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左脚ブロック患者への左脚領域ペーシングの一例

みなさまご無沙汰しております。ここ最近忙しすぎてなかなか更新出来ておらず申し訳ございません。久しぶりの今回は最近実施したペースメーカ植え込み症例を紹介させて頂きます。

心臓ペーシング治療も日々進化しており、最近は右房高位中隔において右心房と左心房の伝導路となるBachmann’s bundleをターゲットとしたバッハマン束ペーシングが両心房同期に効果的であるとされ実施されるようになっています。当センターではまだ実施しておりませんが今後は行われる可能性が高いと思います。そんな中今回は、以前より実施している左脚エリアペーシングの1症例について紹介させて頂きたいと思います。

今回の患者さんは、左脚ブロックと高度徐脈によりペースメーカの適応となった方ですが、重症心不全には至っておらずCRTの適応ではありません。しかし、2024年JCS/JHRS不整脈非薬物治療ガイドラインフォーカスアップデート版において「CRTの代替療法としてのCSPの適応」が記載されています。つまり今回は徐脈に対するペースメーカ治療をLBBAPで実施する事でのCRTの効果を同時に狙った症例という事になります。それでは実際の当センターにおける手技と手術前後の心電図を紹介させて頂きます。

手技に関しては、いつもの通りスクリューを進めながらペーシングを行い、同時に心電図波形・抵抗値・COIの変化がリアルタイムで把握できる自作した専用治具(近い将来販売!?)を用いて実施しております。今回の症例ではリード挿入、スクリューインから最終の位置決めまでの所要時間は約5分程度でした。心電図波形は比較的早くLBBAPの基準内に入ったのですが、Bipolar刺激にすると間歇的にAnodalPacing(LVSP)となったため通常のペースメーカの出力設定(Bipolar1.5V程度)でもAnodalPacingが発生しない部位への留置を目指すことにしました。最終的にはCOIの数値を確認しながら許容範囲ぎりぎりの所まで攻める事で位置決めしました。今回のCOIは約12.6mVでした。ちなみに今回のAnodal閾値は2.5Vであり、これ以下の出力では確実にLBBAPが実施出来ていると判断しました。以下が実際の心電図の手術前後の比較です。

術前術後の心電図比較

いかがでしょうか。本当はもう少し高位中隔に留置できると完璧だったのですが・・・。いろいろとご意見はあるかと思いますが、これまでの心尖部ペーシングや右室中隔ペーシングでは得る事の出来ない心電図波形を得る事が出来たと思います。そしてあえて心室ペーシング抑制機能は使用せず、ペーシングを優先させて経過観察をする事としております。今後もより質の高い治療のお手伝いをできるよう精進したいと思います。

 

 

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