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けっして難しくない酸素療法 第1回

酸素療法といってもとてもたくさんの種類があります。使用する物品から始まり、その原理・適応疾患や使用上の注意点など。でも本当に正しく使われているかと云うと「??」な時もあります。当然ですが症例に合った酸素療法を正しく⾏う事で患者さんによりよい呼吸環境を提供でき、場合によっては陽圧換気への切り替えのタイミングを的確に把握したり、逆に陽圧換気からのWeaningをスムーズに⾏わせる事が出来たりと、「⼈⼯呼吸療法」とは切っても切り離せない関係にあるのも酸素療法です。

臨床⼯学技⼠の中でも、⼈⼯呼吸器のメンテナンスのみを業としている⽅やメンテナンスはもちろん呼吸療法にまで幅広く活躍されている⽅などいろんな⽅がおみえになると思います。 また、看護師さんは他の医療職と⽐べて酸素療法に接する機会も多く、⽇常業務の⼀つとしてもっとも携わる機会の多い手技の一つかと思います。そんな⽇常業務だからこそきちんとした知識を⾝に付けておくことが⼤切です。たくさんの種類・⽅法があるので使⽤に困ってしまう場合もあるかと思いますが、基本を理解していれば何も怖くありません。

今回はそんな酸素療法に関する器具について”これからは迷わずに済む”ために、⼀つずつ順をおって解説していきます。酸素療法には病院内で⾏う場合と在宅で⾏われる場合があります。在宅で⾏われる酸素療法はHOT(HomeOxigenTherapy)といい通常は低流量酸素療法(今は分からなくてもOK)が基本となり、主に閉塞性肺疾患や肺結核後遺症・側湾症などの拘束性疾患、さらには神経筋疾患などの主に慢性期疾患の患者さんに対して⾏われます。そして院内においては急性・慢性期に関わらずさまざまな病態に対して酸素療法が実施されます。これらの酸素療法に共通して使⽤する物と⾔えば・・・

そうです、酸素流量計です。

ということで本格Blog第1弾の今回は院内で使⽤する酸素流量計の種類について解説します。まず⾒た⽬での⼤きな違いは酸素流量の設定がフロート式とダイヤル式・・・

酸素流量計1

フロート式酸素流量計

酸素流量計2

ダイヤル式酸素流量計

 

ダイヤル式は、経験上⻑期間使⽤すると流量誤差が⼤きくなり信頼性に⽋けるので当センターでは特殊な場合を除きほとんど使⽤しておりません。ですので今回の説明はフロート式酸素流量計についてのみ記載していきます。 もし「ダイヤル式についても知りたい︕︕」って⽅はコメントお願いします。 壁⾯アウトレット⽤酸素流量計は⼤きく分けて2種類のものがあります。 ⾒た⽬ではそれほど大きな違いはありませんが、機能や使⽤できる酸素療法器具は⼤きく異なりますので注意が必要です。その2種類とは、「⼤気圧式」と「恒圧式」です。 下の写真は流量計を分解して、流量メモリ部分を外したものですが、⾒た⽬の違いはこれだけです・・・

Flowmeter

フロート式酸素流量計の分解写真

分かりにくいですよね。違いは メモリの「FLOW METER」と書いてある横に「0.4MPa」の表⽰があるかないか・・・ 0.4MPa・・・ これは壁配管からの酸素供給圧ですね。 つまりこの表⽰があるほうが「恒圧式」となります。 ではこの2つで何が違うの︖

難しい話は無しにして、違いは ”フロート内部” が「配管圧」なのか「⼤気圧」なのかです。 配管圧のものが「恒圧式」、⼤気圧のものが「⼤気圧式」 簡単ですね。

でも「そんなのいちいち⾒てられない 」って⽅には別の判別⽅法があります。 壁配管に接続してみてください。どうせ使うときに接続しますので面倒ではないですね。 恒圧式は配管圧が内部に侵⼊しますので、配管接続時にフロートが⼀瞬浮き上がります。でも⼤気圧式は配管出⼝が塞がれていますので、フロートはピクリとも動きません(もちろん流量調整ツマミは閉じたままです)。下の絵を見ると一目瞭然です。

酸素流量計イラスト

「大気圧式(左)と恒圧式(右)の内部比較」

 

どうでしょう。酸素流量計の種類とその⾒分け⽅が分かりましたね。

たったこれだけです。 でもこの酸素流量計の種類によって、⾏える酸素療法が変わってきますのでとっても重要な事です。 どう変わるの︖︖ というと、「⼤気圧式」は酸素を送り出す⼒が弱いため患者側の状態によって流量が変化する。 「恒圧式」は強⼒な⼒で酸素を送り出すため患者側の状態に左右されず安定した酸素供給ができる。ひとまずこれだけ覚えておけば⼤丈夫です。

第1回目の今回はこれでおしまいです。でもふだんからこの違いを把握するよう⼼掛けましょう。 そして最後に注意点だけ書いときます。 通常酸素流量計は使⽤しない時は外しておく事が原則です。 でも臨床ではそんな事いってられず接続したままになる事が多々あります。 そんな時注意しなければならない事、それは破損です。⼤気圧式に関してはそこまで⼤事に⾄ることはありませんが、恒圧式の場合は 私たちが⽣活している圧の約4倍の圧⼒が流量計内部にかかっている事となります。 その状態でフロート部の破損が発⽣すると・・・ 考えるだけで怖いです。 強烈な勢いで酸素が噴出して、場合によっては部品が⾶び散り、周りにいる⼈が怪我をしてしまう事も考えられます。 酸素が漏れる原因としてついでにもう⼀つ、⼈⼯呼吸器を使⽤している場合やいくつもの酸素療法を時間によって使い分けている場合などは酸素配管に2⼜アウトレッ トを接続している事もあります。

二又配管

この部品を使⽤して酸素療法を⾏う場合には以下の点に注意が必要です。

⽚⽅のみ使⽤する場合は向かって右側に接続する。また、両⽅使⽤ する場合は重いほうを右側に接続するよう⼼掛けてください。 なぜか︖︖

左側に重みが加わると、酸素配管のアウトレットそのものが緩んでしまう場合があります。つまりネジの締まる⽅向に⼒が加わるようにしたいのです 。少し話しはズレましたが知っておいて損はないです。

では次回からはこの酸素流量計に組み合わせるさまざまな酸素療法器具について解説していきます。

 

 

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TEL:0562-46-2311(代表)

E-mail:med-eng(at)ncgg.go.jp

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