―「認知症サポート医」と「初期集中支援チーム」があなたの暮らしを支えます―
その「変化」を一人で抱えていませんか?
「最近、同じことを何度も聞くようになった」「慣れた道で迷うことがある」「以前より怒りっぽくなった……」。ご家族やご自身にこのような変化を感じたとき、多くの方は「年のせいだろう」と自分を納得させようとするか、あるいは「認知症だったらどうしよう」という強い不安から、相談を先延ばしにしてしまいがちです。
認知症は、早期に正しい診断を受け、適切な対応を始めることで、進行を緩やかにできる場合があり、住み慣れた地域で穏やかに暮らし続けたりすることが可能です。しかし、「何科に行けばいいのか」「本人が受診を嫌がったらどうすればいいのか」という高いハードルがあるのも事実です。
そこで、地域の中で皆さんの心強い味方となる、「認知症サポート医」と「認知症初期集中支援チーム」という2つの専門的な仕組みについて解説いたします。
認知症の診断やケアには、医学的な専門知識だけでなく、地域の介護・福祉制度との深い連携が欠かせません。その核となる存在が「認知症サポート医」です。
厚生労働省の認知症施策に基づき専門研修(国立長寿医療研究センター等が実施)を修了し、認知症診療に習熟した医師のことです。よく耳にする「認知症サポーター(養成講座を受けたボランティア)」とは異なり、医師の資格を有しております。

1.認知症サポート医の役割
サポート医は、認知症に関する深い知識を持っているだけでなく、初期段階から適切な医療・介護機関とつなげる力を持っています。患者さんご本人だけでなく、ご家族も安心して相談できる体制を整えているのが特徴です。 ※各自治体のホームページや地域包括支援センターで、名簿を公表している場合があります。
一方、「本人が頑なに受診を拒否している」「介護サービスを使い始めたいが、どうすればいいか分からない」といった、受診前や診断直後の混乱期に最も頼りになるのが、市町村が運営する「認知症初期集中支援チーム」です。

2.認知症初期集中支援チームの活動
このチームは、前述の「認知症サポート医」を含んで、保健師、看護師、社会福祉士、作業療法士などの多職種で構成される、いわば「認知症対応の多職種で構成される専門チーム」です。 主な役割は、自宅を訪問しての評価(アセスメント)、ご本人の思いや状況を尊重しながら適切な医療機関への受診を勧めること、介護保険サービスの手配、そしてご家族への支援です。
原則として40歳以上の方を対象としています。また、自宅で生活しており、以下のいずれかに該当する方々です。
最大の特徴は、「原則としておおむね6ヶ月以内」という期限を設けて集中的に支援を行う点にあります。 専門職が直接家庭を訪問して状況を安定させ、適切な医療や介護につなげた後は、地域のケアマネジャーなどへバトンタッチします。この「初期の集中的な関わり」が、その後の長期的な生活の安定を形作るのです。
「サポート医に相談したい」「支援チームに来てほしい」と思われたら、まずはお住まいの市区町村の「地域包括支援センター」へお電話ください。ここがすべての専門チームにつながる玄関口です。
「まだ認知症と決まったわけではないし……」と躊躇する必要はありません。むしろ、「ちょっとした違和感」がある時こそが、相談のベストタイミングです。
私たち国立長寿医療研究センターの長寿医療研修センターでは、サポート医や支援チームが常に最新の知見を持って皆さまを支えられるよう、日夜研修や体制づくりに励んでいます。 認知症は、周囲の正しい理解と適切な支援があれば、決して恐れる病気ではありません。一人で悩まず、地域の専門家ネットワークを「頼れる相談役」として、ぜひ活用してください。