病院レター第1号 2006年3月15日
放射線診療部長 早坂和正
昨年のMRI導入に続き、最新のマルチスライスCTの運用が開始されました。放射線診断機能がさらに充実しました。
この度、SOMATOM Sensation Cardiac64というマルチスライスCTが導入されました。従来のCTより性能が向上し、通常の撮像のほかに3次元の再構成画像も比較的容易に構築可能となりました。撮像時間は上腹部、胸部で約7秒、頭、頚部で約7秒、胸~上腹部で約10秒、上腹部~骨盤部で約10秒と飛躍的に短縮しました。被曝は一回の撮像で約5mSVと従来のCT検査と同程度です。また、肝腫瘍の検査など、造影検査で多相の撮影を要する検査では、動脈相、門脈相、実質相などが従来の撮影よりも正確にその相を反映する画像を得ることができ、診断精度の向上が期待されます。放射線科領域における画像診断で、よりいっそうの病診連携が図れるものと期待しております。気軽に御相談頂ければ、症状、疾患に応じ、より良い画像診断を行いたいと思いますので、当センターの放射線科まで御一報頂ければ幸いです。
MRI(磁気共鳴画像診断)とは強い磁気と電磁波を利用して人体の断層像を得る検査で、放射線を使用せず、体を動かすことなくいろいろな方向から断層像が得ることができます。
通常はX線透視下で行われる膵・胆道系の検査(ERCP等)や脊髄系の検査(Myelo-graphy)の簡便な代用検査法として、また、急性期の脳梗塞診断等にも威力をはっきします。
さらに高度な検査として、当院では脳腫瘍患者のMRSを用いた質的診断(図1,2)、温存すべき領域の判定として機能的MRI、神経線維の画像化としてdiffusion tensor imaging(DTI)などを積極的に行っています。
図1. 脳腫瘍患者の代謝map(Cho/NAA)
赤いところほど悪性度が高い
図2. 図1のスペクトルパターン
Cho上昇、NAAの低下を認め、
腫瘍パターンであると考えられる
病院ではおもに悪性腫瘍の診断としてFDG-PET検査が可能です。実際の運用は研究所が行う研究と病院の臨床とで検査枠を設定して行っています。週1回、木曜日に検査を実施しています。
当センターの放射線科には、放射線治療装置として外部照射装置(直線加速器、リニアック;X線 6MV, 電子線 4, 6, 9,12, 15MeV)があります。
腫瘍の患者様で放射線治療の適応の有無、お問い合わせなど、御紹介頂ければ幸いです。
放射線治療の専門外来は金曜日に行っています。
平成16年3月1日にナショナルセンターとなって2年が経過しようとしています。おかげさまで、平成17年度は平成16年度と比し、外来及び入院患者数が増加して参りました。これからも、病診連携をさらに緊密なものといたしまして、地域の高齢者医療の充実に取り組んでいく所存です。
さて、病院のニュースを地域の診療所の先生方にお知らせするために、このような病院レターを定期的に皆さまにおとどけすることにいたしました。今回は、放射線科のお知らせを主にさせていただきます。今後とも、よろしくお願いいたします。
病院長 太田壽城