これまで6回にわたり、酸素療法に関する内容をいろいろと書かせていただきました。これまで読んで下さった⽅、誠にありがとうございます。今回は、使⽤時に知っていると得をする︕︖ひと⼯夫について書かせていただきます。とその前に、これまでのまとめの意味も込めて酸素療法を始める場合に役⽴つかもしれない簡単な器具選択フローチャートを書いておきます。
では本題にいきましょう。この⽅法は⾼流量酸素療法を実施する場合に役に⽴ちますのでぜひ参考にしてください。何度も同じことの繰り返しになりますが、⾼流量とは患者さんにとって必要濃度・量のガスが⼝元に常に存在し、いつどんな呼吸をしても設定した濃度のガスを吸う事ができるというものです。詳細は過去の記事をご参照ください。これを実現しなければ⾼流量にしている意味がないです・・・ では教科書通りにトータル流量30L/minが⼝元に流れていればよいのでしょうか・・・ さまざまな年齢・疾患の患者さんがいる中で30L/minはあくまで一般的な目安に過ぎません。そこで、より⾼流量酸素療法を効果的に⾏うためのセッティング⽅法をご紹介させてもらいます。まず、医師から患者さんにとって担保したい酸素濃度を確認します。 医師によっては、「Xリットル、Y%で」と指⽰される先⽣⽅が多いと思います。当センターも例外ではありません・・・。しかし指⽰通り設定しても高流量用酸素療法の特性が十分に生かせているかどうかはなかなか判断できませんし、結局の判断材料は患者さんのバイタルという事になります。もちろんバイタルで判断する事は当然なのですが、前提条件として酸素療法のセッティングが正しく行われていなければならないのは言うまでもありません。そのための一つの手段として今回の内容を参考にして頂けると幸いです。医師からは「酸素濃度」だけの指⽰をもらい、あとは患者さんの呼吸状態を診て酸素流量を設定します。では実際のセッティングを順を追って⾒ていきましょう。
☆医師より⾼流量酸素療法(マスク)の指⽰がでました。
以上で設定した濃度の酸素が常に吸える環境が整いました。とても簡単です。この⽅法でセッティングを⾏えば、ネブライザー式酸素供給装置を利⽤してネーザルハイフローも可能です。ただその場合は低〜中濃度酸素限定ですが・・・でも場合によっては、どんなに流量を上げても霧が引き込まれてしまう場合もあると思います。そんな時はリザーバーを付けると改善できます(下記写真)。
マスクの⽳に1節分の蛇腹を接続する事で、たとえ⼤気が引き込まれてもすぐにマスク内に入らないようにするのです。しかしあまり⻑くしすぎると呼気が抜けきらず呼気再呼吸の危険があるので要注意です。ちなみに当センターではこのタイプの酸素療法を実施する場合は、 濃度・流量に関係なく全症例においてこの⽅法を取っております。いかがでしょうか。 酸素療法って⼀⾒複雑に感じますが、基本的な 原理が分かっていれば患者さん毎に⼯夫が出来、よりよい療養環境を提供する事ができます。 でも⼀歩間違えばとても危険な⾏為ともなり得ます。 酸素療法は日常業務の中でもっとも多く目にする治療の一つです。これからもどんどん新たな器具が出てくると思いますが、日々精進を重ね時代に取り残されないように精進したいと思います。
臨床工学部
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