下肢静脈瘤は10人に1人はかかるともいわれており、非常に多くみられる病気です。これまで気にはなりながらも病院にかかっていない方も多いと思います。さて、放っておいても大丈夫なのでしょうか?
静脈瘤は皮膚に細い筋が入ったような小さなものから、ボコボコが大きく目立つものまであります。まず細い筋のようなものは特に治療の必要はありません。美容的に気になるようであれば硬化療法は可能ですが、治療しなくても特に問題ありません。
大きなものはどうでしょうか。大きな静脈瘤は通常静脈の逆流によって起こります。血液を足の先から心臓へ戻すことが静脈の役割ですが、特定の静脈(多くは大伏在静脈)が逆方向に流れてしまうのです。血液が逆流して足に溜まってしまうので、静脈瘤が膨らむ以外に、足がだるい、重いという症状がよくみられます。また夜に寝ている時に足がつりやすくなります。皮膚にも影響が及び皮膚の色が茶色くなったり、固くなったり、湿疹ができてかゆくなったりすることもあります。
一方、静脈瘤はそれ自体命にかかわるような重大な病気ではありません。放っておいても基本的には命の心配はないといえます。なかには頭に血栓が飛ぶのではと心配される方もありますが、そのようなこともありません。
現在静脈瘤の治療は原因となっている静脈をカテーテルで焼いたり、接着剤を注入して、静脈を閉塞させる治療が中心となっています。日帰りや1泊の入院で治療できるようになりました。
静脈瘤が大きい場合、足のだるさなどの症状が強い場合、皮膚の症状が出てきた場合に手術をお勧めしています。
血管外科 藤城健