設立趣旨
背景と課題認識
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世界最速で進む高齢化と社会の課題
我が国は世界最速の速度で高齢化が進行し、65歳以上の人口はすでに全人口の3割近くに達しています。2040年には団塊ジュニア世代が65歳を超え、要支援・要介護者が急増すると予測されています。高齢化に伴い、認知症、サルコペニア、フレイルなどの加齢関連疾患が生活の質(QOL)を著しく損なうだけでなく、医療・介護制度の持続可能性に対する深刻な脅威となりつつあります。
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デジタル技術がもたらす新たな可能性
一方で、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、AI、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)等のデジタル技術は急速に進化しており、高齢者の健康維持・予防介入・生活支援に対する新たなアプローチを可能とする段階にあります。世界では、北欧諸国を中心にEHR(Electronic Health Record:電子健康記録)とPHRの連携を通じた包括的な高齢者支援プラットフォームが発展しており、医療・介護・研究・地域社会の連携が深化しています。
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世界初のガイドラインと今後の展望
2025年には、日本医療研究開発機構(AMED)の支援により、『サルコペニア・フレイルの予防・改善に関するデジタルヘルスのためのガイドライン』が刊行しました。デジタルテクノロジーの活用を含めたガイドラインの作成は世界初の試みであり、現状のデジタルヘルスによる高齢者の健康対策を把握するとともに、さらなるエビデンス構築と社会実装に向けた取り組みの必要性が浮き彫りになりました。
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コンソーシアム設立の意義
国立長寿医療研究センター(以下、NCGG)はこれまで公益財団法人長寿科学振興財団の支援を受けて行ってきた高齢者のデジタルディバイド解消のための高齢社会課題解決研究および社会実装活動を礎に、超高齢社会の健康課題をデジタルヘルスにより解決するための社会連携型基盤として、「健康長寿のためのデジタルヘルスコンソーシアム」を設立する運びとなりました。
本コンソーシアムは、高齢者医療と研究の第一人者が集うアカデミアと日本のデジタル産業を牽引する企業、社会実証フィールドとしての協力自治体、成果を社会実装するための官庁とで構成し、日本のデジタルヘルスを牽引することを目標とします。
