連携事務局の設置や、患者レジストリ(登録システム)の構築により、治験・臨床研究体制を強化し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構等からの競争的資金や企業治験等の外部資金の獲得を更に進める。
センターの機能の維持、向上を図りつつ、投資を計画的に行い、固定負債(長期借入金の残高)を償還確実性が確保できる範囲とし、運営上、中・長期的に適正なものとなるよう努めること。
研究開発活動の信頼性の確保、科学技術の健全な発展等の観点から、研究不正など不適切事案に適切に対応するため、組織として研究不正等を事前に防止する取組を強化するとともに、管理責任を明確化するなど、コンプライアンス体制を強化すること等により、内部統制の一層の充実・強化を図る。
また、研究開発等に係る物品及び役務の調達に関する契約等に係る仕組みの改善を踏まえ、一般競争入札を原則としつつも、研究開発業務を考慮し、随意契約によることができる事由を規程等において明確化し、公正性・透明性を確保しつつ合理的な調達に努める等「「独立行政法人の業務の適正を確保するための体制等の整備」について」(平成26年11月28日総務省行政管理局長通知)に基づき業務方法書に定めた事項の運用を確実に図る。
更に、公正かつ透明な調達手続による適切で、迅速かつ効果的な調達を実現する観点から、法人が策定した「調達等合理化計画」に基づく取組を着実に実施する。
施設・設備整備については、センターの機能の維持、向上の他、費用対効果及び財務状況を総合的に勘案して計画的な整備に努めること。
医薬品や医療機器の実用化に向けた出口戦略機能の強化や、新たな視点や発想に基づく研究等の推進のため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構や諸外国を含めた他の施設との人事交流をこれまで以上に推進する。
また、 NC 間及びセンターと独立行政法人国立病院機構の間における看護師等の人事交流を更に進める。
センターと大学等との間でのクロスアポイントメント制度(センターと大学等のそれぞれと雇用契約関係を結ぶ等により、各機関の責任の下で業務を行うことができる制度)を導入すること。
なお、法人の人材確保・育成について、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20 年法律第63 号)第24 条に基づき策定された「人材活用等に関する方針」に基づいて取り組みを進める。
業務全般については、以下の取組を行うものとする。
独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)第35条の4第1項の規定に基づき、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが達成すべき業務運営に関する目標(以下「中長期目標」という。)を次のように定める。
令和3年2月26日
令和4年7月22日改正
令和6年2月27日改正
令和7年4月1日改正
厚生労働大臣 福岡資麿
研究開発法人は、健康・医療戦略推進法(平成26年法律第48号)に定める基本理念にのっとり、先端的、学際的又は総合的な研究、すなわち医療分野の研究開発及びその成果の普及並びに人材の育成に積極的に努めなければならないこととされている。国立高度専門医療研究センター(以下「NC」という。)は、国立研究開発法人として、前述の理念に基づき、研究開発等を推進していく。
また、厚生労働省が掲げる政策体系における基本目標(安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること)及び施策目標(国が医療政策として担うべき医療(政策医療)を推進すること)を踏まえ、NC においても、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療や高度かつ専門的な医療、すなわち政策医療を向上・均てん化させることとされている。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(以下「センター」という。)は、高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律(平成20年法律第93号)第3条第5項の規定に基づき、加齢に伴って生ずる心身の変化及びそれに起因する疾患であって高齢者が自立した日常生活を営むために特に治療を必要とするもの(以下「加齢に伴う疾患」という。)に係る医療に関し、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、加齢に伴う疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することとされている。また、通則法第2条第3項の規定に基づき、国立研究開発法人として、我が国における科学技術の水準の向上を通じた国民経済の健全な発展その他の公益に資するため研究開発の最大限の成果を確保することとされている。このうち、研究開発及び医療の提供については、
