アジア・カヘキシア・ワーキンググループ(AWGC) によるアジア人向けカヘキシア診断基準の概要
日本サルコペニアフレイル学会代表理事、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター理事長の荒井秀典を筆頭とする研究グループが、アジア人向けのカヘキシア(悪液質)診断基準を新たに公表いたします。カヘキシア(悪液質)とは、がん、慢性腎臓病、慢性心不全をはじめとするさまざまな慢性消耗性疾患による栄養障害を指し、これに対して適切な包括的ケアが求められる病態です。従来、アジア人向けの診断基準はありませんでしたが、荒井理事長率いるアジアのカヘキシアに関するエキスパートグループからアジア人向けカヘキシアの診断基準が初めて提唱されました。
カヘキシア診断基準
概要
- アジアカヘキシアワーキンググループにおいてカヘキシア(悪液質)の診断基準を作成した。
- 慢性消耗性疾患とBMI21未満または過去3〜6ヶ月間で2%超の体重減少を必須項目とし、食思不振、握力低下(男性28kg未満、女性18kg未満)、CRP 0.5mg/dl超のいずれかを満たす場合にカヘキシアと診断することができる。
- カヘキシアのアウトカムとして、死亡、機能障害、QOLをあげ、機能障害の評価には臨床虚弱尺度、バーセルインデックス、6分間歩行などを用いることとした。
- 今回の診断基準の提案により、臨床現場においてカヘキシアの診断が進み、早期介入を行うことが普及すれば、カヘキシア患者の予後やQOL改善につながることが期待できる。
対象
慢性消耗性疾患を治療・ケアしている医療従事者
ポイント
- アジア人のためのカヘキシアの診断基準の提案は初めて
- アウトカム指標を提案することにより、評価を統一して、予後の検討や介入効果の検証を行うことが可能となる
- 今後もエビデンスを元に、改訂を行う
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