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お薬、きちんと飲めていますか?~飲み忘れ・飲み間違いを防ぐために~

 「朝の薬、飲んだかな?」「気がついたら薬がたくさん余っていた」。そんな経験はありませんか。薬は、正しく飲んではじめて効果を発揮します。しかし、年齢を重ねると、飲む薬の数が増えたり、飲み忘れや飲み間違いが起こったり、薬が飲み込みにくくなったりするなど、正しく飲み続けることが難しくなることがあります。今回は、飲み忘れや飲み間違いを防ぎ、薬を無理なく飲み続けるためのコツをご紹介します。

きちんと飲めない理由は人それぞれ

 薬をきちんと飲めない理由は、大きく2つに分けられます。ひとつは、飲もうと思っていても体の動きや記憶力などの変化によって「飲めない」場合、もうひとつは、薬の数の多さや飲みにくさなどから「飲まない」場合です(表1)。

表1.薬をきちんと飲めない理由

飲めない理由

飲めない理由

  • もの忘れが増えた

  • 耳が遠く、説明が聞き取りにくい

  • 目が見えにくく、薬袋の字が読めない

  • 手や指に力が入らず、薬を取り出しにくい

  • 身の回りのことをするのが難しくなった

  • 薬の種類が多い

  • 飲み方が複雑(食前・食後、朝だけなど)

  • 飲み込みにくい

  • 気分が落ち込み、やる気が出ない

  • 薬の必要性がよくわからない

  • 調子が良いので自分の判断でやめた

  • 一人暮らしや生活環境の変化

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」より改変

 この中で、もの忘れについて当センターの研究では、記憶力や判断力の低下がまだ目立たない早い段階から、薬の管理に支障が出始めることがわかっています(図1)。ご本人が「ちゃんと飲めている」と思っていても、実際には飲めていないこともあります。ご家族のちょっとした見守りが大切です。

健康な状態から認知症疑い、軽度認知症、重度認知症へと進行する過程を示した図。記憶、見当識、判断力・問題解決、社会適応、家庭状況、介護状況、薬の管理の各領域について、左側は問題なし、右側は問題ありを表す。各領域は認知症の進行に伴い問題ありの方向へ推移し、記憶は約50%、見当識は約40%、判断力・問題解決は約40%、社会適応は約45%、家庭状況は約45%、介護状況は約60%、薬の管理は約20%付近から問題ありの状態へ移行する。

図1.認知症の進み具合と生活上の支障

Mizokami F,et al.Am J Alzheimers Dis Other Demen.2016;31:132-136より改変

 また、介護が必要な高齢者のご家族を対象にした過去の調査では、約4割の方が薬を飲むのを嫌がった経験があると答えています。その理由で多かったのは「病気だと思っていない」「飲み込むのに時間がかかる」「飲み込めない・飲み込みにくい」でした(図2)。

服薬が困難となる理由を示した横棒グラフ。割合が最も高い理由は「病気だと思っていない」37.7%、次いで「飲み込むまでに時間がかかる」31.9%、「飲み込めない・飲み込みにくい」31.9%、「薬の味・色・においに抵抗がある」23.2%、「水をこぼしてしまう」13.8%の順となっている。

図2.薬を飲むのを嫌がった理由(上位5項目、複数回答)

今井幸充. 治療 87(2):433-442,2005より改変

自分の判断でやめたり、砕いたりしないで

 「調子が良いから」と、自分の判断で薬をやめてしまうことがあります。しかし、調子が良いのは薬が効いているからかもしれません。急にやめると、かえって症状が悪化する薬もあります。また、飲み忘れたときに2回分をまとめて飲むことはやめましょう。

 高齢者を対象にした調査では、約半数の方が「薬がのどにつかえる」など、飲みにくさを経験していました。のどにつかえた経験のある方ほど、錠剤を砕くなど自分の判断で工夫している傾向もみられました。しかし、薬の中には砕くと効き目が強く出すぎたり、副作用が起こりやすくなったりするものがあります。飲みにくいときは、まず医師や薬剤師にご相談ください。粉薬やゼリー状の薬、貼り薬などに変えられる場合もあります。

今日からできる服薬管理の工夫

 薬を正しく飲み続けるためには、ちょっとした工夫が役立ちます(図3)。

薬の管理方法の工夫例を示した写真。上段左から一包化調剤、お薬カレンダー、お薬BOX、下段左からカレンダーへの貼付方法、色付き薬袋、お薬手帳が掲載されている。

図3.薬の管理方法の工夫

気軽に薬剤師へご相談ください

 薬のことで困ったときは、一人で悩まず、医師や薬剤師に気軽にご相談ください。「飲みにくい」「飲み忘れが多い」「薬が多くて管理が大変」といった、ちょっとしたことでも構いません。普段利用しているかかりつけ薬局の薬剤師も、身近な相談相手です。お薬手帳と一緒に、余っている薬や気になることを伝えてみましょう。