企業と協働して研究開発を進めている血液Aβバイオマーカーは、認知機能が正常な高齢者に生じた初期段階のアミロイド蓄積病変を正確に捉えていることや、アルツハイマー病リスク保有者の早期検出に有用であることが認められるなど、血液検査でアルツハイマー病変を高い精度で予測し得ることが明らかになった。また、センターが中核を担う認知症の時間軸を踏まえたコホート研究(オレンジレジストリ研究)、バイオバンクと連携させたアジア最大級の質の高い認知症ゲノム情報基盤構築を推進した。令和元年度に開始した多因子介入によるランダム化試験(J-MINT)では、大規模な臨床研究を全国規模で実施することにより、認知症に対する医療提供及び予防に貢献している。第2期中長期目標期間における成果を踏まえると、加齢に伴う疾患の本態解明と予防、高度かつ専門的な医療の開発、標準医療の確立と普及、政策提言など、加齢に伴う疾患克服のため、センターが果たしてきた役割は極めて大きい。
また、センターではロボットの実証研究を行い、医療・介護の現場や生活の場で活用する介護ロボットの開発・実用化を促進しているが、実際の適用に至る前の段階に止まっており、現場のニーズを踏まえつつ十分な実地検証を実施した上で社会実装を目指す他、フレイル(加齢や慢性疾患による生活機能低下)の予防及び介入などにより、要介護の大きな要因である運動器障害などの認知症の要因を減らすこと等、患者や社会のニーズ、医療上及び経済上のニーズをも十分に意識しつつ、先制医療や新たな医薬品や診断・治療方法の開発、医療機器の開発が推進される社会の実現に貢献することが期待される。これらの研究開発を支えるために必要な専門領域が多様化していることから、研究支援に係る専門性を有する人材の確保を図る必要がある。
加えて、ゲノム医療や医療情報基盤などNC及び国立健康危機管理研究機構(以下「NC等」という。)の分野横断的な領域については、NC等での相互連携が重要である。
世界に先駆けて少子・超高齢社会を迎え、人口構造や疾病構造が急激に変化しつつある我が国においては、健康長寿社会の実現が喫緊の課題となっている。
「健康・医療戦略」(令和2年3月27日閣議決定)においては、健康寿命を延伸し、平均寿命との差を短縮するためには生活習慣病、運動器系・感覚器系や、老化に伴う疾患、認知症などの精神・神経の疾患への対応が課題となる中、診断・治療に加えて予防の重要性が増すと同時に、罹患しても日常生活に出来るだけ制限を受けず、疾病と共生していくための取組が望まれているとされている。
また、国際連合では、2021年から2030年までの10年間を“Decade of Healthy Ageing(健康長寿のための10年間)”と定め、全世界的な健康寿命延伸に向けた取組の必要性を提言している。さらには、現在及び将来の我が国において社会課題となる疾患分野として、老年医学・認知症領域についてモデル生物を用いた老化制御メカニズム及び臓器連関による臓器・個体老化の基本メカニズム等の解明、認知症に関する薬剤治験対応コホート構築やゲノム情報等の集積及びこれらを活用したバイオマーカー研究や病態解明等、 認知症に関する非薬物療法の確立及び官民連携による認知症予防・進行抑制の基盤整備を推進することが示されたところである。
加えて、AI、ロボット、ビッグデータなどのデジタル技術とデータの利活用が、産業構造や経済社会システム全体に大きな影響を及ぼしつつあり、とりわけ、健康・医療分野は、これらの技術を活かし得る分野の一つとして、創薬等の研究開発の進展や、ゲノム解析などの技術を活用した新たなヘルスケアサービスの創出等が見込まれている。
「健康・医療戦略」(令和2年3月27日閣議決定)に即して策定された「医療分野研究開発推進計画」(令和2年3月27日健康・医療戦略推進本部決定)を踏まえ、ゲノム医療や個別化医療の実現、基礎研究から実用化までの一貫した研究開発に関して重点的に取り組むとともに、各研究開発の質の向上に努めるものとする。
また、「認知症施策推進基本計画」(令和6年12月3日閣議決定)等を踏まえ、認知症施策などの推進に努めるものとする。
センターの中長期目標の期間は、令和3年4月から令和9年3月までの6年間とする。
【重要度:高】担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進は、国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会を形成するために極めて重要であり、研究と臨床を一体的に推進できるNCの特長を活かすことにより、研究成果の実用化に大きく貢献することが求められているため。
【難易度:高】認知症を含めた加齢に伴う疾患に対する研究開発は、高齢者特有の脆弱性により他の疾患や機能障害を併発しやすいことや、治療法の有効性を評価するための、臨床的・疫学的ランダム化研究あるいはモデル動物による評価系の構築が困難であることなど、その先制医療や予防を実現するための研究開発において多様な課題を抱えているため。
