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蜂窩織炎(ほうかしきえん)って何? 急にふくらはぎが腫れて痛くて歩きにくいです!

蜂窩織炎(ほうかしきえん)って聞いたことがありますか?

皮膚は体を護る人体最大の臓器です。皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織と呼ばれる層を形成しています。中でも皮下組織は脂肪を多く含むため保温やクッションの機能などの重要な役割をしています。今回は皮下脂肪組織の炎症である蜂窩織炎(ほうかしきえん)についてQ and A形式で解説してみます。

Q:蜂窩織炎って何ですか?

A:皮下脂肪組織へ侵入した細菌による感染症です。連鎖球菌やブドウ球菌というよくある細菌が傷や水虫の部位から侵入しておこるとされますが、経緯が不明なこともあります。感染症ではありますが、他のヒトに感染することはありません。通常、痛み、熱感を伴います。

Q:どうして「蜂」という文字なのでしょうか?

A:図に示すように皮膚の脂肪組織は蜂の巣のように見えるからです。蜂巣炎(ほうそうえん)とも呼ばれます。

Q:ふくらはぎが赤くて腫れています。熱もあります。蜂窩織炎ですか?

A:この症状だけで判断してみると8割ぐらいの確率で蜂窩織炎です。しかし、別の病気である結節性紅斑、うっ滞性脂肪織炎、深部静脈血栓症、硬結性紅斑、IgA血管炎、重度の虫刺され、壊死性筋膜炎、丹毒、マムシ咬傷、特殊なリンパ腫でも上記の症状になることがあり、それぞれ治療が大きく異なります。また、下肢以外にできることもあります。自分で判断せず皮膚科等の医療機関を受診してください。

Q:蜂窩織炎は薬だけで治りますか?

A:抗菌薬を主体とした薬物治療が基本ですが、局所管理として下肢の高挙(下肢を心臓より高くする)や局所の安静、うっ滞の緩和なども重要です。時に切開排膿や潰瘍に対する局所の治療が必要になります。重症度はピンからキリまでなので、医師の指示にしたがってください。

Q:蜂窩織炎では画像診断(レントゲンやCTなど)が必要ですか?

A:状況によって必要なことがあります。皮下脂肪組織や状況、膿瘍やガスの有無、骨や筋肉への波及、異物や人工関節などとの関係の把握などの目的で単純X線、CT、MRI等の画像診断が必要なことがしばしばあります。

Q:蜂窩織炎で痛みがありますが、歩けなくなるといけないので頑張って歩いたほうがよいのでしょうか?

A:蜂窩織炎は急性の炎症なので、メリハリをつけた対応が望ましいです。炎症が強い急性期では病気の部位を安静にしたほうが、経過がよく、結局のところ歩行機能を維持できます。いっぽうで、炎症が改善した時期からは少し腫れがあっても積極的に歩いたほうがよいと思います。

Q:蜂窩織炎になって抗菌薬治療も終了したのですが、ふくらはぎの腫れが続いています。

A:高齢の患者さんでは、よくあることです。いったんふくらんで変形してしまった組織が本当に元通りの形に戻るには時間がかかります。局所の高挙を継続してください。

Q:蜂窩織炎かと思って受診したら重症の壊死性軟部組織感染症で生命の危険性があるといわれました。

A:壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)という蜂窩織炎に似ているが、違った感染症があります。これは皮下組織の脂肪組織や筋膜が細菌感染によってあっという間に壊死してしまう重症感染症です。速やかで適切な抗菌薬治療、外科的手術、ショックや出血傾向に対する治療が必要となります。高齢者にもしばしば発症するため、当院でも多く診療しています。早期診断と治療が重要です。

Q:蜂窩織炎だと思って受診したら、丹毒(たんどく)と診断され、尿検査をするように言われました。どのようなことでしょうか?

A:図に示すように丹毒(たんどく)は蜂窩織炎よりも浅めの真皮という部位におきる感染症です。蜂窩織炎とよく似ていますが、原因として連鎖球菌が多いこと、時に腎炎を併発することが知られています。そのため、尿検査が必要となります。

Q:蜂窩織炎の予防のためにできることはありますか?

A:当院では以下の3つをお話しています。下肢の浮腫を軽減する。足の水虫をきちんと治療する。キズを適切に早く治す。それでも再発することがありますが、それはその時と割り切って治療しましょう。