歯科口腔先進医療開発センター

再生歯科医療研究部

歯髄再生治療法とは

ヒト歯髄幹細胞を用いた新しい歯の神経再生治療法です。

    歯髄再生治療法とは、自分の要らない歯の神経(歯髄)から幹細胞を取り、神経をとった歯に移植して、元通りの歯髄に回復させる治療法です。

    虫歯が深く、神経(歯髄といいます)にまで達して痛みが強く出てしまうと、「不可逆性歯髄炎ふかぎゃくせいしずいえん」といわれ、今までの治療法では神経を抜かざるを得ません。しかしながら、一旦神経を抜く(抜髄 ばつずいといいます)と、元通りに歯髄を回復させることは期待できません。

    神経を抜いた後は、人工物(ゴムのようなもの)を根の中に詰めます。(これを根管治療といいます)
そのため、月日が経つにつれて、しだいに詰め物との間に隙間ができ、お口の中から根の中にバイ菌が侵入して腐って根の下に膿がたまる病気( 根尖性歯周炎 こんせんせいししゅうえんといいます)になり、再度根の治療を行う必要が生じることも少なくありません(10〜20%)。

治療法

治療法

    歯の中にある歯髄組織の中には、血管と神経を作るのに有利な幹細胞が特に多く含まれています。歯髄幹細胞は噛みあわせに関係していない不用の歯(親知らずなど)から取り出し増やすことができます。
この歯髄幹細胞を神経を抜いた後の根の中に移植します。すると血管や神経を含む歯髄が数ヶ月で再生されます(動物実験にて確認)。


利点・欠点

    利点として、歯が折れることや根の下が腐ることを防いだり、抜歯しなくても済むようになる可能性があり、歯が長持ちします。
    欠点としては、歯髄幹細胞を取るために親知らずなどの不用歯が必要であること、細胞を増やすために自分自身の血清が必要なことがあげられます。



従来の根管治療と新しい歯髄再生治療法との違い

従来の根管治療法
歯の神経が無くなるため、歯に何らかの異変があっても気がつかない。
再治療になった場合、良くなる可能性は50%?70%と低い。
予後が悪かった場合、結果として抜歯や歯が折れたりする可能性が高い。
歯の神経が無くなると、歯の色が変色し見た目が悪くなる。
従来の根管治療法

歯が変色しているのが見てわかります。
神経が無いので異変に気づかず、結果として虫歯が大きくなって根の下に膿がたまったり、歯が折れたりする可能性が高くなります。

新しい歯髄再生治療法
歯の神経が再生するので、歯が長持ちし、歯に何らかの異変があれば気がつきやすい。
歯が折れたり、根の下が腐ることを防ぎ、抜歯しなくても済む可能性が高くなる。
歯を健康に長く維持できることは、全身の健康や認知症の予防に大きく関係していることが明らかになってきている。
歯髄幹細胞を取るための、親知らずなどの不用歯が必要。
細胞を増やすために、自分自身の血清が必要。
新しい歯髄再生治療法

神経が再生した歯は変色しにくく、健康で長持ちできます。

当研究部では、歯髄を再生する臨床研究のための患者さんを募集しています。

※臨床研究とは

    患者さんにご協力いただき、新しい治療法の開発、病気の解明、病気の予防、診断や治療の改善、患者
    さんの生活向上などのために行う医学研究のことです。
    詳しくはこちらの「臨床研究とは」をご覧ください。

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