この研究は、国立長寿医療研究センターバイオバンクから分譲を受けた試料・情報を用いて解析を行うものです。この研究に関するお問い合わせなどがございましたら、下記の「6.この研究に関するお問い合わせ先」までご連絡いただけますようお願い致します。
ヒト形質関連遺伝因子に関する研究（倫理・利益相反委員会受付番号SGHIRB#2018064）
この研究課題については、静岡県立総合病院倫理・利益相反委員会による倫理審査を経て、静岡県立総合病院 院長の実施許可を受けております。
2000年代に登場した一塩基多型(SNP)を対象とした全ゲノム関連解析(GWAS)は、急速な拡大を見せ、今やほとんどの形質について規模の大小はあれ、GWASが行われています。それによって得られた知見により、一般集団が持つありふれた多型(common variant)で遺伝的因子が形質に及ぼす影響のかなりの部分が説明可能であることが分かってきています。次世代シーケンサーの登場により、さらに細かな情報が得られるようになり、ヒトの移動の少ない地域に受け継がれた稀な多型によって新たな形質の制御メカニズムが同定されています。さらに遺伝子領域の区域化や塩基のメチル化やアセチル化,GWAS probeのシグナル強度から推定される体細胞変異と言った情報によって、生まれながらの配列以上の情報をDNA検体から引き出せるようになってきています。また、一部の多型は診療科領域を超えて様々な形質に関わっていることが明らかとなってきており、このような解析には、同一のDNA検体に多数の形質の情報が結びついている必要があります。このように、遺伝子に関わる情報と形質の情報を対応させる研究は今後世界でますます活発になると考えられます。
本研究では、生活習慣病を含むヒト形質における遺伝因子を同定することを目的として、ゲノムワイド関連解析による一塩基多型の情報、塩基配列決定法(シーケンシング)による稀な変異や構造多型、塩基修飾の情報と言った情報を同一検体に層の厚い遺伝的情報として付与し、そこに電子カルテから抽出するなどして得られた幅広い形質を臨床情報として付与することによって、網羅的な形質の網羅的な遺伝的関連解析を行います。その際、本バイオバンクより提供された遺伝子解析情報および診療情報を対照として使用した解析を進めます。得られた結果によって、形質に関わる遺伝因子の同定、形質を制御する分子機構の解明、疾患ハイリスク群の抽出や疾患予後の予測、薬剤応答性の予測などを行うことを目的としています。
提供いただいたゲノム情報および臨床情報等を用いて生活習慣病を含む形質についてゲノムワイド関連解析などの遺伝統計学的解析を実施します。ゲノム解析結果と臨床情報とを関連付け、表現型や疾患と関連する遺伝多型や変化を同定します。さらに公的データベース等から取得した個人情報を含まないゲノム解析統計値を出来るたけ多くの異なるコホートデータから参照し、それらを積極的に統合することでヒト形質に関連する遺伝因子を同定する検出力を上げることも進めます。これによって形質関連遺伝因子の同定、形質を制御する分子機構の解明、疾患ハイリスク群の抽出による疾患発症リスクの産出などを行います。
本研究に関する研究全体及び研究者個人として申告すべき利益相反に該当する事実はありません。利益相反の状況については静岡県立病院機構静岡県立総合病院利益相反委員会に報告し、その指示を受けて適切に管理しています。
2018年12月4日～2028年12月3日
遺伝子解析情報、診療情報（年齢、性別、既往歴情報など）
本研究の解析によって得られた多型情報の一部は公共データベース等に登録し、他施設の研究者を含む新たな研究で利用するために保管されます。登録するデータは個人の識別ができるものではありません。
静岡県立総合病院
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