ホーム > 病院 > もの忘れセンター > ニュース&トピックス > アルツハイマー病の新しい治療薬(ドナネマブ)発売にあたって
新しいタイプのアルツハイマー病治療薬であるレカネマブに続いてドナネマブの製造販売が承認され、令和6年11月26日に発売されました。
当院においても、この薬を安全・適正に使用できるよう準備を進め、令和7年3月より投与を開始しました。ここでは、本剤による治療対象となる方が、はじめて当院を受診されてから実際の薬剤投与までの流れを説明させていただきます。
もの忘れセンターの初診外来を予約・受診していただきます(紹介状・情報提供書を持参していただくことをお勧めします)。
既に当院で他の診療科に通院中の方は、担当医に相談の後、もの忘れセンター外来への紹介をご依頼下さいますようお願いいたします。もちろん担当医から、もの忘れセンター外来への受診を勧められる場合もあります。
まず通常の初診外来の診療を受けていただきます。ドナネマブの投与対象はアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症に限定されており、初診時の診察およびその後の検査(通常、神経心理学的検査、脳MRI、脳血流シンチグラフィー等を1日あるいは数日に分けて実施します)の結果、対象外と判定されることがありますが、その場合は通常の診療を提供・継続させていただくか、紹介先の診療機関で診療を継続していただきます(もの忘れの原因がアルツハイマー病ではない場合、原因がアルツハイマー病であっても認知症の程度が中等度以上の場合、脳MRIにおいて治療による副作用のリスクが高い特有の所見を認めた場合、などは対象外と判定されます)。
ドナネマブによる治療の対象と判定された場合、検査結果の説明の後、「アミロイドβの蓄積を調べる検査」を予約し、実施します。
ドナネマブの投与対象は臨床診断に加えて、検査結果においても厳格に規定されています。特に重要なのが脳へのアミロイドβの蓄積が認められることです。アミロイドβの蓄積を証明する検査としては、アミロイドPETという核医学検査と、髄液検査がありますが、当院では侵襲の低いアミロイドPETを優先してお勧めすることとしております。
初診時の診察とその後の全ての精密検査の結果を総合的に検討し、ドナネマブの投与の対象に該当するか否かを説明させていただきます。
ドナネマブの治療適用がないと判定された場合には、どのような予防策・治療法を講じることができるかを説明させていただきます。
治療適用があると判定され、投与を希望された方への投与は、初回のみ1泊入院していただき、点滴注射を行います(副反応の発現を注意深く観察するためです)。2回目以後は専用に整備された第6診療棟先端治療室(旧西病棟)で、4週毎に点滴注射を行います。
なお、投与開始後は脳の腫れや出血などの副反応が生じる可能性があるため、定期的な脳MRI検査が必要です。
ドナネマブの投与による費用負担の概算は下表の通りです。
回数 | 1割での金額 | 負担額(高額療養費上限額) |
---|---|---|
初回~3回目 | 13,389円 | 13,390円 |
4回目以降 | 26,779円 | 18,000円 |
※低所得者(住民税非課税)は高額療養費上限8,000円まで
回数 | 2割での金額 | 負担額(高額療養費上限額) |
---|---|---|
初回~3回目 | 26,779円 | 18,000円 |
4回目以降 | 53,558円 | 18,000円 |
回数 | 3割での金額 |
---|---|
初回~3回目 | 40,169円 |
4回目以降 | 80,338円 |
以上が大まかな流れとなります。お問い合わせはもの忘れセンターまでお願いいたします。
病院長