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放射線診療部がますます充実

病院レター第87号 2020年7月20日 

放射線診療部部長
加藤隆司

 日頃は、病診連携を通じて画像診断検査のご依頼を頂戴しており、ありがとうございます。国立長寿医療研究センターの放射線診療部が、機器と人の両面でさらに充実した体制となりましたので、ご案内申し上げます。

1.新外来棟の放射線機器整備が完了

 国立長寿医療研究センターでは、2019年から新外来棟の運用を開始しておりましたが、放射線診療部の機器の整備計画が完了し、2020年2月からすべての機器が本格稼働した状態となりました。
これにより、MRI2台、CT2台、SPECT-CT2台、PET-CT1台、そしてX線撮影装置、X線TV装置、血管撮影装置、マンモグラフィー、骨密度測定装置を、画像診断検査にご提供することができるようになりました。

2.MRI(磁気共鳴画像)

 診療用のMRIは、静磁場強度が3TのMAGNETOM Skyra (シーメンス社製)と、1.5TのIngenia Ambition(フィリップス社製)の2台体制です。両機種とも、各メーカーのそれぞれの磁場強度の最新のフラッグシップ機です。最新の撮像技術に対応しており、その能力を使って、撮像時間の短縮や画質の向上に寄与しています。Skyraは、大府市からご寄付いただいたものです。当センターが行っている地域コホート研究である「認知症のリスクをもつ高齢者に対する進展予防を目指した多因子介入によるランダム化比較研究(J-MINT)」での撮像でも活躍しています。なお、研究所の1階には、もう1台3TのMRI装置があり、さまざまな地域コホート研究や、臨床研究の撮像で使用しております。

3.X線CT

 X線CTは2台あり、そのうちの1台は320列の検出器を搭載したAquilion ONE(キャノンメディカル社製)です。寝台を移動させることなく一つの臓器の全体をカバーする画像データを収集可能です。画質向上と検査時間短縮、被ばく低減など多くの臨床的有用な能力を発揮することが期待されています。
 これまでだと、血管造影を行わなければならなかったような検査も、造影CTで十分な情報が得られるようになっています。高齢者にとっては、身体の負担が少なく済みます。

4.核医学(SPECT-CT)

 シングルフォトンの核医学カメラは、シンチカメラ(SPECT)1台から、SPECT-CTの2台体制となりました。
 変性性認知症では、神経が変性する部位では脳血流が低下します。アルツハイマー型認知症など疾患によって変性する部位が異なりますので、どこの脳血流が低下しているかがわかれば、診断の助けになります。
 2台体制となったことで、検査枠に余裕ができ、お待たせする日数が短くなりました。また、脳血流SPECT以外に認知症診断に有用な検査も、柔軟に実施できるようになりました。  

5.核医学(PET-CT)

 現在保険診療で実施できるPET検査といえば大半がブドウ糖代謝の指標となる18F-FDGという放射性医薬品を用いた"FDG-PET/CT検査"です。PET検査は、現在は、主にがん診療において重要な検査の一つとなり、病診連携で行う検査として受け付けています。また、てんかんや虚血性心疾患、大血管炎なども、保険診療の対象となっています。
 また、保険適用はされていませんが、アルツハイマー病などの認知症の脳機能画像としても、研究が進められています。当センターでは最先端の放射性薬剤を使用した認知症の戦略的検査を実施しています。

6.骨密度(DEXA)

 DEXA法とは、Dual Energy X-ray Absorptiometry の略で、2種のエネルギーの異なるX線を照射し、骨と軟部組織の吸収率の差で骨密度を測定する方法です。骨密度を計測するには超音波を使う方法もありますが、DEXAがもっとも精度が高く、骨密度測定の標準とされています。ただし、骨折があると骨密度が過大評価されることがあるので、単純写真も同時に撮影することが推奨されます。骨粗鬆症の評価には、欠かせない検査です。

7.人的体制

 本年4月から、放射線診療部の医長として二橋尚志先生、櫻井圭太先生をお迎えし、読影体制がさらに強力になりました。また、診療放射線技師は、検査を依頼して下さる先生方の様々なご要望にお応えできるように、学会や講習会に積極的に出席するなど、研鑽に日々努めています。

8.おわりに

 患者さんに優しく、安心できる検査・治療をめざして業務を行っています。検査に関して、ご要望がありましたら、遠慮無くおっしゃってください。

病病・病診連携について

受付 地域医療連携室
受付時間 月曜日~金曜日(平日)午前8時30分から午後5時
直通電話 0562-88-3010
専用FAX 0562-46-3309

 https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/renkei.html


長寿医療研究センター病院レター第87号をお届けいたします。

 画像診断の領域は、画像機器の進化に伴って、より精密に、より正確になる一方で、読影に専門的な能力が必要となってきました。将来はAIがこの領域に大きな役割を果たすことが予想されていますが、最終的な判断はわれわれが行うことになりますので、画像に対する判断能力は今後も不要になることはないと思います。
 今回2名の放射線診断医が加わったことにより、より広い領域での読影をお願いするとともに、二重チェックの拡大、また医師の読影能力の向上のための勉強会開催が予定されています。集合して行う勉強会が開催しにくくなっていますが、可能な限りご案内いたしますのでご参加ください。

病院長 鷲見幸彦