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頭痛の原因は?

頭痛はもっともよく見られる症状の一つで、頭痛の患者数は日本で4,000万人とも言われています。その原因はさまざまで、自然におさまる軽症のものから、中には命にかかわる病気が隠れていることもあります。頭痛について、正しい知識を持つことが大切です。頭痛の原因を、発生する場所別にみていきましょう。

A. 頭の「外」が原因の頭痛

頭痛の画像

頭蓋骨の外側に原因がある頭痛です。過度に恐れる必要はありませんが、中には慢性化したり、稀に重症化するものもあるので、症状が強くて悪化するものには注意が必要です。

  1. 緊張性頭痛
    肩こりのある中高年の方に起こりやすい頭痛です。肩や首回りの筋肉の緊張が高まり、血流障害や神経痛を起こすことが原因と考えられています。典型的には、後頭部の締め付けられるような頭痛が起こり、めまい、吐き気、手のしびれなどを伴うこともあります。精神的なストレスや、天気などの環境要因も、頭痛悪化の原因になります。体操やマッサージなどで筋肉をほぐすと症状の改善することが多く、鎮痛剤も比較的効きやすい頭痛です。
      
  2. 副鼻腔炎
    額や頬の奥には、鼻とつながっている副鼻腔という空間があります。副鼻腔に炎症が起こると、汚い鼻水や膿が溜まった状態になり、副鼻腔炎や蓄膿症とも呼ばれます。ごく軽度の炎症は、多くの人に見られほとんど無症状ですが、高度の炎症になると、鼻閉感、鼻汁、発熱、頭痛が起こります。特に額の奥の副鼻腔炎では、前頭部の頭痛の原因になり、ごく稀ですが、悪化すると炎症が頭蓋骨を溶かして脳へ及ぶことがあります。治療は、耳鼻科での洗浄や抗生剤の投与になります。
     
  3. 緑内障
    眼球内の圧力が上昇するために起こる病気で、40歳以上の中高年の人に多く、眼科で治療する病気です。軽いうちは無症状ですが、進行すると、視野の異常や、目の奥の頭痛をきたします。ごく稀ですが、緑内障の発作で失明することがあり、注意が必要です。治療は、点眼薬や眼圧降下剤の点滴を行います。
     
  4. 帯状疱疹
    帯状疱疹ウイルスの感染による病気です。水ぼうそうの原因ウイルスですが、子どもの時に感染したあと、体の神経の中に潜んでいたウイルスが再び活性化して、帯状疱疹が起こります。体が弱って免疫力が低下している時にウイルスが活性化しやすいため、中高年の人によく起こります。頭の皮膚に発症した場合は強い頭痛の原因になりますが、必ず発疹(皮膚のブツブツ)を伴い、片側性(左右どちらかにしか出ない)であることから、他の頭痛と見分けがつきます。治療は、抗ウイルス薬や、鎮痛剤を使用します。
     
  5. その他
    中耳炎、側頭動脈炎、なども頭痛の原因として考えられます。
     

 

B. 頭の「内」が原因の頭痛

頭蓋骨の内側には脳があるので、ここに原因のある頭痛は、命に危険の及ぶものもあります。特徴を覚えておくことで、早めの受診や治療につなげることができます。

  1. 偏頭痛
    若い人に多く見られる頭痛で、女性に多い傾向があります。拍動性の強い頭痛の前に、閃輝暗点(目がチカチカして見づらくなる症状)や吐き気など、前兆の出現することが特徴です。強い頭痛は片側だけに起こり、通常は2−3時間でおさまります。不規則な生活やカフェインの摂取などで、頭痛の誘発されることがあります。一般的な市販鎮痛剤は効かないことが多く、治療にはトリプタン系薬剤を使用します。発作予防のためにはβ遮断剤、抗うつ剤、抗てんかん剤などが使用されます。
     
  2. くも膜下出血
    脳動脈瘤の破裂によって起こる出血で、脳の表面が血だらけになります。経験したことのないような激しい頭痛が突然起こり、意識を失ったり吐いたりすることもあります。中高年に多く、発生率は年間10万人あたり20人くらいと低いですが、死亡率が50%近くと高いため重要な病気です。適切に病院を受診または搬送されたかどうかが生死を分けます。治療は脳神経外科で、動脈瘤のクリッピング術またはコイル塞栓術を行います。
     
  3. 脳腫瘍
    さまざまな脳腫瘍があり、すべての脳腫瘍で頭痛が起こるわけではありませんが、大きな脳腫瘍や、悪性度の高い脳腫瘍では頭痛が多くみられます。脳腫瘍の発生率も、くも膜下出血と同程度の年間10万人あたり20人くらいで、稀な病気です。小児から高齢者まで、どの年代でも発生します。進行性に悪化する頭痛や、麻痺や言語障害などの症状を伴う頭痛では、脳腫瘍を疑います。治療は脳神経外科で、手術摘出または生検術を行い、悪性のものは放射線治療や化学療法を追加します。
     
  4. 髄膜炎
    脳を囲んでいる髄膜や髄液の炎症で起こる病気です。細菌やウイルスの感染で起こることが多く、未治療だと10−50%くらいの死亡率ですが、抗生剤などの治療が発達したため、多くの方が治ります。乳幼児を含む若い人に比較的多いですが、高齢者にも発生します。強い頭痛の他に、39度以上の高熱、嘔吐、けいれん、意識障害などの症状がみられます。髄液検査をした上で、抗菌薬や抗ウイルス薬で治療します。
     
  5. その他
    群発頭痛、脳動脈解離、硬膜下血腫、脳内血腫、脳炎などもここに含まれます。
     

Cおわりに

頭痛にはさまざまな種類がありますが、外来診療でもっとも多く目にするものは緊張性頭痛です。片頭痛と思っていても、実は緊張性頭痛だったという人は多いです。また、逆に緊張性頭痛と思っていて実は片頭痛だったこともあるので、長引く頭痛の場合は、一度専門の医師の診察を受けた方がよいでしょう。頭痛のほとんどは良性ですが、中には命にかかわる悪性の病気も隠れていることがあります。代表的な「こわい頭痛」には、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎があります。進行性に悪化する頭痛、突然の強い頭痛、神経症状(片側の手足の動きが悪い、けいれん、意識障害など)を伴う頭痛、発熱や嘔吐のある頭痛の場合は、悪性の「こわい頭痛」を疑い、急いで病院を受診するようにしてください。

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