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“あれっ?なんか腰が痛いな・・・” いつの間にか骨折、その原因は?

次のような症状に心当たりはありませんか?

歳をとると自分の姿を鏡でじっくり見る機会も減ってくるとは思います。腰に痛みや違和感を感じたら、一度鏡で自分を見てみてください。転んだり、けがをしたわけでもないのに腰の異常を感じたら、それは「いつの間にか骨折」かもしれません。年齢とともに骨や筋肉は弱くなり、骨粗鬆症やサルコペニアといった病気になることがあり、ふつうに生活しているだけで骨折することがあるのです。しかしこれは、何もしてないのに骨が折れた、のではなく何もしないから骨が折れたのかもしれません。そうならないために、骨と筋肉の知識を身につけて早めに対処することで予防ができます。

骨がスカスカ、骨粗鬆症

高齢になると特に女性では骨密度が低下して、いわゆる「骨がスカスカ」の状態になることがあります。この骨粗鬆症は閉経後に女性ホルモンが減少したり、また体でカルシウムの吸収が悪くなることで起こり、骨密度が若年者の80%を下回ると骨量減少で要注意、70%を下回るといつ「いつの間にか骨折」を起こしてもおかしくない状態で直ちに治療が必要になります。加齢だけでなく、運動不足、日光不足、喫煙なども原因になります。天気のいい日は外で運動するのが一番です。

筋肉がタラタラ、サルコペニア

「いつの間にか」骨が折れてしまうのは骨密度が低い場合だけとは限りません。骨を支えるのは筋肉ですから、筋肉が衰えると骨に対する負担も増えてしまいます。この筋肉は年齢とともに減少することが知られており、サルコペニアと言われ高齢者の4人に1人は筋肉が足りていません。この筋肉を増やすお薬は今のところないため、自分で運動して増やさなければどんどん減っていってしまいます。若い時期から運動習慣を身につけ、「貯筋」をつくっておくことが大切です。

背骨が折れないためには

このように骨と筋肉が重要ですが、低下した骨密度は薬である程度改善させることができます。骨密度を測定して治療が必要な場合は、薬を服用したり注射で治療したりします。現在多くの薬があり、骨が壊れるのを防ぐ薬、新たに骨を作る薬など患者さんの状態に合ったものを使用しますが、この骨粗鬆症は骨が折れない限り痛みもなく、治療効果もすぐには現れないので、1-2年もすると半数の方が治療をやめてしまいます。しかし、骨折治療をした後の治りやすさも骨粗鬆症治療していた患者さんの方がよいというデータも出ていますので、骨折をしないため、また骨折後のことも考えてしっかり治療することが大切です。

背骨が折れたらどうする?―骨折の連鎖を防ぐためにー

とはいっても期せずして「いつの間にか骨折」を起こしてしまうこともあります。その場合一番大切なのは、早く治療することです。おそらく最初は図1.のようにあるかないか分からない程度の骨折で、痛みも強くなく歩くこともできるでしょう。この時点でコルセットを作成して1週間ほど安静にしておけば95%は手術せずに治ります。しかし1ヶ月も放置すれば図2.にように完全に背骨が潰れてしまうことがあり、手術する羽目になります。手術は神経に影響がなければ図3.のように比較的簡単な手術(経皮的椎体形成術;BKP)で済みますが、神経まで障害されると図4.のように大がかりな固定術が必要となります。しかも厄介なことに、一度背骨を折ると、何度も折ってしまい、そのうち「腰曲がり」になってしまうことも少なくありません。当センターでは、背骨の骨折は原則入院とし、直ちにコルセットを作成し、完成するまで約1週間ベッドで安静にしていただきます。入院中は骨折を治すことと、次の骨折を起こさないために必要な治療も同時に考えていきます。

図1. 第一腰椎圧迫骨折(矢印)初期のレントゲン

図2. 圧潰してしまった第一腰椎圧迫骨折(矢印)

 

図3. 神経に影響のない骨折に対する経皮的椎体形成術(BKP)

図4. 骨折と圧潰を繰り返し、変形してしまった腰椎に対して行った固定手術

 

背骨が折れても歩けるようになります!

背骨が折れたら寝たきり、人生終わりだ、などと言われていたのは昔の話です。当センターでは背骨が折れても入院治療することで9割以上の患者さんが歩いて帰っています。1000人以上の治療した患者さんの解析で、残念ながら歩けなくなってしまった方は、もともと歩行が不安定で杖や介助が必要であった方やサルコペニアの患者さんでした。歩行に介助が必要な方は骨折後に歩けなくなる恐れがありますので、より早めの受診と治療をお勧めいたします。

いかがでしょうか?「腰の骨が折れる」と聞くと重症で寝たきりになるのではと心配になりますよね。早期に発見して適切な治療とその後の予防を行うことで、ほとんどの方が歩いて生活できるようになります。当センターでは、この骨粗鬆症性椎体骨折の治療は原則入院で行っています。なるべく自宅での生活に不安がなくなるまで、リハビリを行いながら入院で対応できるよう整形外科以外にも回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟などをセンター内に備えていますので、安心して治療ができます。気になる症状がある方やお悩みの方は、まず整形外科を受診して、適切な治療を受けてください。

国立長寿医療研究センター 整形外科