ペースメーカー治療におけるLBBAP(左脚エリアペーシング)は多くの施設で行われておりますが、当センターにおいてもCAVBの患者を中心に施行されています。
手術の再はRWPT(LVAT)やCOIの計測、胸部V1誘導のlate-Rの後方移行、V6誘導とV1誘導のR波の時間差の確認など、さまざまなパラメータを用いてできる限りSelectiveなLBBPを目指します。



そんなSelective LBBPの実現はある意味すごくデリケートだと感じています。それは出力の大きさによってLVSPやNS-LBBPと変化するためです。この波形の変化は手術の時にも至適刺激部位の判断材料として使用するパラメータです。このように手術時にはできる限り的を絞った部位の興奮が得られる部位への電極留置を目指します。しかし日常生活の中で手術時に目的とした部位の興奮(Selective LBBP)と同じ刺激が維持できているかといったら疑問が沸きます。
その理由は、刺激強度に対して非常にデリケートであるLBBPへの出力がペースメーカーに搭載された刺激強度自動調整機能によって変動するためです。本機能は機械が刺激閾値を見極めて安全閾値を考慮した刺激強度に自動的に設定を変更する機能であり、多少のアルゴリズムの違いはあるもののどのメーカーの装置にも搭載された便利機能の一つです。みなさんはこの便利機能とLBBPとの組み合わせを考慮してペースメーカー管理をされていますでしょうか。
ペースメーカーの自動閾値検出機能はあくまで心室のLoss of Capture(以下LOC) を検出するものであり、LVSPやNS-LBBPもしくはS-LBBPを検出するものではありません。そして、心室LOCとこれらは一致する事はまずありません。つまりLBBPでペースメーカー管理されている方の場合、どの部位がCaptureしているかによって心室閾値は複数個存在すると言えます。さらに言うと、装置が自動的に設定する刺激強度はあくまで心室LOCに対してのものであり、その値にしたがって自動的に設定された値は必ずしもS-LBBPを実現できるものではないということです。せっかく手術時に、こだわって電極を留置してSelective LBBPを実現したにも関わらず、ペースメーカーの自動設定によってこれが実現しない事は避けたいところです。そのため当センターではLBBPの患者さんの管理を行う場合は必ず心室のLOCだけではなく、装置が自動的に計測した刺激閾値を踏まえてマニュアルで測定した閾値(電圧とパルス幅双方)を比較します。そして自動的に(機種毎のアルゴリズムの基づいて)検出された閾値よりも高い値に存在するLVSPやLBBPの閾値を把握し、できる限りLBBPが実現する値に自動調整されるよう設定を行っています。こうする事で意図せぬ部位のCaptureを防止し、より生理的な心臓の興奮であるSelective LBBPが得られる事を目指しています。
少しでも皆様の参考になれば幸いです。これからもよりよい治療が提供できるよう精進させて頂きます。
臨床工学部
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E-mail:med-eng(at)ncgg.go.jp
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