上記1.及び2.の研究・開発により、医療推進に大きく貢献する研究成果を中長期目標期間中に19件以上あげること。また、中長期目標期間中の原著論文数については、1,700件以上とすること。
NC等間の疾患横断領域における連携推進
NC等の連携による新たなイノベーションの創出を目的として設置された国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)においては、NC等間の疾患横断領域を中心とした研究開発とそのための基盤整備、人材育成等に取り組むものとする。
具体的には、ゲノム医療、大規模医療情報の活用、コホート研究基盤の連携・活用、健康寿命延伸のための疾患横断的予防指針提言、実装科学推進のための基盤構築などについて、疾病の予防や共生にも留意しつつ、NC等がそれぞれの専門性を活かし、相乗効果を発揮できる研究領域における研究開発の推進等に取り組むものとする。
人材育成については、特に研究支援人材を育成するための体制を構築し、我が国の有為な人材の育成拠点となるようモデル的な研修及び講習の実施に努めること。この他、NC等の研究成果の発信やメディアセミナーの開催、知財の創出・管理の強化や企業との連携強化に取り組むものとする。
また、JH 内で適正なガバナンス体制を構築し、定期的に活動状況の評価を行うこと。
長寿医療に関する研究開発拠点としての開発力の強化、産学官連携による長寿工学研究の推進、高齢者のためのロボットの開発普及のための拠点の整備、バイオバンクを活用した認知症のゲノム医療推進基盤の充実、メディカルゲノムセンター(MGC)の機能の充実とバイオバンクの充実、介護予防・重症化防止のための研究開発、高齢者特有の疾患に対する効果的な治療・介護手法等、支える医療の確立、治験・臨床研究推進体制の強化、適正な研究活動の遵守のための措置、知的財産の管理強化及び活用推進、医療機器の開発の推進、国際連携の強化、診療ガイドラインの作成・普及により、研究・開発を推進する。
また、臨床研究及び治験を進めるため、症例の集約化を図るとともに、今後も、これらの資源を有効に活用しつつ、臨床研究の質の向上、研究者・専門家の育成・人材確保、臨床研究及び治験のための共通的な基盤の共用、研究不正・研究費不正使用等防止への対応、患者との連携及び国民への啓発活動等への取組など更なる機能の向上を図り、基礎研究成果を実用化につなぐ体制を強化する。
具体的には、センター内や産官学の連携の強化、治験・臨床研究の推進やゲノム医療の実現化に向けた基盤を充実させ、特に、ナショナルセンター・バイオバンクネットワークを最大限活用し、センターが担う疾患に関する難治性・希少性疾患の原因解明や創薬に資する治験・臨床研究を推進するために、詳細な臨床情報が付帯された良質な生体試料を収集・保存するとともに、NCをはじめとする研究機関等との間のデータシェアリングができる仕組みを強化するなどバイオバンク体制のより一層の充実を図る。更に外部の医療機関からも生体試料の収集を行う。加えて、ゲノム情報等を活用した個別化医療の確立に向けた研究を推進する。
また、運営費交付金を財源とした研究開発と同様に競争的研究資金を財源とする研究開発においてもセンターの取り組むべき研究課題として適切なものを実施する仕組みを強化する。
以上の実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備により、中長期目標期間中に、First in human(ヒトに初めて投与する)試験実施件数1件以上、医師主導治験実施件数6件以上、センターの研究開発に基づくものを含む先進医療承認件数1件以上及び学会等が作成する診療ガイドライン等への採用件数34件以上、臨床研究(倫理委員会にて承認された研究をいう。)実施件数1,200件以上、治験(製造販売後臨床試験も含む。)350件以上実施すること。また、共同研究の実施件数について中長期計画に具体的な目標を定めること。
また、研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図るため、必要に応じ、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)に基づく出資並びに人的及び技術的援助の手段を活用すること。
【重要度:高】実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備は、国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会を形成するために極めて重要であり、研究と臨床を一体的に推進できるNCの特長を活かすことにより、研究成果の実用化に大きく貢献することが求められているため。
病院の役割については、引き続き認知症疾患医療センター、在宅療養後方支援病院としての機能を果たした上で、都道府県が策定する地域医療構想等を踏まえた高度急性期機能等の医療機能を担うものとする。
【重要度:高】長寿医療に対する中核的な医療機関であり、研究開発成果の活用を前提として、医療の高度化・複雑化に対応した医療を実施することは、我が国の医療レベルの向上に繋がるため。
