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薬剤師向け「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」の公開― 薬学的管理の質向上と多職種連携の強化を目指して

2024年2月29日
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(理事長:荒井秀典。以下、国立長寿医療研究センター)の薬剤部/長寿医療研修部高齢者薬学教育研修室の溝神文博らのグループは、薬剤師による処方見直しのための薬学的なアセスメントと多職種間の情報共有の不足を解消するために、「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」を開発しました。

開発の目的

 在宅医療における薬物療法の適正化は、高齢化の進展とともに重要性を増しています。特に、ポリファーマシーは、薬物有害事象のリスクを高め、患者のQOLに大きく影響しています。しかし、在宅医療での薬剤師によるアセスメントと多職種間の情報共有は十分には行われておらず、薬物治療の最適化が課題です。この背景から、患者一人ひとりの状況に合わせた薬物管理と指導を行う具体的なガイドが必要とされています。本ガイドの開発は、薬剤師の詳細なアセスメントを促進し、多職種間での情報共有を強化することで、在宅医療における薬物治療の質を向上させ、患者の安全とQOLの向上を目指します。

ガイドの内容

 訪問薬剤管理指導では、ポリファーマシー対策を含む薬学的管理が最も重要であり、これには薬物だけでなく、その他の情報収集も必要不可欠です。多職種連携の社会実装は、特に病院外の地域医療レベルや介護施設での実施が求められていますが、十分に進んでいるとは言えません。この点に着目し、厚生労働科学研究費補助金長寿科学政策研究事業「薬学的視点を踏まえた自立支援・重度化防止推進のための研究」研究班では、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局や病院薬剤部に勤務する薬剤師、さらにその情報提供を受けた施設の他職種の関係者を対象に現状調査を行いました。調査の結果、多職種連携の必要性は認識されているものの、実際に情報提供を行っているのはごく一部でありました。他職種の関係者が求めるのは「処方見直し」など薬物療法の有効性・安全性に関する情報ですが、薬剤師による患者情報の収集が十分に行われていないため、情報提供がされていない状況が明らかになりました。

これに対応するため、本ガイドでは、高齢者総合機能評価(CGA)に準じたアプローチを採用し、認知機能、感覚器機能、歩行・運動機能、食事・口腔ケア、排泄、睡眠、服薬管理、薬剤起因性老年症候群、そして患者の生活環境などの評価を行うことを推奨しています。これにより、薬剤師は患者の状態を全面的に把握し、適切な薬物治療を提案することが可能になります。

ガイドの作成にあたっては、多職種からなるメンバーでの共同作業を行い、薬剤師が一方的に情報提供をするのではなく、双方向に情報を共有できる体制を目指しました。ガイドは、薬剤数の増加が見込まれる75歳以上の患者を主な対象とし、特に在宅医療・介護療養対象者に重点を置いています。主な利用対象者は、在宅医療や介護施設でのケアに関わる薬剤師であり、看護師や他職種の関係者も参考にすることが期待されています。ただし、患者や家族は直接の利用対象ではなく、気になる点があれば医療関係者に相談するように案内しています。本ガイドが、在宅訪問薬剤管理指導および介護老人保健施設等での多職種連携推進につながることを期待しています。

作成者一覧

作成代表者

作成者(50音順)

ガイド本文

多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド 左記のファイルは下記リンク先
在宅医療で遭遇しやすい薬剤起因性老年症候群の原因薬の一覧 (高齢者薬学教育研修室)のペ
別添1 おくすり問診票 ージからダウンロードできます
別添2 多職種連携のための薬学的評価シート  

別添3 訪問薬剤管理指導の報告書

 

別添4 老健施設退所時情報連携書式(かかりつけ医連携様式B)  

 

リリースの内容に関するお問い合わせ

この研究に関すること

国立長寿医療研究センター薬剤部/長寿医療研修部 高齢者薬学教育研修室 溝神文博

  • 電話 0562(46)2311(代表)
  • E-mail : mizokami(at-mark)ncgg.go.jp
    ※(at-mark)を「@」に置き換えてください

報道に関すること

国立長寿医療研究センター総務部総務課 総務係長(広報担当)

〠474-8511 愛知県大府市森岡町七丁目430番地

  • 電話 0562(46)2311(代表)
  • E-mail webadmin(at-mark)ncgg.go.jp
    ※(at-mark)を「@」に置き換えてください

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