高齢者の交通事故は予防できるのか?
現在までの日本国内での検証
では、高齢者に安全運転教育を行っていくことで、交通事故を予防することはできるのでしょうか。
この疑問は、日本国内で検討されておりませんでした。そこで、国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部では、安全運転プログラムを開発し、そのプログラムが安全運転技能を向上できるのかどうかを検討しました。
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高齢者の運転技能は改善するのか?
国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部では、MCI(軽度認知障害)*の高齢者を対象に、開発したプログラムを実施すると安全運転技能が改善するのかを検討しました。
その結果、3か月間、合計20回の開発したプログラム(実車トレーニング10回、ドライブシミュレーターとビジョントレーニング10回)により、安全運転技能が大きく向上し、その効果は1年経過しても保持出来ておりました。さらに、社会実装できるように、回数を減らして検証を行ったところ、5回や3回の実車トレーニングでも同様に安全運転技能が改善しました。
つまり、高齢者は安全運転技能を改善できる能力を有していることが明らかになりました。
*MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害):認知症ではありませんが、認知機能が年代別平均値から一定以上低下した状態と定義され、日常生活は自立している状態をさします。
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今後の予定
現在までのところ、安全運転技能はトレーニングにより改善できることは明らかになりましたので、今後、その効果が一般道路で遵守され、交通事故の抑制に繋がるかどうかを検証していく必要があります。また、本プロジェクトを通して、トレーニングすべき高齢者を抽出するためのスクリーニングツールの開発や、軽度認知障害を有する高齢者の運転特性の解明といった新たな課題がみつかりましたので、コンソーシアムで検討していきたいと考えております。
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①プログラムの実施による自動車事故
発生の抑制 |
②スクリーニングツール(機械)の開発 |
③MCI高齢者の運転特性 |
参考文献:Shimada H, et al. Effects of Driving Skill Training on Safe Driving in Older Adults with Mild Cognitive Impairment. Gerontology, 65(1): 90-97, 2019.