我が国における長寿医療の中核的な医療機関として、「認知症施策推進大綱」を踏まえ、国内外の研究施設及び医療機関等の知見を集約しつつ研究部門と密接な連携を図り、その研究成果を活用し、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供を引き続き推進する。
特に、超高齢化が進む今後を見通すと、認知症とフレイルが最も重要な病態であることから、それらに対する治療及び予防策の提供について重点的に推進する。
また、病院の医療の質や機能の向上を図る観点から、センターとして提供することを求められている医療のレベルに見合った臨床評価指標を策定し、医療の質の評価を実施し、その結果を情報発信すること。
医療の高度化・複雑化が進む中で、質が高く安全な医療を提供するため、各医療従事者が高い専門性を発揮しつつ、業務を分担しながら互いに連携することにより、患者の状態に応じた適切な医療を提供するなど、医師及びその他医療従事者等、それぞれの特性を生かした、多職種連携かつ診療科横断によるチーム医療を推進し、特定の職種への過度な負担を軽減するとともに、継続して質の高い医療の提供を行うこと。
また、これに加え、AIやICTを活用した医療の提供、NCをはじめとする研究機関及び医療機関間のデータシェアリングなどを通じて、個別化医療の確立等診療の質の向上に取り組むこと。
医療安全については、同規模・同機能の医療機関との間における医療安全相互チェックを行うこと、全職員を対象とした医療安全や感染対策のための研修会を開催し受講状況を確認すること、医療安全管理委員会を開催すること、インシデント及びアクシデントの情報共有等を行うことなど、医療事故防止、感染管理及び医療機器等の安全管理に努め、医療安全管理体制の充実を図ること。
認知症患者、家族を支援するための医療体制を構築するとともに、医療と介護の連携を推進すること。
高齢者の在宅療養生活を支援し、切れ目のない医療の提供を行うため、モデル的な在宅医療支援を提供すること。
患者に対する患者同意取得(インフォームドコンセント)等において、人生の最終段階におけるモデル的な医療の提供を行うこと。
「研究開発成果の最大化」と「適正、効果的かつ効率的な業務運営」との両立の実現に資するよう、手術件数・病床利用率・平均在院日数・入院実患者数等について、中長期計画等に適切な数値目標を設定すること。
上記数値目標の実績について、病院の担当疾患に係る割合を分析すること等により、国立研究開発法人の病院として適切かつ健全に運営を行うための病床規模等を検討すること。
上記(1)及び(2)により得られた知見等を基に、各地に設置される認知症初期集中支援チームに対する指導・研修・助言を通じ、認知症の人の早期受療に関する適切な介入を行うことにより受療行動の増加に努めること。
人材育成は、センターが医療政策を牽引する上で特に重要なものであることから、センターが国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、長寿医療及びその研究を推進するにあたりリーダーとして活躍できる人材の育成を行うとともに、モデル的な研修及び講習の実施及び普及に努めること。
具体的には、高度な医療技術を有する外国の医師が、その技術を日本の医師に対して教授するために来日するケースや、海外のトップクラスの研究者が、日本の研究者と共同して国際水準の臨床研究を実施するために来日するケースも想定されることから、国内外の有為な人材の育成拠点となるよう、センターが担う疾患に対する医療及び研究を推進するにあたり、リーダーとして活躍できる人材の育成を継続して実施する。
また、企業との連携調整や研究成果の活用促進等に取り組むリサーチ・アドミニストレーターなど、臨床と直結した研究の実施に必要となる支援人材の育成及び確保については、JHのほか大学などアカデミア機関や企業等とも連携し取り組む。
高度かつ専門的な医療技術に関する研修を実施するなど、モデル的な研修及び講習を実施し、普及に努める。その一環として、「認知症施策推進大綱」に基づき、認知症サポート医養成研修の修了者数について令和7年度末までに累計16,000人を目指すこと。
専門修練医用の研修プログラムの作成など専門修練医制度を整備する。
なお、研修等について、中長期計画等に適切な数値目標を設定すること。
研究、医療の均てん化及びNC 等の連携によるデータベースやレジストリ整備等に取り組む中で明らかになった課題や我が国の医療政策の展開等のうち、特に研究開発に係る分野について、患者を含めた国民の視点に立ち、科学的見地を踏まえ、センターとして提言書をとりまとめた上で国への専門的提言を行うこと。
医療の評価と質の向上、さらに効率的な医療の提供を実現するために、関係学会とも連携しつつ、ゲノム情報、診療データ、疾患レジストリ(登録システム)等を活用し、研究分野において指導力を発揮するとともに、センターが担う疾患にかかる中核的な医療機関間のネットワーク化を推進し、高度かつ専門的な医療の普及を図り、医療の標準化に努める。
