健康診断で「白血球数が多いですね」と言われて、不安になったことはありませんか。白血球数の異常を指摘されると、「何か重大な病気ではないか」と心配される方も少なくありません。今回は、白血球の働きや白血球数が増える原因、受診の目安についてご説明します。
白血球は、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る働きをする血液中の細胞です。正常値は検査施設によって多少異なりますが、おおよそ3,300から8,600個/μLです。白血球は一種類の細胞ではなく、いくつかの種類に分かれており、それぞれが異なる役割を担っています(表1)。
最も多いのは好中球で、細菌や真菌(カビ)などの微生物を取り込み、殺菌する役割を担っています。感染が起こると最初に現場へ駆けつけ、生体防御の第一線で働く細胞です。次に多いリンパ球は病原体や異常な細胞を見分けて排除し、免疫反応を調節してその情報を記憶する役割を担っています。ワクチンの効果にも深く関わる細胞です。単球は異物や傷んだ細胞を片付けるとともに、他の免疫細胞へその情報を伝える役割を担っています。組織に入るとマクロファージとなり、免疫の司令塔の一員として働きます。好酸球は寄生虫に対する防御やアレルギー反応の調節に関わり、好塩基球は主にヒスタミンなどの物質を放出してアレルギー症状や炎症反応を引き起こします。
白血球数が増えている場合には、その内訳も重要です。例えば、好中球が増えているのか、リンパ球が増えているのかによって考えられる原因が異なります。そのため、必要に応じて「白血球分画」という検査を行い、原因を詳しく調べます。
| 白血球分類 | 正常比率(目安) | 主な役割 |
|---|---|---|
| 好中球(Neutrophil) | 38から68% | 細菌・真菌の排除 |
| リンパ球(Lymphocyte) | 27から47% | 獲得免疫 |
| 単球(Monocyte) | 2から8% | 異物処理・抗原提示 |
| 好酸球(Eosinophil) | 0から7% | 寄生虫防御・アレルギー反応 |
| 好塩基球(Basophil) | 0から1% | アレルギー反応 |

白血球数が増える原因はさまざまですが、多くは病気ではなく、心配のない一時的な変化や体の正常な防御反応によるものです(表2)。
最もよくみられるのは感染症です。風邪や胃腸炎、肺炎、尿路感染症などでは、体が病原体と戦うために白血球が増加します。発熱や咳、のどの痛みなどの症状があるときに白血球数が高くなっていても、感染症が回復すると自然に正常値へ戻ることが少なくありません。また、けがや手術後、やけどなどで組織が傷ついた場合にも白血球数は増加します。これは傷ついた組織を修復し、感染を防ぐための正常な反応です。
生活習慣も白血球数に影響します。喫煙(電子たばこを含む)や肥満では体内に慢性的な炎症が生じるため、白血球数が高めになることがあります。また、激しい運動の直後や強い精神的ストレスを受けたとき、睡眠不足が続いているときにも、一時的に白血球数が増加することがあります。健康診断当日の体調や生活状況が結果に影響していることも珍しくありません。
このほか、一部の薬剤によって白血球数が増えることがあります。代表的なものにステロイド薬があり、喘息や膠原病などの治療で使用されている方では、薬の影響による白血球増加がみられることがあります。
| 白血球増多の原因 | 具体例 | どういう状態か |
|---|---|---|
| 感染症 | 風邪、肺炎、胃腸炎など | 体が病原体と戦っている |
| 炎症・組織障害 | 外傷、手術後、やけど、慢性炎症性疾患 | 組織の修復や炎症への反応 |
| 生活習慣 | 喫煙、肥満 | 慢性的な炎症刺激がある |
| 生理的ストレス | 激しい運動、強い精神的ストレス、睡眠不足 | 一時的に白血球が増える |
| 薬剤 | ステロイドなど | 薬の作用による変化 |
| 血液疾患(まれ) | 白血病、骨髄増殖性腫瘍 | 白血球そのものの病気 |
一方で、白血球数の増加が数か月以上続く場合や、数値が著しく高い場合には注意が必要です。慢性的な炎症性疾患や自己免疫疾患が背景にあることもありますが、まれに血液の病気が原因となることがあります。特に、貧血や血小板数の異常を伴う場合には、血液内科での詳しい検査が勧められます。
また、原因の分からない体重減少、寝間着を着替えるほどの寝汗、長く続く発熱、首・脇の下・足の付け根などのリンパ節の腫れがみられる場合には、早めに医療機関へ相談しましょう。こうした症状は、より詳しい評価が必要な病気のサインであることがあります。
白血球数は、その時々の体調や生活習慣によって変動します。そのため、一度の検査結果だけで病気かどうかを判断することはできません。健康診断で白血球数の増加を指摘されても、その多くは重い病気によるものではなく、一時的な変化や体の正常な防御反応によるものです。まずは慌てず、検査結果を持参して主治医に相談し、必要に応じて再検査や経過観察を受けることが大切です。