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認知症はどう予防する?もの忘れと認知症を知ろう

認知症を疑ったら「もの忘れ外来」

 年をとるにつれて、「もの忘れ」が気になってきます。記憶力は年齢とともに低下します。「加齢現象だからしかたない」とあきらめる前に、脳の検査をきちんと受けることが大事です。
 「もの忘れ」と「認知症」の違いについて、次のコーナーで説明します。「もの忘れ」には、年齢相応の記憶力低下もありますが、アルツハイマー病の初期段階(軽度認知障害)が隠れていることもあります。安易に「年齢相応」と思い込まないことも大事です。
 「アルツハイマー病による軽度認知障害」には、「抗アミロイドβ抗体薬」(認知症の原因物質に作用する新しい薬)という治療法ができました。認知症が進行してしまうと、抗体薬治療の対象外となるため、早めの受診と医師へのご相談が大切です。
 認知症の症状が出る前に、ご家族の認知症を疑ったら、また、ご自分のもの忘れ症状が気になったら、「もの忘れ外来」の受診をおすすめします。

もの忘れと認知症の違い

1.ヒントで思い出せるかどうか

ポイント:思い出せないのではなく、記憶そのものが抜けている

もの忘れ

「あれ?あの人の名前が出てこない…」

→ヒント(顔・場面)で思い出せる
例:芸能人の名前が出てこないが、会話のヒントで「あ!思い出した」

認知症

  • ヒントがあっても思い出せない
  • そもそも「経験したこと自体」を忘れている

2.忘れる内容の違い

ポイント:「細部のこと」か「出来事そのもの」の違い

もの忘れ

  • 体験の一部を忘れる
    例:朝ごはんのメニューを忘れる
    「あれ、昨日の朝は何食べたかな?」
  • 約束の時間を忘れる
    「あ!約束があったけれど、うっかり忘れていた」

認知症

  • 体験そのものを忘れる
    例:朝ごはんを食べたこと自体を忘れる
    「朝ご飯はまだなの?」(朝食後、しばらくして家族に訴える)
  • 約束したこと自体を覚えていない

3.自覚があるかどうか

ポイント:本人より周囲が先に気づくことが多い

もの忘れ

  • 「最近よく忘れるなあ」と自覚がある
  • 気にしてメモを取るなど対策できる

認知症

  • 自覚が乏しいことが多い
  • 周囲が気づいて指摘することが多い

4.日常生活への影響

ポイント:生活に支障があるかどうか

もの忘れ

  • 生活に大きな支障はない
  • 忘れても後で対処できる

認知症

生活に支障が出る

  • 何度も同じ買い物をする
  • 料理の手順が分からなくなる
  • お金の管理ができない

5.進み方

ポイント:進行性かどうか

もの忘れ

  • 大きく悪化しない
  • 日によって調子の波がある

認知症

  • 徐々に進行する
  • 時間の経過とともにできないことが増える

認知症はどう予防する?

 「認知症のリスクを減らそう!」という内容の論文が、海外の科学雑誌から出版されています(下図)。この論文では、認知症のリスクとなる項目を以下のようにまとめています。これらの項目に対処することで、認知症のリスクを軽減できます。2024年版の最新論文では、「脂質異常症」(血液中のコレステロールや中性脂肪のバランスが乱れた状態)と「視力障害」が新しい危険因子として追加されました。

【若年期】教育不足5%【中年期】難聴7%、脂質異常症7%、うつ3%、外傷性脳損傷3%、身体不活動2%、糖尿病2%、喫煙2%、高血圧2%、肥満1%、飲酒過多1%【高齢期(65歳以上)】社会的孤立5%、大気汚染3%、視力障害2% Livingston G,et al. Lancet.2024;404:572-628.

図:認知症の修正可能な危険因子

この論文で示された認知症予防のための推奨項目をまとめました。

1

中年期の認知活動を維持する。

2

騒音を避け、難聴になれば補聴器を装用する。

3

うつ病を治療する。
4 格闘技や自転車の利用時にヘルメットを装用する。
5 運動習慣を維持する。
6 禁煙する。
7 40歳以降の降圧管理(収縮期血圧130mmHg以下)。
8

中年期の脂質異常症を治療する。

9

体重を適正に維持し、肥満を治療して糖尿病を予防する。

10

節酒に努める。

11

高齢者の特性を考慮した環境を整え、社会的孤立を避ける。

12

視力検査を受けて、治療につなげる。

13

大気汚染への暴露を避ける。

表:認知症リスクへの推奨事項

難聴と視力障害が両方ある高齢者は認知症リスクが上昇します。

 難聴や視力障害は対策可能な認知症リスクです。聞こえが悪い方、視力が弱くなった方も、補聴器の導入や白内障の手術によって認知症リスクを軽減できる可能性もあります。
 「視えにくい」「聞こえにくい」が気になる高齢者の認知機能にも注意が必要です。当センターでは、もの忘れセンターと感覚器センターが協力して患者さんの診療にあたっていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

 加齢に伴うもの忘れは誰にでも起こりますが、今は治療法も出てきました。「年のせい」と思い込まず、気になる症状があれば早めに「もの忘れ外来」で相談することが大切です。早期に気づき、適切に対応することで、もの忘れの進行をゆるやかにしたり、生活の質を保つことにつながります。
 また、認知症は予防やリスク低減も可能です。運動や生活習慣の改善に加え、難聴や視力低下への対策、社会とのつながりを保つことも重要です。

日々の小さな変化に目を向けながら、無理のない範囲でできることから取り組んでいきましょう。気になる変化があれば、早めに専門外来へご相談ください。