情報発信にあたっては、関係学会等との連携を強化して、診療ガイドラインの作成・普及等に更に関与するものとし、国内外のセンターが担う疾患に関する知見を収集、整理及び評価し、科学的根拠に基づく予防、診断及び治療法等について、正しい情報が国民に利用されるようにホームページやSNS を活用するなどして、国民向け及び医療機関向けの情報提供の充実を図る。
なお、国民向け及び医療機関向けの情報提供の指標としてホームページアクセス件数について、中長期計画等に適切な数値目標を設定すること。
公衆衛生上重大な危害が発生し又は発生しようとしている場合には、国の要請に応じ、迅速かつ適切な対応を行うこと。
※上記の研究事業、臨床研究事業、診療事業、教育研修事業及び情報発信事業をそれぞれ一定の事業等のまとまりとする。
業務の質の向上及びガバナンスの強化を目指し、かつ、効率的な業務運営体制とするため、定期的に事務及び事業の評価を行い、役割分担の明確化及び職員の適正配置等を通じ、弾力的な組織の再編及び構築を行うこと。働き方改革への対応として、労働時間短縮に向けた取組やタスク・シフティング及びタスク・シェアリングを推進すること。
また、独立行政法人に関する制度の見直しの状況を踏まえ適切な取組を行うこと。
センターの効率的な運営を図るため、以下の取組を進めること。
これらの取組により、中長期目標期間中の累計した損益計算において、経常収支が100%以上となるよう経営改善に取り組む。
業務の効率化及び質の向上を目的とした電子化について費用対効果を勘案しつつ推進し、引き続き情報を経営分析等に活用するとともに、幅広いICT 需要に対応できるセンター内ネットワークの充実を図ること。政府が進める医療DX の各取組(電子処方箋の導入を含む。)に率先して取り組むなど、国の医療政策に貢献する取組を進めること。
「第4 業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項に配慮した中長期計画の予算を作成し、当該予算による運営を実施することにより、中長期目標の期間における期首に対する期末の財務内容の改善を図ること。
長寿医療に関する医療政策を牽引していく拠点としての役割を果たすため、引き続き運営費交付金以外の外部資金の積極的な導入に努めること。
具体的には、企業等との治験連携事務局の連携強化や、疾患レジストリ(登録システム)の充実により、治験・臨床研究体制を強化し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構等からの競争的資金や企業治験等の外部資金の獲得を更に進める。
センターの機能の維持、向上を図りつつ、投資を計画的に行い、固定負債(長期借入金の残高)を償還確実性が確保できる範囲とし、運営上、中・長期的に適正なものとなるよう努めること。
また、第4の1「効率的な業務運営に関する事項」に掲げる取組を着実に実施し、中長期目標期間中の累計した損益計算において経常収支率が100%以上となるよう経営改善に取り組み、中長期目標期間中に、繰越欠損金を第2期中長期目標期間の最終年度(令和2年度)比で3.2%削減するよう努める。なお、センターにおける繰越欠損金の発生要因等を分析し、可能な限り早期に繰越欠損金が解消されるよう、具体的な繰越欠損金解消計画を作成し、公表すること。
研究開発活動の信頼性の確保、科学技術の健全な発展等の観点から、引き続き研究不正など不適切事案に適切に対応するため、組織として研究不正等を事前に防止する取組を強化するとともに、管理責任を明確化するなど、コンプライアンス体制を強化すること等により、内部統制の一層の充実・強化を図る。
また、研究開発等に係る物品及び役務の調達に関する契約等に係る仕組みの改善を踏まえ、一般競争入札を原則としつつも、研究開発業務を考慮し、公正性・透明性を確保しつつ合理的な調達に努める等「「独立行政法人の業務の適正を確保するための体制等の整備」について」(平成26年11月28日総務省行政管理局長通知)に基づき業務方法書に定めた事項の運用を確実に図る。
更に、公正かつ透明な調達手続による適切で、迅速かつ効果的な調達を実現する観点から、法人が策定した「調達等合理化計画」に基づく取組を着実に実施する。
医薬品や医療機器の実用化に向けた出口戦略機能の強化や、新たな視点や発想に基づく研究等の推進のため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構や諸外国を含めた他の施設との人事交流をこれまで以上に推進する。
また、NC等間及びセンターと独立行政法人国立病院機構の間における看護師等の人事交流を引き続き進める。
なお、法人の人材確保・育成について、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第24条の規定に基づき作成された「人材活用等に関する方針」に基づいて取組を進める。
施設・設備整備については、センターの機能の維持、向上の他、費用対効果及び財務状況を総合的に勘案して計画的な整備に努めること。
政府の情報セキュリティ対策における方針(情報セキュリティ対策推進会議の決定等)を踏まえ、研修を行う等、適切な情報セキュリティ対策を推進する。
業務全般については、以下の取組を行うものとする。